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野口 照代(のぐちてるよ)さん (2008年2月取材)

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講師情報
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小さな国際交流の会 代表、福岡国際関係団体連絡会 副会長、九州留学生問題フォーラム 理事

 

活動のきっかけ

 野口さんは小さな国際交流の会代表として、日本語学習者やスタッフ、協力会員のまとめ役をしています。会では日本語教室だけでなく、指導するスタッフ同士の勉強会も行っています。会の発足当時は国際交流団体として活動し、現在は日本語会話教室を主に活動しています。
 野口さんは妊娠8ヶ月まで企業内で教育担当業務に就いていましたが、育児休業中に、「仕事に一生懸命な時は、自分が見えていない」と、企業で働いていたときには見えなかった自分の可能性に気付きました。そこで、子供を育てながら働ける仕事はないかと考えて元の職場に復職せず、企業での仕事を活かして話し方教室を経営したり、「女性の社会参加」「自分関係」等の幅広いテーマで講演活動を行っていました。また公民館・市民センターで、子育てなど様々な分野の連続講座の卒業生による自主学習グループ実行委員会の委員長などをしました。

国際交流から日本語教室

 実行委員などをしている中、1984年「国連婦人の十年」に際した文部省の委託事業を受け、スイスとオーストリアを訪問、国連欧州本部などで女性の地位向上に向けた各国の取り組みを調査研究しました。
 帰国後、野口さんはそれまでの地域に根ざした活動を広げ、世界的な視野を持つ人たちを育てようと87年に国際交流の会を立ち上げました。スタート当初は留学生を招いてのフリートーク、山登りなど毎月いろんなイベントを開いて外国人との交流を深めました。当時は留学生との交流パーティーにしても参加者同士がぎこちなく、手とり足とり、声のかけ方から指導する日々でした。
 90年には日本語教室がスタートしました。「外国人の話し相手になりたい」「外国人が日本人と日本語で話す場を提供したい」という思いからでした。当事、海外には地域の人々がその国の言葉を教会などで教える教室がよくありましたが、日本にはそのような教室がありませんでした。そのような海外の教室で学んだ人たちも日本で恩返しをしたいと参加してくれました。
 日本語教室を始めるにあたり、今まで国際交流の会のメンバーだった人たちは日本語を教えることに違和感があってか、協力してくれる人は少なく、そのため、話し方教室の生徒さんに協力をしてもらうことから始めました。活動を維持するにあたって苦労したのは人間関係で、一時は解散してしまうのかと思うこともありました。前向きに根気強く意見を述べ合っても、去る人は去って行きます。去年で20周年を迎えた会では、外国人が福岡で安心して生活できるようにとオリジナルの教材を使い、6か所で7教室が行われています。

行動しながら考える

 野口さんは、6・7年ほど母親の介護をされ、教材の入った荷物を抱えて病院から教室に駆けつける生活を2年ほどされていたそうです。現在は認知症の叔母の世話をしながら会の活動を続けています。「ボランティア活動は時間に余裕のある人がするものだと思う人もいるけれど、逆に忙しく行動している人が継続しているのかもしれない。」と野口さんは言います。あれこれとやることが多いから、ついでにこれも片付けておこうと「行動しながら考える」ことを実践しています。
 今は日本人だけで日本社会を作っている時代ではありません。日本語教室を通じて自分の国のことが再認識できればと思っています。欧米の多くの人は初対面から両手を広げて人を受け入れてくれますが、日本人は律儀に挨拶をする形から入ります。年功序列の習慣や縦社会の人間関係なども日本特有の社会です。外国人と日本人がお互いに話し、理解を深めることで、経済的・政治的な国際関係にもいい影響を及ぼすはずです。今は「日本語上達のお手伝い」を目的にしていますが、それがボランティアの精神を介した日本の底力を高めることにつながると思って活動しています。

やさしさや豊かさ

 本当に人を動かすには、詰め寄って相手をたじたじとやっつけるのではなく、相手を理解しながら、相手の立場に立って自分の意見を伝えていかなければなりません。「人としての優しさや心の豊かさなどを大事にしながら、自分の能力を活かしてほしい」。国際交流の取り組みを続けてきたからこそ相手を理解することの大切さを身にしみて感じている野口さんらしいメッセージをいただきました。

                                   (2008年2月取材)

コラム

☆近況紹介☆

〔近況をお聞きしました!〕
2010年7月から9月に「生活者としての外国人」を支援する文化庁委託事業を実施しました。定住外国人が地域社会で孤立することなく生活しているけるよう、日本語習得を支援しているボランティアのためのスキルアップ講座です。参加者は18団体から42人、全45時間の9回連続講座で、福岡の日本語支援に貢献することができました。
                                      (2011年5月)

プロフィール

小さな国際交流の会代表。福岡国際関係団体連絡会(FUKU-NET)副会長。九州留学性問題フォーラム理事。
企業内での教育担当の仕事を経て、話し方教室経営。
福岡市の自主グループの実行委員長などを務め、現在に至る。

〈これまでの歩み〉
企業で研修担当として働き、育休を取得。
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復職せず、話し方教室を開く。併せて講演活動。
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「国連婦人の10年」でスイス、オーストリアの婦人の10年行動計画を調査研究。
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「小さな国際交流の会」を発足。外国人留学生との交流の場を作る。
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国際交流の会で日本語教室を始める。

 

 

 

 


 

 

 

 

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【な】 【国際・まちづくり】 【研究・専門職】

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