久留米市/医療・福祉(障がい者福祉事業)職員総数319名(女性204名、男性115名)
2021年男性育児休業取得率63%(5名)平均取得日数85日
<インタビュー>法人事務局:池田一子さん、育児休業取得者:井浦章雄さん、(写真中央は理事長の日野博愛さん)
1957年、久留米市で創業したゆうかり学園。「福祉の原点は心である。仕事はどれだけしたかより、どんな心でしたかが大切である」を基本理念として、障害者医療と福祉支援のための6つの施設を運営しています。
職員約320人のうち女性が約7割を占めており、女性の育児休業取得率は100%です。
「昔から女性が多い職場で、女性が出産しても働き続けられるように、1981年から事業所内に託児所を開設し、その5年後に育児休業制度を導入するなど、いち早く取組を行ってきた結果、周囲の理解が浸透しているんですよ」と法人事務局の池田一子さん。
男性への取組は、4年前に初めて対象となった男性職員が育児休業の取得を断念したことをきっかけに始まったそうです。「育児休業の給付金だけでは、経済的に不安ということで、結局は有給休暇を全て取って対応するとご本人が決められました。私たちはそのときに初めて、男性が育児休業を取得することの難しさを知り、もっと法人側も育児休業制度について勉強して、職員の不安に応えられるようにならなければと強く思いました」と池田さん。
「男女関係なく、育児休業の取得に力を入れよう」という、日野博愛理事長の方針の下、業務契約をしている社会保険労務士事務所に相談して、「育児休業は、男性も取得できます!」と題したパンフレットを作成しました。まずはトップ層への理解を深めるため、所属長会議で内容をしっかり説明。その後、運営会議や法人内のネット掲示板でも職員全員に周知し、相談窓口には「これからパパになる方へ」というパンフレットを用意して、育児休業を検討する際の不安や疑問を解消できるように努めてきました。
すると翌年の2021年、育成部の井浦章雄さんを皮切りに5人が男性育児休業制度を利用しました。平均取得日数が85日と長いことも特徴です。
男性育児休業取得者第1号となった井浦さんは、「法人として男性育児休業を推進するという明確なメッセージを発信しているので、思い切って相談することができました」と当時の心境を振り返ります。
井浦さんは、2人目の子どもが生まれてすぐ、1か月ほど育児休業を取得。その後、妻が産後6か月で希望する仕事が見つかったため、妻の就職に合わせて半年ほど2度目の育児休業を取り、子ども2人の世話と家事を担いました。
「育児休業に入る前と復帰後は、理事長に挨拶に行くことになっていて、理事長から『頑張ってね』『待っているから』と送り出してもらい、『おかえり』とあたたかく迎えてもらって、とても安心できました。半年間の育児休業中は、子どもたちとかけがえのない時間を過ごせたものの、社会から隔絶されたような孤独感も味わいました。そんなとき、職場の人が『こっちは大丈夫だよ』『お子さん大きくなった?』とメールをくれたことがうれしかったです」。
「井浦さんが最初に育児休業を取得してくれたおかげで、他の人も取りやすくなったと思います」と池田さん。井浦さんも同僚から育児休業について相談されると「ぜひ取った方がいい」と後押ししているそうです。
「理事長は、育児を経験することで視野が広がり、人生にも仕事にもいい影響が出ると考えられています」と池田さん。
「男性の育児休業取得率100%を目指したいと思っています。育児休業を取った男性が上司になると、育児休業を希望したり、子育てをしている部下の気持ちや状況もよく理解して、マネジメントができるようになるでしょう。子育ては1歳以降も続くので、色々な両立支援の制度も含めて、これからも情報を分かりやすく発信して周知を図っていきます」と力強く語ってくれました。
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