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【フォーラム2011】パネルディスカッション

 女性の自立と活躍で社会を変える 思いやり、支えあって前へ進もう


地域で活躍している女性、企業のトップ、企業で働いている女性、あすばる館長をパネリストに、基調講演での講師、藻谷浩介さんをコーディネーターに迎え、あすばる男女共同参画フォーラム2011のテーマ『女性の自立と活躍で社会を変える~思いやり、支えあって前へ進もう~』で熱く語っていただきました。

パネリスト
篠崎 正美さん
中村 高明さん
藤田 宜子さん
村山 由香里

コーディネーター
藻谷 浩介さん

それぞれの立場から・・・・


藻谷: 篠崎さんは、地域での活動と共に、大学や、研究所などで研究活動を続けられていらっしゃいますが自己紹介を兼ねてお聞かせ下さい。

篠崎: 私は6歳の時に、中国から産炭地の一角に引き上げてきました。その後に石炭から石油へのエネルギー政策の大転換にあい、まじめに働いている大人たちがなぜこんなに困らなくてはいけないのかという思いから大学で社会学を学びました。社会学を背景にジェンダー論・家族論・地域社会学を中心に研究活動の傍ら地域でも女性団体の設立に関わり、2度の退職を経て現在も活動を続けています。

藻谷: 理論と実践面から多面的に幅広くご活動されてこられたのですね。
 それでは企業の代表としてご参加いただいています紀之国屋会長の中村さんお願いします。

中村: 私は、産機事業、金属加工工場のエンジニアリング事業、auショップ3店舗、情報通信事業で展開し、グループ会社2社を含め300名の従業員を抱えている紀之国屋で会長をしておりますが、本日は福岡県中小企業同友会の代表理事で参加しております。中小企業家同友会は、全国ネットで活動しており、会員数は、全国で約4万人おります。私の所属する福岡同友会は今約2,000人でうち女性は255名(13.3%)。1社1社は小さいのですが全体を合わせると47,000人の雇用、売上は1兆円を上回っております。福岡県下には19支部あり、毎月1回経営の勉強会を開催しております。

藻谷: では、企業で働く女性の代表ということで藤田さんよろしくお願いします。

藤田: 構造不況の代表格である百貨店に入社以来勤務。マタニティの制服が調べてもわからないほど昔からあり、また30年前に既に女性部長がいたりと、女性が働き続ける職場としては先進的でした。但し、業界再編の波の中生き残りをかけ弊社もライバル会社と合併し、リストラはないが新卒の採用はなく、役付きポストも削減。社員ほぼ1,000名の内女性が53%。全体の3分の1が係長・課長クラスで内女性は4分の1、全体の3%の部長職の内女性は6%、全体の0.2%。今年は新たな商業施設が次々と開業し、厳しさはいや増すばかりです。

藻谷: 厳しい状況をお聴きしましたけども、これを契機に逆に意欲的な人を入れる環境に戻すことも可能だと思います。村山館長は、女性起業家からあすばる館長へ転身されていますが、起業家として成功されながら、なぜ館長としてここにいらっしゃったのかお聴きしたいと思います。

村山: 私は、男女雇用機会均等法施行前に、民間企業に就職し、転職、起業そして昨年4月館長に就任しました。一貫して女性が自分の可能性を発揮してイキイキと輝ける社会へ社会変革の原動力になるという気持ちで、やってきました。ここにいるのは自分自身の生きる使命と感じています。また、経営者としての経験が長いので企業の男女共同参画の推進の橋渡しになればと思っています。
 

女性の活力が企業を活かす



藻谷: 女性の社会進出は徐々にではありますが進んできており、女性の45%が職についています。しかし、そのほとんどが非正規の雇用です。一旦退職された女性で復職を願う人は実に300万人を超えていますが、家庭や企業などの事情で再就職が厳しいようです。男女の役割分担意識というのは変わってきているのでしょうか。

篠崎: 一部の男性たちが私に対して教授になる必要はないと言い、これこそセクハラだと問題にしました。女性団体が20,30年活動をやってきて地域においても随分と変わってきましたが、若い世代の人たちがついてきているとは思えないのです。世間の枠組みや縛りから随分解放されたと思えますが、公共圏と親密圏があるとするとスモールワールドの親密圏に満足し、そこに踏みとどまっているような気がします。公共圏に対抗できるような新しい活動を展開してくれることを期待しているのですが。

