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上村 ミカエラ(うえむらみかえら)さん (2012年12月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

イケア・ジャパン株式会社 IKEA福岡新宮  (取材時:カスタマー リレーションズ マネジャー)

日本でのキャリアアップを叶えたスウェーデン流の働き方

 世界約40ケ国で親しまれている低価格でデザイン性と機能性を兼ね備えた家具や生活雑貨を展開する人気のホームファニッシングストア・イケア。日本で6店舗目、九州初となるIKEA福岡新宮が2012年の春にオープンして以来、注目のスポットとして県内外からのお客様で平日も賑わっている。イケアと同じスウェーデンの出身で日本でのキャリアアップを実践している上村ミカエラさんに、日本で働くことになった経緯とスウェーデンらしい働き方や子育てについてお話を伺った。

積極性がチャンスを切り開く

 ミカエラさんが初めて日本を訪れたのは19歳、バックパッカーとしてアジア諸国を旅していた時だ。日本語の響きを「カッコイイ!」と感じ、表現の豊かさに魅了された。その後も、1年間ホームステイをしながら保育園や旅館などでボランティア活動を行ったり、大使館のイベントに参加するなど、何度も日本に足を運び文化に親しんでいった。本格的に日本へ移住する機会となったのは、イケアが日本に進出するにあたり日本語ができるスタッフを募集していたことだ。憧れの日本で暮らすチャンスと思い、早速、応募。それまでの日本との関わりが功を奏し見事採用。33歳のときに日本のイケアでの勤務がスタートした。
 イケアが日本で店舗展開していくとともに、ミカエラさんも船橋から港北、神戸、福岡と積極的に異動。新店舗立ち上げに関与していき着実にキャリアアップしていく。その過程で現在は同じイケアで働く日本人と結婚し、2人の子どもを授かった。「セールスリーダー」から「マネジャー」を経て、現在は「カスタマー リレーションズ マネジャー」という肩書きを持つ。イケアでは、受付案内からスモーランド(お子さまのプレイエリア)、配送、カタログなど、お客様を満足させる専門家として「カスタマーリレーションズ」を配置している。その広範囲な部門を統括しているがミカエラさんだ。

スウェーデン式ワーク・ライフ・バランス

 イケアとミカエラさんの祖国スウェーデンは、福祉も男女共同参画も進んでいる国。税金が高いこともあり、ほとんどの家庭では共働きが当たり前。そして家庭を大切にしながら個人ではなくチームで仕事をするという意識がしっかり根付いている。
 スウェーデンでは一般的に1年間に5週間の長期休暇があるので、誰かがいない時でもメンバーが仕事を補いあうシステムが確立されている。育児休業もフレックスタイムも同様の感覚なので、誰もがフレキシブルな働き方を実践できるのだそう。また、仕事をする母親が悩むのは子どもの具合が悪い時の対応。どうしているのかと尋ねると、「母親には『子どものそばにいてあげて』と声をかけ、職場のスタッフ同士で助け合います」と明朗な答えが返ってきた。
 スウェーデンの中でも、イケアは特に働きやすい会社として認知されているそうだ。ミカエラさんと同じ役職に女性がいることも珍しいことではなく、高い地位で働く女性の登用に特に積極的だ。性別、人種、学歴などに関係なく平等に機会が与えられている。先ごろIKEA福岡新宮において社内のパートタイマーから正社員へ60人の募集したところ、手を挙げた半数は女性だったとか。チャンスの扉を開放することで、働く意欲が増す好例だろう。

夫婦というチームで仕事・家事・子育てを補い合う

 イケアは子どもが生まれてから連続15日間の有給休暇があり、もちろん男性も取得できる。それに加えてミカエラさんの夫は2人目の子どもが生まれて1年後、日本のイケアで初めて6ヵ月間の育児休業を取得したという。ミカエラさん夫婦は家事も育児も分担制。ミカエラさん1人に負担が集中することなく、スムーズに職場復帰できたという。一方、休暇が明けた夫も働きにくさなど感じなかったそうだ。よほどの国際人かと尋ねてみると、結婚前は海外旅行の経験もなく、今でも英語はカタコトなのだとか。スウェーデン的な協力体制を作ることは何も特別なことではなく、誰もが実現可能というロールモデルとなっている。

あきらめないで!少しずつ変えていきましょう

 ミカエラさんは日本においても、人種が違うから、女性だから、子どもがいるから、という理由で働きにくさを感じたことはないそうだ。「とても恵まれています」。これはミカエラさんが日本を愛し、仕事へも真摯に取り組むことで、周りの理解や協力を得られた結果なのであろう。当面は福岡に腰を据えて、学ぶべきところがたくさんある今の仕事を、深く追求していきたいそうだ。ちょうど夫の実家が九州内にあり、義母から助けを得やすいことと、学童期の子ども達に落ち着いた生活を送らせたい気持ちとも重なっている。しかし、またいつかチャンスが訪れ、新しい環境に挑戦したい気持ちが自分の中に芽生えた時は、「家族で話し合って決めます」とほほ笑むミカエラさん。柔軟なキャリアプランをお持ちだ。
 日本の女性が働きやすい社会を切望していることはミカエラさんも肌で感じているという。「あきらめないで!女性自らが行動することで社会に影響を与えていきましょう」。生まれ故郷を離れて憧れの地で暮らし、自分らしくイキイキと輝いているミカエラさんからの力強いメッセージを受け取った。

                                                                                              (2012年12月取材)

コラム

 楽しみにしているのは双方の実家への里帰り。夫の故郷、熊本県人吉市は温泉でも有名だ。大好きな温泉にゆっくり浸かってリフレッシュしているというミカエラさん。故郷のスウェーデンにも年に1回、2週間の休暇をとり里帰りし、エネルギーを充電してくるそう。幼い子どもを連れての移動は大変だが、スウェーデン語や歌、クリスマスの風習など祖国の文化にも慣れ親しんでもらいたいと思っているそうだ。

プロフィール

スウェーデン出身。カナダのイケアにてYPP(ヤング・ポテンシャル・プログラム)の研修を受けた後、IKEA船橋開業準備室、IKEA港北、IKEA神戸にてキャリアを積み、IKEA福岡新宮へ。その間日本で結婚・出産。夫と子どもを連れて積極的に新店舗へチャレンジしている。外国女性が日本でキャリアアップをしていることで、注目されている。

 

 

 

 


 

 

 

 

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【あ】 【働く・キャリアアップ】

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