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講師情報
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ユネスコ・がんばろい大牟田の会 事務局長、大牟田市立三池カルタ・歴史資料館 館長
「とにかく自分の生まれ育った大牟田が好きなのよ」と、笑顔で語る金子さんは、炭鉱の閉山をきっかけに賑わいを失くしていく大牟田の魅力を、どうやってアピールするかということに思いを巡らせてきました。そんな中、出会ったのが、大牟田が発祥の地であるカルタでした。「カルタは、大牟田を宣伝できる数少ないもののひとつ。世代を超えて一緒に遊べ、識字教育にも効果的なカルタを、発祥の地・大牟田から日本全国へ、そして、世界へ発信したい」という思いを抱きました。
一方で、子どもたちが小さい頃から、ホストファミリーとして外国人を受け入れるなど、国際交流に強い興味を持っていた金子さんは、カルタと国際交流を結びつけた活動を広めるため、平成9年、「がんばろい会」を発足し、外国人向けの日本語教室を開設しました。教室で、カルタを使って、文化を紹介しながら日本語教育を行っていく中で、手応えを感じた金子さんは、まず手始めに、韓国語でのカルタ作りに着手しました。平成14年の日韓国民交流年には、国際交流基金の助成金で、韓国人日本語教師にカルタでの日本語教育研修を行いました。カルタを花札と思っていた多くの韓国人のイメージを覆し、指導法として取り入れたいという声も聞くことができました。こうして、カルタを活かした国際相互理解の活動は、第一歩を踏み出しました。
金子さんが南米の日系外国人にカルタを紹介したいと思ったのは、日系ペルー人をホームステイとして受け入れた時でした。日系ペルー人の多くが、日本語を全く話せないこと、南米の日系人社会から日本語が消えつつあることに寂しさを感じた金子さんは、「南米の日系人に日本文化を知り、日本語を伝承してほしい」、「カルタ発祥の地・大牟田を世界に広めるとともに、カルタを通して世界の役に立ちたい」という思いから、平成17年、ブラジルに飛び立ちます。そして、数々の日本語学校を回り、カルタの面白さ、日本語のすばらしさを伝えました。
いつも前向きで積極的な金子さんですが、活動を始めた頃は、女性であることを理由に軽視され、悩むこともありました。韓国の研修会では、女性が代表ということで、なかなか話が進まないこともありました。しかし、「男女に優劣があるはずはない」と考えた金子さんは、決して諦めることなく活動を続けていきました。「がんばろい会」をUNESCOに登録することで、更に活動を充実させていきます。
そんな彼女の活動を、一番に支えたのは家族でした。「家族の支えが私の背中を押し、いろいろな活動に挑戦する力をくれた。家族も、私の応援という形で活動に参加してくれているの」と語ります。
「もっと多くの国にカルタを紹介すること、特に、教育を受ける機会の少ない発展途上国の識字率を向上させるための教材として使ってもらうことが今後の課題です。」金子さんは世界に受け入れられるカルタ、魅力的なカルタ作りに日々挑戦しています。そんな金子さんが心がけていること、それは『問題意識』です。「問題意識を持って行動することが大切。アンテナを張っていないと発見は生まれないし、空虚な人生になってしまう。様々な発見の中で、自分にあった活動を見つけ、自分の可能性を見つける。私にはこれがあるんだ、という思いが幸せにつながるのだと思う。達成するための苦労は、苦労じゃないのよ」と語ります。メッセージからは、夢のある女性の輝きが伺えます。日々努力を惜しまない金子さんは今日も前進し続けます。
(2007年3月取材)
〔近況をお聞きしました!〕
三池カルタ・歴史資料館の民間からの館長として就任後4年が過ぎました。その間、入館者数が直営の時に比べ大幅にアップしました。また、カルタからイメージする日本のカルタ(百人一首やいろはカルタ)だけでなく、トランプの普及や脳トレにも効果が期待されるカードゲーム、カードマジックの取り組みを行い、「カルタ発祥の地」にふさわしいカルタ人口増を目指し、日々奮闘しています。これは自分の使命と感じつつ・・・。
(2011年3月)
大牟田市出身。
「ユネスコ・がんばろい大牟田の会」を設立し、カルタを使った日本語教室などを開設。カルタ発祥の地・大牟田からカルタを世界に発信する活動を展開中。現在、三池カルタ・歴史資料館館長。カルタを外国語学習として各国に紹介し、実際に使ってもらうための研究をしている。
〈これまでの歩み〉
平成9年
国際交流がんばろい大牟田の会 設立
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平成13年
(社)日本ユネスコ協会連盟の民間団体として承認され、
「ユネスコ・がんばろい大牟田の会」に名称変更
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平成14年
ソウル日本語教師会研修会でカルタを紹介
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平成17年
ブラジルへ行き日系人への日本語教育のためカルタを紹介
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平成19年
三池カルタ・歴史資料館館長に就任
キーワード
【か】 【国際・まちづくり】 【研究・専門職】