早いもので、2月も終わりに近づきました。
ヒマラヤユキノシタが今年もピンクの花をたくさんつけました。梅も満開になりました。
お変わりありませんか。
今回は、女性の歴史に関するお話です。
私たちの母や祖母、そのまた母や祖母たち、多くの女性がそれぞれのくらしを紡いできました。
今日は、そんな女性の歴史に目を向ける演劇と、「あすばるライブラリー」に所蔵する福岡県の女性の歴史に関する書物をご紹介したいと思います。
<ジェンダー平等×演劇 「ミモザウェイズ―わたしたちの道」>
まず、「ミモザウェイズ―わたしたちの道」という演劇公演のご紹介です。
この公演は、演劇を通して日仏の交流とジェンダー平等を推進することを目的に結成された「日仏女性の人権架け橋 ミモザ実行委員会」が主催するもので、「あすばる」が共催、在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本などが後援しています。
この作品は,フランスで女性の権利をテーマにした舞台で高い評価を得ている劇作家のトリニダード・ガルシアさんが、1910年代日本の「青鞜」の時代から21世紀の現在までの、日本女性のジェンダー平等に向けての歴史を書き下ろしたオリジナルの脚本を舞台化したものです。(「青鞜」は、新しい女性の生き方を追求した女性文芸誌で、編集長の平塚らいてうが創刊号に書いた「原始、女性は太陽であった」の言葉が有名です。)
2022年、パリのドゴール空港で出会った3人の日本人女性が、100年前の「青鞜」の時代から、1970年代のウーマンリブの時代を経て、現在に至るまでの、日本の女性の歴史を紐解いていくというストーリーで、フランス風コメディタッチの劇になっています。
この度、国際女性の地位協会の赤松良子ジェンダー平等基金の援助を受けて、「あすばる」で公演を行うことになりました。
日仏女性の人権架け橋ミモザ実行委員会は、今後、47都道府県をめぐって公演する計画を立てており、その1番目が「あすばる」です。
公演日程は次のとおりです。
日 時: 令和5年2月27日(月) 19:00~
プレトーク 17:30 ~
令和5年2月28日(火) 14:00~
会 場: クローバーホール(クローバープラザ1階)
チケット: 一般 前売3,000円 当日3,500円 (学生は前売、当日とも2,000円)
チケットなどのお問い合わせ:日仏女性の人権架け橋 ミモザ実行委員会
050-3595-2200
ジェンダー平等という重いテーマをユーモアで紹介するこの演劇は、大変楽しみです。
多くの方にご覧いただきたいと思います。
<「あすばるライブラリー」の蔵書紹介>
福岡県の女性の歴史についても、目を向けてみてはいかがでしょうか。
「あすばるライブラリー」にも、地域女性史に関する書物を多数所蔵しています。
いくつかピックアップしてみました。
①福岡県女性史編纂委員会『光をかざす女たち 福岡県女性のあゆみ』(西日本新聞社、1993年)
②北九州市女性史編纂実行委員会ほか『北九州市女性の100年史 おんなの軌跡・北九州』(ドメス出版、2005年)
1975年の国際婦人年後、1980年代~90年代に、自治体で女性政策の一環として
女性史を編纂する動きが出ました。これらは、福岡県と北九州市が、それぞれ編
纂した女性史です。
③森まゆみ編『伊藤野枝集』(岩波書店、2019年)
④村山由佳『風よあらしよ』(集英社、2020年)
⑤中尾富枝『「青鞜」の火の娘 荒木郁子と九州ゆかりの女たち』(熊本日日新聞社、2003年)
「ミモザウェイズ」の劇に登場する「青鞜」に関わった女性・伊藤野枝に関する
書物です。伊藤野枝は、福岡県糸島郡今宿村(現在の福岡市西区)出身、20歳で
青鞜に参加し、後に平塚らいてうから編集長を引き継ぎました。火のように激し
くも短い波乱万丈の生涯を送り、今年は、没後100年です。
⑥佐藤瑞枝『福田昌子とその時代 戦後改革期 女性国会議員の10年』(ドメス出版、2021年)
福田昌子は、1947年の衆議院議員選挙で福岡一区から当選し、医師から国会議
員に転身した人物です。戦後最初の1946年衆議院議員選挙では39人の女性議員
が誕生しましたが、1年後に行われた総選挙では女性は15人に激減し、福田は九
州でただ1人の女性代議士となりました。福田は、「医学的に視ても女性の頭脳
は男性のそれに比して、能力的に然しも劣るものではない。それ故に我々は恐れ
てはならない」という医者としての信念がありました。
⑦井手川泰子『新 火を産んだ母たち』(海鳥社、2021年)
⑧林えいだい『《写真記録》関門港の女沖仲仕たち 近代北九州の一風景』(新評論、2018年)
⑨林えいだい『《写真記録》これが公害だ 北九州市「青空がほしい」運動の軌跡』(新評論、2017年)
これらは、群像として女性が描かれた書物で、採掘した石炭を地上に運び出す
過酷な労働を担った筑豊の元女坑夫の皆さんへの聞き書きをまとめた書物、明治
から昭和にかけて関門港の沖合に停泊する貨物船で荷役作業を行った「女沖仲
仕」の姿を記録した書物、高度経済成長期の北九州工業地帯で起こった公害問題
の解決に取り組んだ婦人会を描いた書物です。
林えいだい著の⑧と⑨の2冊には、私が書いた解説文も掲載されています。
是非お読みください。
あすばるライブラリーには、このほかにも多くの女性史の書物があります。
今の私たちのくらしは、脈々と続いてきた女性の歴史の中にあります。このことを再度思い起こし、歴史を次の世代につなげていかなければならないと思っています。
先達の歩いた道をたどってみませんか。
終わりは、マイ農園だよりです。
暖かい雨のおかげで、フキノトウが一斉に大きくなりました。たくさん収穫できたので、オリーブオイル漬けをつくりました。パスタにからめて芽吹きのほろ苦さと春のいぶきを味わいました。
年度末にかけて何かとあわただしい毎日だと思いますが、どうぞご自愛ください。
ではまた。
(2023.02.24)