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山口 多規子(やまぐちたきこ)さん (2014年7月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

パナソニック システムネットワークス株式会社 事業・人材強化センター 新規事業開発総責任者

「偶然の出来事」はチャンスと捉える

 工事不要で、手軽に設置できるドアモニター「ドアモニ」。発売当初から若い女性を中心に大ヒットとなり、日経新聞社の「2012年ヒット商品番付」に選ばれた。その生みの親は、パナソニック システムネットワークス株式会社の山口多規子さん。白いファションで颯爽と現れた。

「専業主婦」志向から、仕事に目覚めて

 福岡出身の山口さんが入社したのは、大学卒業から1年後のこと。情報システムのインストラクターの求人に応募したところ、配属されたのは役員の秘書だった。緊張で毎朝4時に目が覚め、7時前には出社。「戦略が組める秘書になりなさい」という上司のもとで、経営層の価値観や考え方を必死に学びつつ、秘書検定と消費生活アドバイザーの資格を取得。28歳で社内結婚して、33歳で出産しても、産後4か月で復帰した。「早く会社に行きたかったんです」。頼りにされているという実感がやりがいだった。「23歳で専業主婦」が夢だった山口さんは、いつしか「秘書でトップになりたい」と思うようになっていた。

覚悟が決まり、世界が広がった30代

 ところが入社から12年後、人事へ異動し、研修担当となった。「自分のキャリアにとても悩んだ」と振り返る。そのときに学んだスタンフォード大学・クルンボルツ教授の「計画された偶発理論」に救われたという。「偶然の出来事は人のキャリアに大きな影響を及ぼし、かつ望ましいもの。それをキャリアの機会と捉えるためには、好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心の5つが必要という理論です。従来のキャリア論は、自分のなりたい姿を掲げて、不足しているスキルを伸ばすものですが、こちらは柔軟に対応しようという考え方。腑に落ちて、何でも立ち向かおうと思えるようになりました」。
そしてもう一つ、転機となったのは、九州・アジア経営塾(KAIL)との出合いだ。KAILは、九州のリーダーを目指す人が経営哲学を学ぶ場として、産学官協同で設立。企業などで推薦を受けた人々が集い、10か月かけて学ぶ。人事だった山口さんは、同僚の代理でたまたま出席して、講師の話にいたく感動。「私も入塾したい」と思ったものの、次年度の会社推薦枠はすでに決まっていた。ならば「自費で入りたい」と直訴し、「200万円ほどの受講料を値切っちゃいました」とあっけらかんと笑う。4期生として入塾した当時、娘は小学生で、仕事に加えて課題をこなすと2~3時間睡眠の日も多かった。でも、「家庭があるからと甘えたくなかった。自費で通ったのは私が初だったらしく、いろんな方によくしていただきました。KAILでの経験や人脈は私の財産です」という。

社会に役立つ新しいものを生み出したい

 卒塾と同時に、商品企画の部署へ。40歳で初めての現場は、全てが手探りだった。「何もできない自分がいて、怖くて不安で…。でも、開発長から『キミがほしいものを企画したらいいんや』と言われて気が楽になりました」。「主婦目線で新しいものを」と考え、まず手がけたのは、インターホンの商品企画。インテリアの邪魔をしないシンプルな薄型親機の商品を企画すると、月の販売台数が2倍以上に。「私らしく好きにやってみよう」と自信がついた。
異動から4年目、女性の会話から生まれたのが「ドアモニ」だ。マンションで、自分の玄関前の様子を見られるモニターがあれば…。女性として自らも不安を感じた経験があるからこそ、必要な商品だと確信。技術者と交渉を重ね、2011年、自分で簡単に設置できるドアモニターが完成した。発売半年で約10万台を販売し、日経流通新聞の「2012年ヒット商品番付」に選ばれるほど好評を博した。「企画者冥利に尽きます」と顔をほころばせる。
2014年4月には、新規事業開発の総責任者に。「管理は苦手ですが、人の育成は好き。できるだけ人にチャンスを与えて、私を支えてくれた上司のようになりたい」と気負わず語る。最後にこれからの夢を聞いた。「子どもや高齢者、子育て世帯をサポートしたいですね。それは商品かサービスか、仕事か仕事外かもわからないのですが。仕事で闘って負けるのは楽しくないけど、失敗しても全てが終わるわけじゃない。これからも新しいことに挑戦していきたい」。グッと腹を決め、果敢に前へ進む山口さんは、強くて美しい。 (2014年7月取材)

コラム

私の大切な時間

 「実家が近くないため、子育ては保育施設や友人の手を借りながら、綱渡り状態でした」。子どもが小さいうちは出張に連れて行き、仕事中は親類に預けたこともある。また、中学受験は夫が海外赴任中、母子で乗り切った。娘が中学3年生のとき、学校のキャリア教育で、山口さんが登壇して自分のことを話す機会があったという。「娘が『よかったっちゃない』と言ってくれて、娘の友達も『お母さんと話したい』と遊びに来てくれたのがうれしかった」と笑顔で話す。
「仕事をしていると、家事してないでしょと決めつけられたりするけど、私、料理や手芸が好きなんですよ。つい先日、娘のチアガールの衣裳も手作りしました(写真)。自分のための趣味はこれまでなかったのですが、1年前からジャズボーカルを習い始めました。いつかステージで歌いたいですね」。

プロフィール

京都郡出身。豊津高校を卒業後、神戸の短大に進学し、四年制大学に編入。卒業後は、福岡にある国立大学の医学系研究室に1年ほど勤務して、九州松下電器株式会社(現・パナソニック システムネットワークス株式会社)へ転職。役員秘書、人事、社長プロジェクト担当などを経て、2008年に商品企画の部署へ異動。2014年4月から現職。2007年~08年に九州・アジア経営塾(KAIL)で学び、高校生を対象とした「日本の次世代リーダー養成塾」でクラス担任を務めた経験もある。

 

 

 

 


 

 

 

 

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