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和栗 百恵(わぐりももえ)さん  (2011年2月取材)

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福岡女子大学 国際文理学部准教授

広い視野を持って、様々な選択肢を増やしてほしい

 

大学に行くことの意味って何?

 「座学も大切だけれど、現場に触れて学ぶことが重要。だから、バングラデシュ滞在や高校時代に留学経験のある自分は、他の大学生には負けない」。高校生の頃留学したこともある和栗さんは、大学入学直後にこう思っていたという。その自信を胸にカールトン大学へ留学したのだが、日本の大学との違いに驚いた。「アメリカの大学は学び方を教えていて、学生もそれに応えている。今後国際化が進む中で、この人たちとどう勝負すればいいのか」と感じた。
 大学院卒業後は、スリランカで現地NGOに勤めた。そのNGO「サルボダヤ」は、飢餓や無知、争いを無くすことを目的に、その地域の特性に応じた方法で現地の人たちと一緒にインフラを整備したり、教育を行うことで、その地域の自立を促す活動をしていた。
 サルボダヤで、世界中から集まるボランティアなどの受け入れ調整に携わっていたとき、知識はあるが現場に足が着いていない人が多いと感じた。そのとき、「自分もそうだと気付いた。それが、知識を現場で活用する方法を学ぶためにはどうすればいいのかと考えるようになったきっかけ」だと話す。

自分が感じたこと、学び取ったことを還元したい

 和栗さんは現在、福岡女子大学において「大学教育における体験的な学習の実践研究」を行っている。それは、学生にボランティアやインターンなどの体験的な学習をさせるだけでなく、教員や職員の意識改革を促すための研究であり、実践である。
 また、体験的な学習では、体験の「ふりかえり」が要であると言う。「ふりかえり」をすることで、やりっぱなし・行きっぱなしを防ぎ、また、学生が自分自身や学んでいる課題を俯瞰的に見つめ直すことで、これまでとは違った視点を得る、つまり、「学習」することができるからだ。
 和栗さんは「学生は教職員を映す鏡。そのことを教職員はもっと認識し、卒業後、本気で社会とかかわっていかねばならない学生のために、一緒に動いていかねばならない」と語る。
 さらに、新学部開設という大きな波の中、地域との係わり方も模索している。現在は、「博多一風堂」と協力し、厨房機材や食材を大学まで車で運んでもらい、学生が一風堂の社員と協力しながら、地域の方にラーメン作り体験を楽しんでもらうワークショップを準備中だ。

「やっていい」「やりなさい」という姿勢を見せる

 和栗さんは昨年から、学生が組織したグループ「YES」のアドバイザーをしている。このグループは「私達は微力ではあるが、無力ではない!!」をモットーに、アルコールや薬物、性感染症など、目をそらしがちな話題にも積極的に取り組んでいる。
 現在では「YES」に対して、全国紙の取材や、様々な団体や学会からの講演依頼が来ているという。そこまで大きくなったグループなのに、なぜ顧問や責任者ではなく、アドバイザーという立場のままなのか尋ねると、「学生主体のグループのままにしておきたいから。もっと自分たちで色々見て、経験して、さらに自分達で考えてほしい。そうして、常に当事者性・主体性を刺激していれば、もし問題が起きても、解決に向けて自分達で行動し、新たな問題が起きてもさらにそれを解決しようと、様々なことを考えるようになる。その習慣があれば、社会に出てから壁に直面しても、自分達なら乗り越えられるという自信に繋がるはず」と語る。
                                                                                                         (2011年2月取材)

コラム

You must do the thing you think you cannot do.                            (できないと思う事をやらなければならない)

 和栗さんが大切にしているこの英文は、フランクリン・ルーズベルトの妻、エレノア・ルーズベルトの言葉である。エレノアは宗教や人種の違い、戦勝国と敗戦国の関係など、様々な問題を乗り越えて、「世界人権宣言」を起草した。「辛抱強く、情熱を持って周りの理解を求めた。自分もこういう働き方をしたいしせねばならない」と和栗さんは語る。

プロフィール

東京都町田市出身。高校在学中にアメリカへ1年間給費留学した後、日本ユネスコ協会主催のバングラデシュでの2週間のワークキャンプに参加。高校卒業後、中央大学総合政策学部に一期生として入学。大学3年時に交換留学生としてアメリカのカールトン大学に1年間留学。卒業後、スタンフォード大学大学院修士課程を修了。その後、スリランカや日本のNGOで、現地ボランティアの受け入れやドナー団体との調整業務、開発教育や環境教育の一環として、スタディツアー実施に3年間携わる。
その後、中央大学、早稲田大学、大阪大学で「大学教育における体験的な学習の実践研究」を行い、2009(平成21)年10月より福岡女子大学の「大学改革推進室准教授」に着任。平成23年4月から、新設された「国際文理学部」の教員を務める。

 

 

 

 


 

 

 

 

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