ロールモデル
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講師情報
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福津市副市長 (取材時:福岡地域戦略推進協議会パートナー)
松田さんはMBA取得後、民間企業で組織改革に携わっていたが、1999(平成11)年には行政内部の組織改革にも係わることになった。福岡市役所が体質を改善するために、市役所の運営に民間の経営手法を導入したのだが、その活動を評価する「経営管理委員会」に、唯一の女性委員として選ばれた。
さらに2007(平成19)年には、九州大学の学校改革に向けての計画や目標、現在の取組などを一覧にした「QUEST-MAP」を策定し、翌年からは「福岡女子大学の抜本改革に向けた準備委員会」の委員として、学校改革にも携わっている。
こうして企業・自治体・学校と「産・官・学」の組織改革に携わった松田さんは、広い視野で組織改革を見つめられるようになり、改革を進める中で必要なのは、組織内の意思の疎通であると気が付いた。その上で、「組織のリーダーと部下の間で意思の疎通を円滑に行うには、その間に入る人、すなわち中間のリーダーのコミュニケーション力が重要だ」と述べる。
こうした活動をする中で、「古い価値観や固定観念が女性の役割を決め付けている」と感じる場面と多く遭遇したと松田さんは言う。
それでも、「当事者である女性には、日本は遅れているから仕方ない」と簡単にあきらめてほしくないとも語る。「自分のあり方や周りの環境を変えるために、自分でどれだけ交渉したのか」ということが重要だからだ。「パートナーや社会に交渉するにはものすごいエネルギーがいる。しかし、自分のことだけを考えて交渉するのではなく、相手にもメリットがあるという一歩進んだ視点で交渉すれば、相手も一緒になって動いてくれる」と語る。
「社会が変わるのを待つのでなく、自分で社会を変えてほしい。そのときにもし壁にぶつかった人がいたら、その壁を外したり、壁の外の人に中の声を伝えたりするのが私の役割」と言う。更に、社会を変える思いを持っていても行動できない人のために、その人が動き出すためのきっかけと出会うための橋渡しもしたいというのが松田さんの思いだ。
松田さんは名古屋にいた1980年代に、早朝勉強会を行うグループを女性だけで設立した。当時にも、経営者側が主催する勉強会はあったのだが、「社会人の多数は経営者ではなく働く側。働く側の自分たちで勉強会を主催したい」と考え設立に至った。早朝に開催したのは、会員全員が会社勤めだったため、夕方の時間調整が難しいからだ。勉強会では1人1分間のスピーチを毎回行った。また、勉強会は松田さんが仕切る訳ではなく、会員に持ち回りで司会を務めてもらった。これらは、会員全員に能動的な勉強会にしてもらうために設けたルールだ。
「自分もたくさんの経験をすることで、色々な人と出会え、様々なことを教えてもらえた。今後は若い人たちに還元したい」と松田さんは語る。そして、「日本で生まれたら衣食住に困らず、教育を受けられる環境に恵まれている。このチャンスを活かして勉強したことを、自分の後に続く人に教えてほしい」と訴える。
(2011年2月取材)
「ポジティブに考えて、へこたれないことが大事」という松田さんに憧れの人を尋ねたらナイチンゲールという答えが返ってきた。これは、彼女の「ナイチンゲール看護学校」を設立した力とそれを経営した力、そして、学校の設立により看護師の必要性を世界中に広め、世の中に貢献したためだ。学校を通じて人材育成に力を注いでいる松田さんに重なるエピソードであった。
三重県出身。1995(平成7)年に来福し、麻生グループのグループ経営戦略策定と推進を担う社内シンクタンクの創設責任者として、多岐にわたる事業の連結経営への転換期を支えた。全国の自治体の行政経営改革、公立病院や大学の経営改革の中心メンバーとしてリードする他、国の省庁の政策評価・独立行政法人評価の導入にも深く関わった。
2011年7月から2017年12月まで福岡地域戦略推進協議会に参画し、福岡都市圏の地域戦略並びにMICE戦略の策定やイノベーション創出のエコシステム構築プロジェクトを担当。シニアフェローとして国際競争力の向上に取り組んだ。
2013年5月に創設した女性の大活躍推進福岡県会議の立ち上げに関わり、企画委員会副委員長として活動。2014年4月から公立大学法人福岡女子大学学長特別補佐、2015年5月から西日本新聞提論執筆者。2015年6月から2017年12月まで福岡県男女共同参画センター「あすばる」の館長(2017年5月から役職名変更によりセンター長)、OCHIホールディングス株式会社の社外取締役。2017年3月、内閣府男女共同参画会議議員。2017年12月、福津市副市長に就任。
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【ま】 【働く・キャリアアップ】