アクションを起こそう ―女性、宗教、暴力、権力
ジミー・カーター著 伊藤淑子・千年よしみ・釜野さおり訳 国書刊行会
第39代アメリカ大統領(1977~81年)を退任後、人権擁護の活動を続けるカーター氏は「経済格差の拡大と同じぐらい深刻で、しかも知られていない問題は、女性と女児の虐待と貧困である」と書いています。影響力のある人が誠意をもって問題に向き合う姿は、私たちにも勇気を与えてくれます。
AV出演を強要された彼女たち
宮本 節子著 筑摩書房
普通の女子学生が「モデルにスカウトされ、行ってみたらアダルトビデオだった」。そのときなぜ断らなかったの? という疑問に、この本は巧妙な勧誘のプロセス、契約書の内容からAV業界の構造まで示して丁寧に答えます。このような映像の需要があることについて「なんという性の貧しさか」という著者の一言は心に刺さります。
子どもを守る防災手帖 被災ママ1089人の声に学ぶ!
MAMA-PLUG編・著 KADOKAWA
東日本大震災から昨年の熊本地震まで、実際に被災された方、とくに小さいお子さんを抱えたお母さんたちの生の声がマンガやイラストも交えて紹介されています。被災直後の食事の記録、子どもに起こるストレスなどの具体的な事例は、日頃からの防災のヒントになると思います。
算法少女
遠藤 寛子著 筑摩書房
江戸時代、町人の娘ながら算法が得意な少女あきは、算法で家族や困っている人をたすけ、自分の生きる道を見つけていきます。「算法の底にある、正しいものを冷静にみとめる考え方」に導かれて進んでいくあきの姿は、「女子に数学を教えて何になる」という発言に対する、きっぱりと鮮やかな答えです。
しごとをとりかえただんなさん ノルウェーの昔話
え:ウィリアム・ウィースナー
やく:あきの しょういちろう 童話館出版
いつも畑で仕事をしているだんなさん。家の仕事をするおくさんが楽にみえてうらやましくて、ある日、仕事を取りかえるのですが、さぁ、どうなったでしょうか…
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はい。赤ちゃん相談室、田尻です。
著者:田尻由貴子 出版社:ミネルヴァ書房
2007年に熊本で運用が始まった「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」と、併設している「SOS電話」の立ち上げに携わった著者。預けられる赤ちゃんは減っているものの、若い人からの望まない妊娠についてなどの深刻な相談は増えているそうです。社会全体で考えなければならない現実です。
その島のひとたちは、ひとの話をきかない
著者:森川すいめい 出版社:青土社
精神科医の著者が「自殺希少地域」の存在を知り、「自殺の少ない町はきっと『癒しの空間』なのだろう」と期待しながら出かけていくと…。予想とはちょっと違う展開にとまどいながら、そこで感じたことを書き留め、まとめた本です。思いがけない生きやすさのヒントが見つかるかもしれません。
チェルノブイリの祈り
著者:スベトラーナ・アレクシエービッチ
翻訳:松本妙子 出版社:岩波書店
昨年のノーベル文学賞を受賞したベラルーシの女性ジャーナリスト、アレクシエービッチの著作は、戦争や原発事故などの体験をした人たちからの聞き書きです。つらい記憶が語られているはずなのに、読んだ後に心に残るのは普通の人の幸せそうに暮らす姿です。読み終わるのが惜しくなるような本。
『暮しの手帖』と花森安治の素顔
著者:河津一哉、北村正之 出版社:論創社
『とと姉ちゃん』のおかげでたくさん出版された『暮しの手帖』関連本の1冊。元・社員で編集者の2人が語る、社員の目からみた会社と編集長について。それから『暮しの手帖』は出版業界の中で考えたときにどんな雑誌だったのか。内と外からの視点で見直した、ちょっとユニークな本です。
ぼおるぺん古事記 一 ~ 三
著者:こうの史代 出版社:平凡社
話題の映画『この世界の片隅に』の原作者による古事記の神代編の漫画です。現代語訳の古事記を読んだときに性格が悪そうに思えたアマテラスが、漫画ではとてもチャーミング。男性が文字で伝えてきた物語に女性のペンが入ることで、男女共同参画の光が当たった新しい古事記になっています。
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ひみつの王国 -評伝 石井桃子-
著者:尾崎真理子 出版社:新潮社
「大人になってからのあなたを支えるのは、子ども時代のあなたです」という言葉を残した児童文学者の石井桃子。『ピーターラビット』『くまのプーさん』『ドリトル先生』『ぐりとぐら』などの物語を世に送り出し、夫も子どもも持つことをせず、常に仕事をしながら101年の人生を生きました。
化粧の日本史 美意識の移りかわり
著者:山村博美 出版社:吉川弘文館
