テーマ企画【困難を力に！女縁が創る新たな時代】

講　　師　：　上野　千鶴子さん　（東京大学大学院人文社会系研究科教授）
主　　催　：　ふくおか県「翼の会」

困難な時代だからこそ、連帯を
　
男女雇用機会均等法と労働者派遣事業法の施行は、結果的に、今日の女性の労働強化と非正規雇用の増加をもたらした一面もある。少子高齢化が進展する中、女性の高学歴化が進み、女性の就労が求められる一方で、娘に対する親の介護期待が強くなっている。

ワーキングプアや格差の問題は、男性の雇用環境に及ぶようになってやっと社会的な問題として取り上げられるようになったが、シングルマザーをはじめ、多くの女性は以前から苦しい生活を強いられてきた。現在、女性労働者の半分以上が非正規労働者であるが、自己責任原則が強まる中、自分の苦境を主張しにくい、助けを求めにくい風潮が強まっている。これまで女性たちは、共助、相互援助の必要に迫られて、価値観や情報などを基軸に、地縁や血縁と異なる自らが選べるネットワークをつくってきたが、近年、困難や不安を抱える女性同士でさえも手をつなぐことが難しくなってきてきた。

厳しい環境にある男性も弱みを見せて良いのではないか。そして、今後は、困　難を抱える男女がいっしょになって新たな連帯を築いていかねばならない。

明日へはばたくために
●経済活動として成立する連帯と活動を
　・ＮＰＯ活動などによる介護等の分野での住民参加型福祉が広がりを見せ、経済活動としても成立する状況になってきている。

●若い世代の連帯を進めるためウェブなど様々な媒体を駆使しよう

●これまでに活動してきた世代の女性が、ネットワーク（人と人とのつながり）の喜びを伝えよう　