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【センター長コラム No.90】 女性と政治――「婦選3権」  (2023年4月9日配信)

こんにちは。ライラックが咲きました。フランス語ではリラ。「リラの花咲く頃」という歌がありますね。

黄緑色の花は御衣黄桜(ぎょいこうざくら)。貴族がまとった衣装の色からのネーミングです。派手さはありませんが、趣のある花です。この花は、緑色がだんだん薄く黄色くなっていき、やがて花の中心部が赤くなります。

お変わりありませんか。

 

 

新年度がスタートしました。「あすばる」は今年度も、地域や職場、家庭で、誰もが尊重され、生き生きと活躍できる男女共同参画社会を形成するために、県民の皆さんの学びと活動を支援するためのさまざまな事業を行います。

多くの皆様にご参加いただきますようお願いいたします。(年間スケジュールはこちら

 

現在参加者募集を行っているのは、「地域リーダーのための災害対応力向上講座」です。

この講座は、災害が発生したとき誰も取り残さないように避難し、避難生活においても、新たな危険や被害が発生することがないようするために不可欠な「男女共同参画の視点を持った災害対応」を学ぶ講座です。

 

この講座は、昨年も開催し、多くの方に参加していただきましたが、防災の知識は何度も復習し、情報を更新することが必要です。また、地域に何人も防災知識を持った人がいることで、地域の災害対応力が向上します。

梅雨や台風時期の前に、地域防災の点検をするためにも、多くの方のご参加をお持ちしています。

皆さんが参加しやすいように県内4か所で、同じ内容で行いますので、ご都合のよい会場で受講ください。

 

 

昨年度、多くの皆さんの関心の高かった「政治分野における男女共同参画セミナー」は、今年度は年度末の開催を予定しています。

 

昨年度は、「なぜ女性の政治参画が必要か」「現役女性議員の経験談」「諸外国の状況」といった女性の政治参画について関心と理解を深めるための3回の講座を行いましたが、今年度は、政治参画をするために必要な知識やスキルを学ぶ講座の実施を考えています。

 

選挙とは何か、政策を議論する能力、経費の見積もり、効果的なキャンペーン、パブリック・スピーキングなどを学ぶ内容で、実際にすぐ政治家を目指さなくても、選挙の仕組みを知りたい方や、学生の自治会長や町内会長などへの立候補の参考にしたい方など、興味・関心のある方に幅広く役に立つ講座にしたいと考えています。

詳細が決まり次第、ホームページでお知らせします。

 

 

ところで、今年は統一地方選挙の年ですので、女性の「地方政治への参加」についてお話ししたいと思います。

 

「女性の参政権」と一口に言いますが、私たちの先輩女性たちは、女性の政治参加のために3つの権利を求めて女性参政権運動をしていました。女性参政権運動(婦人参政権運動)を「婦選運動」といい、3つの権利を「婦選3権」と言います。

 

3つの権利とは、①国の政治に参加する「参政権」、②地方政治に参加する「公民権」、③政治結社に参加する「結社権」の3つです。

女性は政治結社に加入することを禁じられていたことに驚くかもしれませんが、それ以前には、政治集会に参加することも禁じられており、集会参加が許されるようになったのは1922年です。

 

3つの権利は、戦後の民主改革で認められます。

①は、1945年12月17日の「衆議院議員選挙法」の改正、②は1946年9月27日の「町村制、市制、府県制、北海道会法、都制」の改正、③は1945年11月21日の「治安警察法」の廃止でそれぞれ認められました。

 

女性参政権が認められて初めて行われた衆議院議員選挙は1946年4月10日。この日、晴れ着を着て投票に行った女性も多くいました。それほど、参政権の行使は、女性にとって画期的な出来事だったのです。

このときの投票率は、男性78.5%、女性67.0%でした。

現在では、国政選挙も地方選挙も、投票率は50%に届かない状況です。

 

参政権は、女性だけの問題ではなく、男性も以前は一定額の国税を納めている人だけに認められたものでした。

制限をなくそうという運動の結果、1925年に普通選挙法が成立し、納税額の制限がなくなり25歳以上の男性に選挙権が与えられました。女性の参政権実現の20年前です。

 

男性の参政権運動は「普選運動(普通選挙運動)」と言われますが、「普選」も「婦選」も、私たちの先輩たちが苦労を重ねて実現できた権利なので、大切に使わなければならないのです。

 

さて、いま行われている統一地方選挙は、自治体の議会議員と長の選挙を、全国的に期日を統一して実施するものです。
多くの自治体で、4年に1度、3~5月に、議会の議員と長の任期が満了となるため、選挙にかかる事務や経費を減らしたり、地方自治に対する有権者の関心を高め、投票参加の呼びかけを一斉に効果的に行うために統一実施するものです。

昨年11月に可決された「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」により、今年の投票日は、 都道府県と政令市の議会議員と長が4月9日、 政令市以外の市区町村の議会議員と長が4月23日とされました。

 

地方選挙は、よりよい地域社会をつくっていくために、私たちに身近な地方政治に意思を表明する大切な機会です。忘れないように投票していただきたいと思います。

 

最後にトピックスを1つ。明治時代に、高知県に住む、夫を亡くして戸主となっていた女性が、「戸主として納税しているのに、女だからという理由で区会議員選挙の選挙権がないのはおかしい」と県に対して抗議したという歴史があります。

この人は、楠瀬喜多という女性で、1878年(明治11年)、男性と同じように納税の義務を果たしているのに、女性に選挙権がないのはおかしい、選挙権がないなら納税しないと県に抗議しました。しかし、県には受け入れてもらえなかったので、内務省に訴えました。1880年、県が折れ、戸主という限定はあるものの、楠瀬の住む上町町会で女性の選挙権が認められました。日本初の女性の政治参加が実現したのです。その後、隣の小高坂村でも同様の条項が実現したということです。

 

しかし、それから4年後の1884年、各区町村が独自に規則を設けてよいとする「区町村会法」が改正され、 女性は町村会議員選挙から排除されました。そして、1888年には「市制町村制」が定められ、女性は地方政治から法的に排除されたのです。

 

現在放送されているNHKの朝の連続テレビ小説「らんまん」は、当時の高知県が舞台となっており、この楠瀬喜多もドラマに登場するようです。高知県出身の島崎和歌子さんが演じるそうですが、どのような描かれ方をするのか楽しみにしています。

 

 

終わりは、マイ農園だよりです。

数年前に植えた梨、今年はこれだけしか花が咲きませんでした。今年は収穫はあきらめて、来年に向けて幹を太くしてもらおうと思います。ベランダのプランターのイチゴは、順調に実をつけています。今年は大きくて甘いイチゴがとれています。

ではまた。                         (2023.04.09)

 

 

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