今年度のフォーラムでは35の団体による講演会やシンポジウム、ワークショップなど、さまざまな催しを実施しました。その中で今年度のテーマ「女性の活躍が社会を変える~ともに助け合い、もっといきいきと~」に沿った企画を10団体が実施し、その内容を各団体のみなさんにご報告いただきました。
主催団体:ゼミナールFUKUOKA21 ジェンダー研究会
セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)という言葉を良く耳にするようになりました。しかし、多くの方が、何か特別な感じを持って、差別や否定の言葉を発しています。
当事者の方は理解者の無いことに苦しみ、自己を否定し、自死まで考えたりします。
そのことを お互いに学び合おうとこのテーマを取り上げました。
講師も参加者を理解して下さり、不安にまた不便に思うことなど具体的に、率直に話して下さり、参加者も学びたいとの思いで真剣に耳を傾けました。
質問では、親は子どもにどう話しかけたらよいのだろうか、また、身近な人が隠さなければならない状況にあるなど、他、多数意見が出されました。
女とか男とかの固定観念で無くその方自身をありのまま受け入れ、理解することの大切さを学んだ良い企画でした。
主催団体:女性起業家スプラウト
『もっとも身近な家庭という場から男女共同参画を考えよう』というコンセプトのもとにワークショップを開催しました。前半は料理教室を行いました。参加者は料理の経験がある方とない方とがいらっしゃいましたが、数人で協力しながら調理するという作業を通して料理の楽しさを実感していただけたようです。後半はつくった料理を食べながらゲスト講師の宮原礼智さんと家庭内の家事分担について意見交換を行いました。料理を楽しみながらつくり続けるコツやレシピの考え方といった実践的なお話を宮原さんから伺った後は参加者からの質問が相次ぎ、和やかな雰囲気ながらも活発な意見交換となりました。 いきなり豪華なメニューを何品もつくるのではなく、ご飯をといで炊飯器のスイッチを入れるといった簡単なことからやっていきたいというご意見が多く、当イベントへの参加が家庭内の家事分担を考える、また気軽に進めていけるきっかけになったようです。
主催団体:ビバーチェ!(NPO法人会議力向上研究会内女性活性化プロジェクト)
『女性による女性のためのハッピーな会社を考えよう』をテーマにワークショップを開催しました。参加者をランダム5つのグループに分け、実際に福岡の様々な場で活躍する5名の女性をゲストとしてお招きし、グループリーダーを務めていただきました。グループごとに架空の会社を設立するという設定で、どんな商品(サービス)を開発しようか?福利厚生は?どんなルールをもうけようか?等といった様々な観点を日頃の悩みや経験からでた知恵を出しながら議論。グループワーク後の発表では、理想の会社とは「ワークシェアリングにより子育て中の女性がそのライフステージに応じて働くことができる会社」などの意見が出され、それぞれのグループの個性が発揮され大いに盛り上がりました。
グループワークを通して「どんな会社だと働きやすいか」など、身近な課題を考えることで、男女共同参画を自分の事として考える良い機会となったようです。
主催団体:男女共同参画ネットワーク春日
春日市の男女共同参画まちづくりテーマソング「男女のちから」。この歌は男女共同参画社会の実現は、男女一人一人の幸せ、パートナーとの関係から始まる家族の幸せ、さらに、地域社会みんなの幸せに繋がる社会づくりであることを表現したものです。オープニングでは、本会の会員ら20名による合唱を披露。会場は大きな感動に包まました。
その後上映した「SWITCH」は、人間の可能性は無限大であること、また、一人一人が自分の使命(氏名)を生きること、つまりはありのままの自分で自分らしく生きることの大切さを教えてくれる作品で、男女共同参画におけるキーワードである、ひとりひとりの個性と能力を発揮し社会に貢献することの大切さを感動とともに参加者に感じていただけたと思います。
会場は、多くの参加者で満席になり、頭での理解ではなく、心に訴える男女共同参画の啓発にな啓発になり、企画の意図するところが達成され主催者として大変うれしく思います。
主催団体:特定非営利活動法人 博多ウィメンズカウンセリング
震災という非日常状態の中、社会は保守化し、性別役割分担意識が強化されました。震災から間もなく2年ですが、新聞やテレビ、インターネットから流れてくる情報に大きな差がある状況は変わっていません。地震・津波・原発の問題を抱える福島に暮らす人々、特に女性や子供たちはどのように暮らしているのか、その現状と、相談の現場から見えてくる女性たちの生きづらさを内閣府「女性のための電話相談・ふくしま」の拠点責任者である丹羽麻子さんに話していただきました。被災地の直近の写真から「どこがおかしいのか?」を探りました。洗濯物が干されていないベランダ。人がいない公園、よく売れる家電や食糧など、被災地では九州で暮らす私たちの想像を超えた生活をいまだ強いられていることが参加者にも実感していただけたのではないでしょうか?質疑応答も活発に行われ、一人一人が問題意識を持って、自分に何ができるかを問うことができた講演会でした。
