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【センター長コラム】「男女共同参画社会基本法」の基礎知識(その1)男女共同参画社会とは  (2020年10月28日配信)

こんにちは。お変わりありませんか。

庭の花木や草花は、すっかり秋の装いになりました。今回お届けする花は「加賀わびすけ」と、秋の庭の定番、「ホトトギス」です。ホトトギスが咲くと、秋だなと思います。

 

 

    先日、糸島市の職員研修と、福岡県の新採職員研修に行ってきました。どちらも、男女共同参画に関する基礎知識についてお話をさせていただきました。

 

  

 

1999年に制定された「男女共同参画社会基本法」には、「男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置づける」とうたわれていますが、法制定から21年が経過しており、私たちは、男女共同参画社会基本法について、知っているようで、意外に知らないことも多いのではないでしょうか。

 

そこで、改めて、「男女共同参画社会」とはどのような社会か、なぜ「男女共同参画」というのか、なぜ男女共同参画社会を実現する必要があるのか、男女共同参画社会基本法の「基本法」とは何かなど、男女共同参画社会基本法について、まとめておきたいと思います。シリーズでお届けします。

 

まず、「男女共同参画社会」とはどのような社会かについてです。

このことは、男女共同参画社会基本法の中に、ちゃんと定義されています。

「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。(第2条)

 

要約すると、①男女は平等である。

      ②自分の意思によって、どんな分野にも参画することができ、利益と

     責任を共有する。

という、2つのことを言っています。

 

男女共同参画社会基本法は、男女平等を当然の前提とした上で、さらに、男女が各人の個性に基づいて能力を十分に発揮できる機会を保障することを重要な基本理念としているのです。

 

では、なぜ、男女共同「参画」というのでしょうか。

それは、意思決定への参加が要であるという点を強調するためです。

「参画」は、単に女性の参加の場を増やすだけでなく、その場において、政策や方針の決定、企画等に加わるなど、より主体的な参加姿勢を明確にするために用いられた言葉なのです。

 

 

では、「男女共同参画」という言葉、いつごろから使われるようになったのでしょうか。

 この言葉が国の公文書に初めて使われたのは、1991年5月に決定された「西暦2000年に向けての新国内行動計画(第一次改定)」です。この「第一次改定」は、平成12年度(2000年度)に向けての基本的施策と、それに基づいて、向こう5年間(平成3年度(1991年度)から7年度(1995年度)まで)に行う具体的施策が書かれています。

 

この中で、21世紀の社会は、男女が、あらゆる分野へ平等に共同して参画することが不可欠であるという認識の下に、それまでの「共同参加」から「共同参画」へ改められました。

「第一次改定」のサブタイトルは、「男女共同参画型社会の形成を目指す」です。

このときに使用された「男女共同参画」が、以後、我が国の女性政策のキーワードとなりました。

 

 

次に、なぜ、男女共同参画社会の実現が必要なのでしょうか。

それは、

①我が国では、憲法に男女平等がうたわれ、国際社会の取組とも連動しつつ、男女平等の実現を推進してきたが、なお一層の取組が必要なため、

②少子高齢化の進展や経済の成熟化など、わが国の社会経済情勢の急速な変化に対応するためには、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮できる社会の実現が緊急の課題となったため

で、このことは、男女共同参画社会基本法の前文の中に示されています。

 

日本国憲法には個人の尊厳と男女平等がうたわれ、国際的には、1975年の国際婦人年以降、4回の世界女性会議や女子差別撤廃条約の批准とも連動しつつ男女平等に向けた取り組みが進められてきましたが、現実の社会においては、人々の意識の中に形成された固定的性別役割分担意識からくる事実上の男女格差があり、特に、他の先進諸国と比較して、女性の政策・方針決定過程への女性の参画が遅れていました。

 

また、少子高齢化の進展や、国内経済活動の成熟化・国際化といった、急速な社会経済情勢の変化の中で、我が国が持続可能な発展の道を確保するためには、女性の労働力という観点だけでなく、女性の視点や知恵といった新しい価値が必要とされました。

つまり、画一化、均質化よりも、多様化、個性化を重視した新たな価値を創造していく必要があり、そのためには、男女を問わず、個人がその能力と個性を十分に発揮できる社会の実現をする必要があったのです。

 

個人の生活においても、男性だけが生計維持の責任を担うのは難しくなっていました。共働き世帯が増加する中で、家族形態や地域社会が変化し、子育てや介護といった家庭責任も、男女が共同で分担することが必要になっていました。

 

このように、社会経済情勢の変化に対応するために、男女共同参画社会の実現は、喫緊の課題となっていたのでした。

 

今回は、男女共同参画社会とはどのような社会か、なぜ男女共同参画社会の実現が必要かについて見てきました。次回は、なぜ、法が必要だったか、「基本法」とは何かについてお話ししたいと思います。

 

さて、糸島市役所で、「糸島シトラスリボンプロジェクト」という大変興味深い取組が行われていたのでご紹介したいと思います。

 

  

シトラスリボンプロジェクトは、コロナ禍の中、感染者への差別や偏見のない社会をつくろうと、愛媛県で生まれたプロジェクトで、愛媛県特産の柑橘にちなんだシトラス色のリボンをつけ、「ただいま」「おかえり」といったあいさつを交わし合える関係を築くことで、思いやりのあるまちづくりをしようという活動です。リボンの3つの輪は、「地域」「家庭」「職場・学校」を表しています。

 

糸島市も、この活動に賛同し、市内の障害者福祉施設のネットワーク「糸島スマイルネットワーク」が、シトラスリボンのストラップやバッジなどを製作し、市民みんなに広げようと取り組んでいました。

 

共に生き、共に支え合う地域づくりは、コロナ禍のその後も見据えた素晴らしいまちづくりの取組だと思います。

 

 

 最後は、マイ農園だよりです。

秋ナスがとれています。少し皮が固いですが、ぬかみそ漬けにしたり、しぎ焼きにしたりして楽しんでいます。ベランダのプランターでは、何株かのイチゴが実をつけました。秋にイチゴをとったのは初めてです。小粒ですが、思ったより甘かったです。

ではまた。                         (2020.10.28)

  

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