藻谷: 中村さんの中小企業家同友会などはまさしくその世界だと思うのですがいかがでしょう。

中村: 私たちの団体は自主、民主、連帯という精神があり、みんな平等の意識で、オープンに意見を交わしお互いに研鑚しあっています。私の会社では、2人の女性がエンジニアとして活躍しています。中小企業が生き残っていくには女性の活力が必須要素だと思っており、営業系や工業系でも女性を起用したいのですが残念ながら応募がなく来年度の採用も男性のみです。
 



藻谷: 男女関係なく雇用したいという気持ちはあっても中小企業のコストダウンが迫られる厳しい中ではあきらめざるを得ないところでしょう。大企業にお勤めの藤田さんいかがでしょう。
藤田: 女性の購買心理を知りたいということで仕事とは別に超大手企業のモニターをしているのですが、さまざまな企画の段階で女性がいない、ということを聞き愕然としました。社外に意見を求める前に社内にいる女性を活かすことが先のはずなのになんともったいない。企業派遣で2年間、慶応大学大学院に留学しましたが、女性の企業派遣は二人目と女性に投資しようとする企業の少なさを痛感すると同時に、企業派遣で来る学生の出身業界の違いを感じました。業界や企業特有の考え方が仕事を通じて刷り込まれ、役割分担意識も知らぬ間に醸成されているのではないでしょうか。

藻谷: 社会の影響というよりも企業の集団の中で日本人は染まりやすいのかもしれませんが、実はそれが意識の変革を妨げているのかもしれません。男女の意識変革は手ごわいですが。

村山: 若い世代の男女の意識は変わってきているという手ごたえは感じます。保育園の送迎も父親を見かけるようになりましたし、子育てグッズも父親向けのものも出てきました。
 しかし、深層の意識の奥底では変わっていないと思うのです。先日、大学生とのディスカッションをしたのですが、結婚して子どもが生まれたら自分が子育てをしなくてはと思っている女子学生は多いし、経済力が付いてから結婚するという男子学生も多い。若い母親も自分は社会とつながりたいし戻りたいと願っていても、子育ては女性がするものと思いこんでいる人が多いのです。

藻谷: 少子高齢社会の中で、女性が働らき、消費していかないと経済は持たないですが、女性が雇用して給料払うことなどは起業家でないとできないでしょうか。

藤田: 厳しい競争環境の中、生き残りをかける企業は男女を問う余裕は逆になく、いち早く真のニーズを掴み、結果を出せばチャンスに。男女関係なくしっかり実力をつけなさいとエールを送ります。
 

親密圏で無償の世界に閉じこもっているだけでは、社会参画になっていない



篠崎: 女性団体は地域の中で男女共同参画を進めようといろんな分野で頑張って活動していますが、それらの活動はすべて無償です。無償労働に頼りながら続けていていいのかと思います。それらの活動をNPOや有償労働に変えていく、あるいは公共機関と協働も視野に入れた可能性を模索しています。それと女性の非正規労働の増加が若い男性や中高年層にも及んでいます。同一価値労働・同一賃金、短時間正社員制度等の問題を実現可能な形として具現化していかなくてはと真摯に思います。

中村: 非正規労働の話が出てきましたが、給与の2重構造も問題かと思います。生産年齢人口の減少によっていずれ人手は足りなくなってしまいます。必然と給与を上げていかないと人は集まりません。

村山: 私は、交渉力、営業力をつけていくことが大事だと思います。地域の中には、過疎化や高齢者の増加など、課題が山積みです。つまりそこにはビジネスチャンスがあるはずなんです。あすばるで開催する女性起業家支援セミナーは20代から70代まで起業意欲の高い方がたくさん参加されます。女性たちが起業していくと雇用の現場が変わります。それと決定権のある立場の女性の数を増やすことこれは大命題です。政策的に目標を立てることが必要でしょう。最後になりますが、起業した女性たちが次に続く女性たちを育てていけば、日本の社会に変化のうねりが起こってくると思います。

藻谷: 皆さまからそれぞれ貴重な意見をいただきました。女性が社会に出てきたと見えてもそれが親密圏で、無償の世界に閉じこもっているだけでは、それは社会参画にはなっていない。九州は親密でおもしろいところですがサークルで終わらずきちんと経済的に成り立つ、元気な九州になっていけるかどうか、九州の経済先進地の福岡県民の皆さん、特に女性にかかっているかと思います。
 どうも皆さまありがとうございました。
 




 

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