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白石 朱美(しらいしあけみ)さん (2007年3月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

管理栄養士 (取材時:ヘルシーダイニング・マンジェ オーナー)

あなたの食生活を管理栄養士がサポートします

  「ここの料理なら安心して食べられる、自分にも出来そうだから家でも作ってみようという、お客さんからの言葉に一番の喜びを感じる」と語るのは、『ヘルシーダイニング・マンジェ』のオーナーであり、管理栄養士でもある、白石朱美さん。行橋市にある『マンジェ』は、誰もが美味しく健康的な食事をし、くつろぎと安心感を与えてくれる場所―そんな身体と心にやさしいレストランです。栄養成分を表示し、糖尿病や高血圧など、食事療法が必要な方たちのために考えられた治療食ランチや、生活習慣病予防のためにエネルギ-や栄養バランスに配慮したヘルシーランチを提供しています。

食事を通し、地域の人々の健康を考える

  白石さんは、中学校卒業後から栄養士の道を目指し、短大の食物栄養科に進学。通算23年間の病院勤務では、患者さんの栄養指導や献立作成に従事してきました。患者さんの、「おかげで体の調子が良くなった」という声に喜びを感じる一方、退院すると、引き続き食事療法が必要な人に栄養指導が出来なくなってしまうという現実に不安を感じていました。そんな人たちに何か出来ることがあるのではないか、という思いから定年を待たずに病院を退職し、栄養相談所を併設したレストランをオープンすることを決意します。また、食事療法が必要な方と一般の方が同じように食事を楽しみ、食事を通して地域の人々の生活習慣病の予防と改善、及び生活の質(QOL)の向上に貢献したい、という熱い思いもありました。

  オープンするまでの1年間、白石さんは行橋市の食生活改善推進委員会(食推会)の講座を受講しました。食推会の講座は、年齢制限はなく、女性も男性も気軽に参加することができます。白石さんは受講の際に、病院で管理栄養士をしていたということは言いませんでした。初心に戻って学ぼうとする姿勢があったからです。食推会の講座では、地域の栄養士さんたちの生活に直結した指導方法を知り、感銘を受けました。また、聴覚障害者の要約筆記のボランティアの会「たんぽぽ」に参加するなどのボランティア活動を通して、改めて地域の人々の生活や健康の在り方について考える機会も得ました。
 レストランのオープンに際しては、高額の融資が必要でしたが、実例がないということもあり、融資を受けるまでにはかなりの時間がかかりました。しかし、家族や友達などの支えにより白石さんは熱意を持ち続けることが出来たと言います。そして、白石さんの思いが通じ、平成18年の1月ついに『ヘルシーダイニング・マンジェ』はオープン、白石さんの夢は大きく前進しました。

誰もが美味しく、安心して食事ができる場所

 『マンジェ』は、旬の食材を使用し、素材の味を生かすため、調味料を最小限にしています。また、手に入りやすい食材を使い、料理に馴染みのない人でも作ってみようと思える料理を心がけています。白石さんは、家でも作ってみようというお客さんの言葉にとても喜びを感じると言います。
 若い人から年配の人まで、幅広い年齢のお客さんに出会えることもまた大きな喜びです。白石さんのあたたかいもてなしと健康に配慮した料理を目当てに毎週訪れるお客さんや、遠方から訪れるお客さんのため、定休日でも開店することもあります。

情報発信・交流の場を目指して

 『マンジェ』がまちの駅(※1)になったことから、食生活を改善するための情報発信・交流の場としたいという白石さんの夢はまた一歩前進します。今後は多くの人が気軽に立ち寄ることが出来るように、単品のメニューを増やし、持ち帰り用のレシピや健康に関するパンフレットなどもお店に備えたいと、まちの駅としての活動にも意欲を燃やしています。白石さんはこう言います。「健康も自己管理の時代です。健康を取り巻く様々な情報に左右されることなく、楽しく健康的な食生活を送ること、これが病気の予防につながると確信しています」。  
※1 商店や公的施設などが、まちを訪れ歩く人々に休憩できる場所を提供し、同時に、まちに関する情報も提供する、 交流を軸にしたまちづくりへの取組

これからの夢とメッセージ

 今後は、様々な分野から食生活の問題を考えていきたい。」と白石さんは語ります。生活習慣病の予防は食習慣だけではなく、運動・休養・喫煙・飲酒などとの関わりも大きいため、それらの分野とのコラボレーションも考えていかなければなりません。また、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)の先生方とも協力して講座を開くことも計画の一つです。
 「夢は実現するものであり、チャンスは誰にでもめぐってきます。そのチャンスを最大限に生かすこと、そして自分を理解し、応援してくれる人たちを大切にすることを心がけています。熱意は必ず通じると信じています」と語ります。
 楽しく健康的な食生活を送るサポートをしていきたい、この熱意がこれからも『マンジェ』を支えていきます。
                                    (2007年3月取材)
                                            

プロフィール

東筑紫短期大学食物栄養科卒業。通算23年間総合病院などに勤務。在勤中、管理栄養士免許を取得。平成18年1月、食事療養中の人と一般の人が同じように食事を楽しんでもらいたいと、栄養相談所を併設した食事処『ヘルシーダイニング・マンジェ』をオープン。食事を通した生活習慣病の予防と改善、および生活の質の向上に貢献できるように活動。平成23年1月、高齢の実父の闘病に寄り添うためマンジェを廃業し、配食サービスの会社に勤務。同年9月、父の没後、認知症の進む実母が入所する小規模多機能施設にケアマネージャーとして勤務。平成26年3月、母の没後、管理栄養士として住宅型有料老人ホーム 南王子さくら館に再就職。

 

 

 

 


 

 

 

 

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