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新開 玉子(しんかいたまこ)さん (2005年12月取材)

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有限会社ぶどう畑 代表取締役

自然の恵みを届け、都市住民の心を耕したい

 「自然の恵みをそのまま皆様にお届けしたい」という新開玉子さん。 現代の食生活は便利さのあまり、生きるための命の原点である「自然の恵みの食べもの」への感謝を忘れてしまっている、その思いを伝えるために、「福岡県女性農村アドバイザー」、「福岡県女性地域興しマイスター」、「福岡県指導農業士」の活動のかたわら、5人の仲間と共に「ぶどう畑」を設立した。

都市と農村の架け橋に

 新鮮な野菜、出来たてのお惣菜、手作りのパンたちが鮮やかに並んだ店内は、学生からお年寄りまで幅広い年代の人々を楽しませています。温かい挨拶が飛び交う家庭のようなお店は新開玉子さんが経営する農産物直売所「ぶどう畑」です。結婚後長年農業に従事されてきた新開さんが「ぶどう畑」の構想を描いたのは10数年前です。
 日本では経済優先、農業軽視の社会が長く続き、日本人の食生活は急速に歪んでいました。食べ物を粗末に扱うテレビ番組が増え、孤食や偏食を始めとする食卓の歪み、食事をなおざりにする最近の日本の傾向は「食に直接関わる農家だからこそ、この社会の歪みに強い問題意識を抱いた。食という生きる原点を見直したい、社会に貢献したいという想いが、次世代を考える歳になって湧き上がってきたんです」。「都市と農村の架け橋となり、都会の人の心を耕したい」との強い思いから、構想・企画から準備期間を経て1999(平成11)年7月「ぶどう畑」は誕生しました。

いかにして問題をクリアするか

 夢の実現に向けて、農業者間のネットワークを結びながらアイデアや運営システムについて、構想を温めてきた新開さんが、起業するにあたって、最初に遭遇した問題は資金の借入です。新開さんは夫の協力があり無事解決することができました。しかし、「日本社会では財産が男性名義であることが多いので、社会的信用という面でも女性は男性より不利であることが、女性起業の困難のひとつになっています」と語られます。
 農産物販売所は、天候による商品の変動や客足の予測が重要ですが、最初にそのリズムを掴むまでは大変でした。とにかく1年間はリズムを掴み、店の経営になれることに尽力したそうです。「体力が必要よ」と笑顔で繰り返す新開さん。この日も朝早くから畑へ収穫にいかれ、お店に入られていました。取材中にも多くの来客・電話と、とにかく忙しく、また、全国での講演の依頼も絶えないそうです。
 仲間やスタッフと協力し合い補い合うことで、経験の不足は笑顔と体力で乗り切ってきた新開さん。人の何倍もの仕事をしていても、元気な声と明るい笑顔は疲れを感じさせません。

母の愛情と経営

 「ぶどう畑」では家庭のような温かさを感じます。ここではお店の野菜を使った料理のアドバイスは勿論、子育てのアドバイスもしているそうで、「母親の愛情と経験こそ、ここの商品よ」との言葉も納得です。男女平等といわれますが、「何でも男女が同じ」ということではありません。自分のお腹で子どもをはぐくむ愛情、そこから生まれる優しさは女性特有のもの。だからこそ愛情や経験を社会に還元すべき。「一女性として、また一人の人間として社会に貢献することが大切」という新開さんの言葉には重みがありました。

送り続けるメッセージ

 新開さんは、「食の架け橋賞」、「男女共同参画社会作り功労者内閣総理大臣賞」などを受賞しています。それでもなお、「都市住民の心を耕したい」その思いはいつまでもかわりません。「これから、子ども達が土に親しむような機会を作りたい。『ぶどう畑』を通してもっと都会と農村を近づけたい」。新開さんの思いはいつまでも家族に、地域に、そして子ども達に向けられています。

                                  (2005年12月取材)

プロフィール

女性農業者の法人起業事例が少ない中、都市圏に農産物直売の有限会社を設立。農業者と消費者の架け橋となるべく活動を続けている。直売だけでなく、地域の食農教育活動に熱心に取り組む。農水省の食料・農業・農村政策審議会の公募委員となり、生産現場の生の声を伝えている。2002(平成14)年、第1回福岡県男女共同参画表彰(県民賞)受賞。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【さ】 【起業】 【農林水産】

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