今、女性の眉の太さや形は世相を表すともいわれますが、昔、眉化粧には未婚・既婚の表示の役割がありました。自分の意志でやっている(と思っている)化粧ですが、美しさの基準はあくまでも社会や時代とのかかわりで決まります。一方で、美しくなりたいと願う気持ちはいつの時代も本当に同じです。
ヨーロッパ・コーリング 地べたからのポリティカル・レポート
著者:ブレイディみかこ 出版社:岩波書店
著者は福岡市の出身で、英国に移民し、保育士として働きながら子育て中。かつて「ゆりかごから墓場まで」と謳われ、今は格差、ナショナリズム、EU離脱などで激しく揺れる英国のレポートですが、スコットランド国民党を率いる女性党首ニコラ・スタージョンなど、新しい風が吹く予感に満ちています。
僕たちはガンダムのジムである
著者:常見陽平 出版社:日本経済新聞出版社
「機動戦士ガンダム」の中で、地球連邦軍の切り札として開発されたロボット兵器がガンダム、その他大勢の量産型ロボットがジム。性能は悪くはないが良くもなく、コストが安いので武器は貧弱。ガンダムになるつもりで社会に出て、自分はジムだと悟った時、人生はそこからが本当の勝負だ、という本。
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アカガミ
著者:窪美澄 出版社:河出書房新社
2度目の東京オリンピックから10年後。性や恋愛への関心を失っていく若者たちを対象に、「番い」になって「まぐわい」により子どもをもうければ手厚い社会保障が受けられるという国の制度「アカガミ」に志願し、「番い」となった男女の物語。冷たい雨の降る街の向こうに、二人が最後に見た風景は・・・。
消滅社会
著者:村田沙耶香 出版社:河出書房新社
生殖は人工授精のみで行われ、夫婦間のセックスは近親相姦とされる社会。主人公の女性は、自分が両親の「交尾」で生まれたことに嫌悪感をもち、自らもいつか「交尾して」子どもを産みたいという衝動にかられるのではと恐れています。男性も人工子宮を付け、男女を問わず人工授精で妊娠する実験都市へと移住した彼女の見た風景は・・・
千の顔をもつ英雄 上・下
著者:ジョーゼフ・キャンベル
訳:倉田真木、斎藤静代、関根光宏 出版社:早川書房
『スターウォーズ』の原案ともいわれる神話学の古典の新訳。危険を冒して旅立ち、超人的な力に遭遇し、決定的な勝利を収め、元の世界に帰還するという、世界中の神話の中に共通して描かれる英雄の姿。今よく言われる男性の生きづらさの原点を、理想の英雄像から探ってみるのはどうでしょうか。
蔡英文 新時代の台湾へ
著者:蔡英文 監訳:前原志保 出版社:白水社
著者は今年5月に台湾初の女性総統に就任しました。この本では前回2012年の総統選挙で敗れた後、台湾各地や世界を回っていた間のことがつづられています。経済の専門家らしい視点から語られる文章のあちこちから、彼女のユーモアや常に前向きな人柄がうかがえる、爽快な一冊です。
女性が活きる成長戦略のヒント 20/30プロジェクト。
小池百合子編 出版社:プレジデント社
「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という内閣府の『2020年30%』の目標。これを選挙公約にも掲げた自由民主党に所属する女性議員たちが、政治を志した原点や目指す目標について、自らの言葉で語ります。
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女子のキャリア 〈男社会〉のしくみ、教えます
著者:海老原嗣生 出版社:筑摩書房
女性が社会で思い通りのキャリアを積めないのは、男社会に女性を迎え入れるとまどいが今でも大きいからかもしれません。この本で語られるような男社会のしくみを知っておくことは、壁にぶつかったとき、折れずにしなやかに先に進む判断力になります。女性のみならず、男性にもおすすめの本です。
男らしさの社会学 揺らぐ男のライフコース
著者:多賀太 出版社:世界思想社
今の世の中で、男性に求められる「男らしさ」が本当に多種多様になっていることがわかる本です(男性は大変!)。学校でつくられる男らしさ、能力主義の社会を勝ち抜く力、育児参加する父親像、第二の人生で求められる柔軟性、等々。それは女性に求められてきた「女らしさ」を映し出す鏡でもあります。
経産省の山田課長補佐、ただいま育休中
著者:山田正人 出版社:文藝春秋
三番目の子どもの誕生を機に、男性のキャリア官僚で初めて一年間の育休をとった著者。育休パパとして経験する子育てのとまどいや喜び、仕事を離れることの不安、得たものの大きさが伝わってきます。男女を問わず、子育ては仕事のリスクではなくメリットだと胸を張れる社会にしたいです。
「私」を受け容れて生きる ―父と母の娘―
著者:末盛千枝子 出版社:新潮社
