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西出 裕加子(にしでゆかこ)さん (2014年11月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

ヒルトン福岡シーホーク マーケティング コミュニケーションズ マネージャー

ライフプランはあえて決めない

 大手広告会社に就職後、留学したイギリスに惚れ込んで現地で転職した西出さん。妊娠を機に帰国し、現在はヒルトン福岡シーホークで働きつつ、糸島で家族とスローライフを満喫している。「いつも自分の心に正直に生きてきた」という西出さんのキャリアや思いとは。

面白い仕事がしたくて、広告の世界へ

 久留米市で生まれ、小さなころから好奇心旺盛で、世界へ出たいと思っていた西出さん。地元の進学校から東京の大学へ進学。大学時代は日本の経済産業省からテレビ局、家庭教師、工場まで、多様なアルバイトを経験して、大手広告会社の電通に入社した。「広告の仕事は面白そうだと思い、志望しました。4年制大学卒業の同期200人ほどのうち、女性は1割でした」。
 入社後は、関西支社のマーケティング局に配属。障がい者へのインタビューをもとに提言を作成したり、大阪五輪招致のプロジェクトチームの一員として意識調査を行うなど、多様なプロジェクトに関わった。「マーケティングの仕事は、顧客が求めているものをリサーチし、アイデアや戦略を提供すること。感受性やものの見方、一歩先を見る力が重要だと思います。常にアイデアを生み出さなければならない苦しさがある反面、終わったときの達成感は格別でした」と振り返る。 

憧れの海外暮らしで仕事も生活も楽しんだ

 意欲的に働く中、29歳で念願だった海外行きのチャンスをつかんだ。会社の奨学金制度を利用して、ロンドン大学へ留学したのだ。人類学の修士号を取得したら会社に戻る予定が、「ロンドンでの生活があまりにも楽しくて」会社と協議を重ね退社。「ロンドンの街や人が発するエネルギーに魅了されたんです。仕事だけに没頭せず、生活や人生をいきいきと楽しむ姿は魅力的で、とにかくロンドンに残りたくて。大好きなアートが身近にあったので、せっかくだからと声楽を学び、大ホールで歌ったこともありますよ」と楽しそうに話す。
 ロンドンでは、日系の広告会社を経て、イギリスのリサーチ&コンサルティング会社に転職。「皆ほとんど残業せず、プロジェクトごとに結果が出ないとリストラされ、人材が流動的な環境は刺激的だった」という。35歳のとき、フリーの英国人報道カメラマンと結婚。第一子の妊娠を機に、「しばらくは日本で子育てしよう」と帰国した。

仕事の効率化で残業を減らし、長期休暇も取得

 自然豊かで首都圏からの移住者や外国人が多い糸島が気に入り、古民家を購入。38歳で第一子を出産後、自宅を拠点にフリーランスで仕事をしていたが、2年後に第二子が生まれると、子育てと仕事の両立が難しくなった。一方、メリハリのある生活やチームでの仕事をしたいという気持ちもわき、従業員向けに英語を教える週2日勤務の求人に応募。しかし、採用の面接では、マネージャーとしてフルタイムで働かないかと勧められた。こうして2013年1月、ヒルトン福岡シーホークに就職。大規模な外資系ホテルのマーケティングマネージャーとして部下をまとめつつ、他の部門の人たちとともに動くプロジェクトを多数担当している。「上司はニュージーランド人とスイス人で、意思決定が速いですね。ホテルというのは、婚礼から営業、調理まで多様な業務があるため、いろんなタイプの人がいます。マーケティングはホテルのあらゆる分野に関わり、人を動かしていく仕事。非常にやりがいがあります」と語る。
 マネージャーとして心がけているのは、公平・公正であること。「年齢やキャリアに関係なく、違うことは違うと言い、いいことは認める。また、誰にでもオープンな姿勢で情報を共有して、風通しのいい職場づくりを心がけています」。
 そして、基本的に残業をしないのが西出さんのスタイル。当初、所属する部署には残業する人が多かったが、だんだん減ってきたという。その秘訣は、「構造の問題だと思います。日本の会社は、ひとつの仕事に関わる人が多すぎる。仕事ごとに責任者を決め、個人の責任領域と分担を明確にすればいい。これはイギリス時代に学んだことです」と言い切る。
 今後のビジョンを聞くと、「私、ライフプランは立てないんです。そのときどきの自分の感覚に正直に、状況に応じて柔軟に生きていきたい。今の最優先は子育てで、子どもがどんな国でも幸せに生きていけるように、精神力と順応性を鍛えたいと思っています。私自身は、好奇心さえあれば、世界中どこでもいくつになっても幸せに暮らせると信じていますから」、凛とした表情でそう言うと、清々しい笑顔を見せた。 (2014年11月取材)

コラム

私の大切な時間

 「フリーで働く夫が家事や育児を積極的にやってくれて、感謝しています」という西出さん。最近、ホッとするのは、家族が寝静まった後、ひとりでワインを飲みながら、ネットを見るひととき。「海外のニュースをチェックしたり、旅行の情報を集めたり。3歳からピアノを習っていたし、ロンドンではロンドンフィルで歌っていたので、これからは作曲にもチャレンジしたいですね」。

プロフィール

久留米市出身。津田塾大学国際学部を卒業後、株式会社電通に入社し、ロンドン大学で人類学の修士を取得。退社して、イギリスの日系広告会社、英系リサーチ&コンサルティング会社で働く。英国人と結婚。2008年に帰国して、糸島で暮らす。2013年2月から現職。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【な】 【働く・キャリアアップ】

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