【ロールモデル】
ロールモデルとは
コカ・コーラウエスト株式会社 女性活躍推進担当部長
東京で長く携わったPR(宣伝広報)の仕事に区切りをつけ、現在は女性社員のキャリアを応援する女性活躍推進担当部長として、また女性の大活躍推進福岡県会議の委員としても、忙しく過ごす石井まり美さん。ハードなスケジュールの中でも、優しい語り口と穏やかな笑顔がとても印象的だ。
石井さんが大学を卒業したのは男女雇用機会均等法が施行される前。厳しい就職活動を経て三菱グループ上場企業に採用され、国際部の一員として社会への一歩を踏み出した。折しも会社が4年制大学卒業の女性を初めて採用した年であった。就職して3年経ち仕事に慣れた頃周囲を見渡すと、同期の男性は責任ある仕事を任せられつつあったが、女性は男性のアシスタント的な仕事をすることが常だった。そういった状況に疑問を持つようになり、「このままではいけない。何かを変えたい」という思いで米国へ旅立った。
渡米後、語学力を高めたいと大学の語学学校に通い、世界中からやってくる留学生たちとの刺激的な毎日が待っていた。誰もが将来を見据え、大学で専攻したい学問を修めるために英語を勉強していた。ほとんどの留学生がキャリアビジョンを抱き将来の夢を語る姿に圧倒され、これからの自分のキャリアを真剣に考え直す機会になった。照明デザイナーとして活躍する姉、研究職として奮闘する友人の姿を見て、“男女関係なく、自分の企画で施策を実行できる責任ある仕事をしたい”と思うようになった。そんな矢先に、父親が病に倒れ急遽帰国。25歳を過ぎて転職活動を始めた。
クリエイティブな仕事がしたいと思っていた石井さんは、PRの仕事に興味を持ち、帰国後まもなく欧州の時計メーカーに転職、「マーケティング・コミュニケーション」の職に就いた。ブランド認知と販売促進のために、主に出版社やテレビ局などのメディアと様々なやり取りを行う仕事だ。その後、ステップアップを目指しPR会社、米国のキッチン用品メーカーに転職。PRの仕事では、各商品を実際に使用し、利便性や安心感を実感した上で、使用感や品質の良さをメディアに伝えることを意識していた。「自社製品が自分の企画で取り上げられて特集される時の充実感は格別で、多忙ながらもやりがいを感じる毎日を過ごしていました」。
人のために何か尽くせることはないかと考えるようになった矢先、今の会社から転職の話があり、地縁のない福岡にやって来た。それまでのキャリアとは全く違う仕事になるが、「みんなの あしたに ハッピーを」という企業メッセージに共感し転職を決めた。現在は女性活躍推進担当部長として、女性が生き生きと働ける環境作りや、管理職登用促進のためのプログラムを推進する毎日だ。女性社員のロールモデルとして、また女性活躍推進の手腕に対する会社からの期待も大きい。
また、2014年に経済団体が主体となって発足した「女性の大活躍推進福岡県会議」では人材部会のコアメンバーとして女性管理職ネットワーク「WE-Net福岡」の立ち上げにかかわり、福岡で活躍する数多くの女性管理職と交流。「福岡の女性リーダーはまじめで辛抱強く、協調性の高い人が多い。また部下に厳しいだけでなく、包み込むような優しさと頼もしさを備えているのでは」と語る。
長く仕事を続けてこられたのは周囲の人に恵まれたからだと言う石井さん。以前の上司や同僚たちとも変わらず親交があるという。「好きな仕事に就き、成果を出すことでさらにやりがいを持つことができた。うまくいかないときは、原点に戻る。企業人であれば「企業理念」に答えを見出し、今、自分がしなければならないこと、何ができるかを考え実行すると、良い方向へ変わることがあると伝えたい。子育ての経験は、部下育成にも通じるものがあると思う。社会人、妻、母など、いろいろな顔を持つことにもっと欲張りになっていいのでは」と女性にエールを送る。
(2015年1月取材)
神社やお寺巡りが大好きな石井さん。御朱印帳を100冊以上も持っているそうだ。今は忙しくてなかなか行けないのが残念だが、そのうち九州各地の神社を訪れてみたいとのこと。また、2~3ヵ月に1回、東京に帰り、かつての上司や友人たちと会食を楽しむのも、いいリフレッシュとなり、新鮮な気持ちを持って仕事に向かう力となっているそうだ。
大学卒業後、三菱グループ上場企業の国際部に勤務。その後欧州の時計メーカー、PR会社、米国のキッチン用品メーカーなどの外資系企業で、主にマーケティング・コミュニケーションを担当。2013年から女性活躍推進担当部長としてコカ・コーラウエスト株式会社に勤務。また、女性の大活躍推進福岡県会議の企画委員(人材部会副会長)としても活躍している。WE-Net福岡1期生。
キーワード
【あ】 【働く・キャリアアップ】