すえもりブックスを立ち上げてたくさんの美しい絵本を出版し、今も被災地の子どもたちに絵本を届けるプロジェクトを続ける著者の自伝的エッセイ。多くの人との出会い、本との出会い、それと同じくらい多くの別れについて書かれています。人生の価値はどんな別れを経験したかで決まるのかもしれません。
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男性権力の神話
著者:ワレン・ファレル 出版社:作品社
男性は女性より平均寿命が短く、自殺率は高い。日本でもアメリカでも変わらない男性の生きづらさを著者は「ガラスの地下室」と呼ぶ。人が本人の生まれつきの性別によって損も得もしない社会の実現には、男性差別についても目を向けることが必要だということを、豊富な例を挙げて伝えてくれる本。
専業主婦になりたい女たち
著者:白河桃子 出版社:ポプラ社
同じ著者の『「専業主夫」になりたい男たち』(ライブラリーに所蔵)と併せて読むと、女性、男性それぞれのパートナーへの意識がわかる(気がします)。女性も男性も、自分もしくはパートナーに最初から“専業”を求めるのは、今ではとてもハイリスクな生き方だと覚悟するべきなのでしょう。
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読めよ、さらば憂いなし
著者:松田青子 出版社:河出書房新社
本や映画に向き合いながら著者が感じた共感、あるいは些細な違和感のようなもの。それを小さな穴として覗いた先に作品の本質が俯瞰で見えてくるような、鮮やかな書評、映画評です。この本を読んですっと腑に落ちた男性は、女性を大活躍させる男性管理職になれるでしょう。(ちなみに著者の名前は“まつだあおこ”と読みます)
母の母、その彼方に
著者:四方田犬彦 出版社:新潮社
ある日届いた1通のメールから、彼は家族内でも秘められていた祖父の前妻の存在を知る。日本女子大学校で平塚らいてうと机を並べた祖父の前妻の柳子。柳子の遺した子を育てた後妻の美恵と、その娘の昌子。明治・大正・昭和をそれぞれの流儀で生き抜いた3人の女性を、昌子の息子である四方田犬彦が語ります。
リベンジポルノ 性を拡散される若者たち
著者:渡辺真由子 出版社:弘文堂
ネットのトラブルが珍しくない現在でも、性的な画像や動画を相手の同意なしに公開・拡散する「リベンジポルノ」に関しては、被害者側に落ち度があるのでは、と思われがちです。なぜ撮らせたのか、なぜ渡したのか。被害者と加害者の双方から声を集めてその疑問に応えながら、被害拡大の一因が社会にもあることを示します。
高校生からわかる政治のしくみと議員のしごと
著者:山田健太、三木由希子ほか編集・執筆 出版社:トランスビュー
議員の公約や政党のマニフェストの善し悪し、政治家の発言の真意などを判断するのは有権者です。そのために必要なのは、社会のしくみや政治選択についての基礎知識。それを一問一答形式で解説しています。20~30代の若手の執筆者が多く、オーソドックスな疑問にも今の視点からの説明がついていて新鮮です。
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いつかリーダーになる君たちへ
東大人気講義チームビルディングのレッスン
著者:安部敏樹 出版社:日経BP社
東京大学の教養学部で「世界で活躍するリーダーを育てる」ことを目的としたゼミの実践記録。そもそもチームでの活動があまり得意とは言えない東大生たちが、トレーニングを積んでソーシャルビジネスのプラニングに取り組んで、最後に発表するビジネスプランがユニークで面白いです。
神様の背中 ~貧困の中の子どもたち~
著者:さいきまこ 出版社:秋田書店
貧困、DV、虐待など、活字で読むにはちょっとエネルギーが必要なテーマですが、漫画なので肩肘張らずに手に取れます。すべての子どもたちが幸せに暮らせるように、子どもたちが発する必死のSOSに気付くことができるためにも読んでおきたい本です。
男の弱まり 消えゆくY染色体の運命
著者:黒岩麻里 出版社:ポプラ社
男を男たらしめているY染色体は退化の一途をたどっている、というショッキングな事実。「男はつらいよ」というのは生物学的にも本当らしい。そもそも生物になぜ「性」があるのか…と考えることは男女共同参画の最初の一歩になるかもしれません。
私たちの声を議会へ
著者:三浦まり 出版社:岩波書店 岩波現代新書
議員さんって私たちの希望や意見がわかっているのかな、と思うことはありませんか。政治家は人々を代表しているわけですが、そもそも「代表」とはどういう意味なのか…というところから考える本。
私たち主権者の側も政治家との双方向コミュニケーションの質を高める努力をすることで、もっと声が届いて、よりよい未来への道筋が見えてくると思います。
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