現代の家族の中核である夫婦関係を阻害するのがDVである。尊厳と対等性を否定することは良好な夫婦・家族の関係や子どもの人間形成を損なうことになる。DV被害は被害者の年齢、職業、性格に関わらず起こり得るもので、身体的・精神的・経済的な被害をもたらす。加害者から離れた後も恐怖が続き、長期間社会生活への支障をきたす例も多い。子どもへの影響も大きく、発達上の問題、身体的影響やPTSDなどの原因ともなっている。
法律や制度の整備が進められてきたが、さまざまな理由で相談できない、逃げられない、DV被害に気付かない、自暴自棄になっている被害者も多いことは大きな問題である。また、学生などの若い世代でも、女性の4人に一人が被害経験をもつとの調査報告もあり、デートDVにも注目する必要がある。地域においては、“家の中の問題”として、被害者や支援活動を行う者に対して好意的な目を向けないことも課題解決を遅らせている。
◆ DV被害を根絶するために
① 人間の尊厳・人権を尊重される社会、あらゆる暴力(暴力的な発言なども含む)を日常的な生活や地域の中から否定する意識を醸成をすること
② 地域の重大かつ緊急な課題として、相談体制や保護・支援施設の充実などの行政施策の必要性を訴え続け、自治体の議員・審議会委員・職員の理解を得ること
③ 地域の力をつけること。行政とともに地域のみんなが手をつなぎ、行動につながる力をつけること
④ DVが子どもに与える影響とその対応について、学校や保育施設の職員の認識・理解を進めること
【フォーラム2008】