主催団体:総務省男女共同参画担当委員有志
行政相談制度は、行政の仕組みについての苦情や要望をお気軽に相談していただける、素晴らしい国の制度で、今年50周年を迎えます。この制度を一人でも多くの方に知っていただき、活用していただくため、ビデオでの紹介や県内各地で活動している行政相談委員による相談事案報告を行いました。また、元新聞記者の藤井千佐子さんが「仕事を通して見えた男女共同参画社会の現実と課題」と題して講演。男社会と言われる新聞社で、数少ない女性記者として40年余り働いてこられた経験や、福岡県女性研修の翼の団長として訪問したオランダの同一労働同一賃金によるワークシェアの実現、フランスの充実した子育て制度などのホットな情報に参加者の皆さんは熱心に聞き入っていました。「今日から新しい自分づくりに挑戦して参ります。」や「行政相談を通して見えてくる“男女共同参画”もある。」などの感想が寄せられるなど有意義な内容となりました。
主催団体:福岡女性学研究会
欧米諸国では、意識の面でも実態においても性別役割分業の流動化が進んでいる中で、日本は未だにそのような方向への進展がみられないのは、何故だろうか?この問題について本会員の共著としてまとめた上記の本を基に、シンポジウムを開催しました。今回は3人の大学生をパネラーとして、あらかじめ著者側のパネラー3人が執筆した章‐「性別役割分業という暴力」「税制・年金制度における『モデル世帯』を問う」「リプロダクティブ・ヘルス/ライツと自己決定権」‐を中心に読んでいただきました。彼女らはその所感をレジュメにまとめて発表し、著者や参加者達との間で質問や意見の交換が活発に行われました。参加した複数の男子学生からも各自の体験や意識を振りかえっての真摯な意見が述べられるなど、充実した交流が実現できました。前回とその前に社会人女性、つぎに男性を対象にしたのに続いて、今回の若い世代にも、この問題に対し積極的に取り組もうとする姿勢が見えたことが大きな成果でした。
主催団体:審議会等委員の会 セミナーメイト
筑前町長田頭喜久己さん、九州大学大学院教授樗木晶子さんの両名をお迎えして、地域と職場における男女共同参画推進の具体的な事例とともに今後の取り組みについて話をしていただきました。
町の目指す目標と施策に男女共同参画推進は基本的なものであると言われる町政のトップの話を直接きくことで、自分たちの在住する地域への刺激と啓発の手がかりを得られる事を実感しました。
医療界での女性のキャリアを途切れないシステム作りを推進されている樗木教授。3人の子どもを育てながら医師として働き続けたご自身の体験を交えつつ、取り組みをわかりやすく紹介していただきました。あらゆるところで女性たちが自分らしく生きられる環境づくりの必要性に改めて気付かされました。
今後に続くお二人の話に参加者は熱心に耳を傾けられ、質疑応答では質問が多くあがり、男女共同参画を考える有意義な時間になったようです。
主催団体:女性問題学習会オオムタ
私たち「女性問題学習会オオムタ」は長年にわたり、様々な社会の変化と女性に関する歴史的認識を踏まえながら、男女共同参画社会の実現を目指して学習を続けてきました。
2006年4月「大牟田市男女共同参画推進条例」が施行されました。この条例を広く市民に啓発し、浸透させるために「カルタ」を制作することにしました。男女共同参画社会の速やかな実現を目指して、2006年から2010年の5年間にわたり、「一行詩・川柳・標語」を公募した結果、市民から448点にものぼる応募がありました。
この5年間の公募作品の中から、大牟田市男女共同参画推進条例の5つの基本理念に基づいた50句を選び、「男女共同参画カルタ」にしました。
私たち学習会は、いろんな場に「カルタ」を展示し、イベントへの参加を通して、「男女共同参画社会」が1歩でも前進することを願いながら取り組んでいます。
主催団体:ふくおか県「翼の会」
前千葉県知事堂本暁子さんに、ジャーナリストとして過ごした時代、政治家として生きることを決心したきっかけと参議院議員時代の仕事、千葉県知事を2期務めた間の思いと活動、その後引退を意識する中、3・11を契機に、使命感と情熱をもって活動を開始し、現在に至るまでのプロセスをお話しいただきました。実践に裏づけされた迫力ある語り口と、まっすぐに人を思う気持ちの強さは、会場内の参加者の心に訴えるものがありました。フロントランナーとして走り続け、女性の立場を代弁の上で社会を変革してきた堂本さんは、意思決定の場に女性がいることの必要性と、いないことの怖さを何度も繰り返しメッセージとして発信して下さいました。「女性には社会を変える力も責任もある」そのことをより多くの女性が自覚し、次なる一歩を踏み出す勇気につなげたいとの思いで企画をした講演会でした。その趣旨が十分に参加者同士で共有できたものと感じております。
【フォーラム2012】