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【センター長コラム】 記録と記憶   (2020年3月27日配信)

チューリップが見ごろになりました。

青と白の花はハナニラ。細長い葉っぱをちぎると、ニラのにおいがします。

庭に出ると小さな鳥がいました。逃げる気配もなく飛び回るので、小鳥に好かれたと喜んでいましたが、この鳥はジョウビタキ、縄張り意識が強いそうです。私に、「あっちに行け」と威嚇していたのですね。
 
  
 
 

日本国憲法草案を書いたベアテ・シロタに関するコラムの中で、男性の歴史(his story)に対する「女性の歴史」についてふれました。

今日は、「地域女性史」に関するお話を少ししたいと思います。

 

「地域女性史」とは、文字どおり、地域の女性の歴史です。

以前の市史や町史などには、女性はあまり登場せず、地域の歴史も、his story、つまり男性の歴史でした。

 

男女共同参画を推進するために、女性の生活や活動を掘り起こし、女性たちが地域の発展に果たした役割を明らかにすることが重要であるとして、1980年代頃から全国的に、地域女性史の編纂が行われました。

 

女性が歴史を持つ、歴史を知るということは、女性たちが自信や誇りを持つことにつながるのです。

 

福岡県でも、1993年に『光をかざす女たち―福岡県女性の歩み』が発行され、隣の佐賀県では2001年に『さがの女性史』が発行されました。

 

私は、北九州市が2005年に発行した『おんなの軌跡・北九州―北九州市女性の100年史』に編纂委員の一人として参加しましたが、そのときに、女性に関する史料の少なさを実感しました。

 

その後、女性団体の歴史や活動の調査・研究をしたときは、話を聞かせてくれる人はいるのですが、書かれた資料がないことが多い状況でした。

 

あすばるでは、地域で活動している団体の情報を登録し、まちづくりを進める際に行政と団体が連携したり、団体同士が情報交換や連携したりできるように、地域で活躍する人々の集まりを星々の集まりである「すばる」に見立てた「地域のすばる」という検索サイトを開設しました。

それは、女性たちの活動を文章化して記録に残したいという思いがあるためでもあります。

 

「地域のすばる」への登録は女性団体に限りませんが、今、地域で活動している女性団体の皆さんには、是非登録していただきたいと思います。

 

私が地域に伺うと、いろいろな方から、こんなことをしている、あんなことをしていると、団体の活動について話をきくことがあり、すばらしい活動だと思うのですが、当事者のほうは「すごい」ということを意識していない場合があります。

 

自分たちは当たり前と思っていても、ほかの団体から見れば、思ってもいないような着想があるのです。「地域のすばる」サイトは、そういった学び合いの場になることも目指しています。

 

団体にとっても、活動内容を登録するに当たって、団体の歴史を振り返ることで、自分たちの活動を見直し、今後の活動の発展につなげることができると思います。

 

よく、スポーツ選手が「記録に残るよりも記憶に残る選手になりたい」というのを耳にしますが、そんなとき、私はいつも女性史のことを思います。

 

スポーツ選手の言葉は、確かに一理ありますが、私は女性史に携わってみて、記録は大事だと思います。

記録に残ってこそ、存在したことになり、記憶にも残ると思うのです。

 

終わりは、収穫物の話題です。

先週末、実家の田んぼに、つくし摘みに行きました。少し時期が遅かったようで、穂先が開いていましたが、よさそうなものを選んで、卵とじにしました。

 

 

我が家の桜はもう3分咲きといったところです。自然界では、春が着実にやってきています。

ではまた。                           (2020.03.27)

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