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宮城 雅子(みやぎまさこ)さん (2013年7月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

宮城雅子建築設計事務所 代表

空間や時間、人の想いを楽しくプロデュース

 大学では商学部だったが、偶然の出合いから建築の道へ。華やかで陽気な雰囲気に包まれた宮城雅子さん。「腑に落ちたら、迷わず動く」というエネルギッシュな行動派で、活動の場をどんどん広げている。

「空間がもつ力」に魅せられて

大学2年生の夏休み。海外に興味があった宮城さんは、好きなバンドのレコーディングスタジオを探すため、アメリカへ。旅先で出合った一軒のレストランに、強く心惹かれた。「週末になると、小さな街の人たちがオシャレして集まり、歌い笑い語り合っていました。私もこんな空間を作りたいと思って。当時、建築士という職業すら知らなかったし、やれるかなんて考えなかった。『やりたい!』ですね」とあっけらかんと笑う。
 在学中、幸運にも尊敬できる建築士と知り合い、彼の事務所へ就職。店舗を手がけるときはメニュー作りまでサービスするような、人情味あふれる上司のもとで経験を積んだ。「私は設計の知識も経験も全くなかったのに、下積みは一切せず、すぐに図面を描かせてもらいました。楽しくて仕方なかったですね」。
 32歳で独立。順調に仕事が増え、建築士の資格も取得。けれど、スランプの波にのまれた。「基本プランを何枚も書き、自分で『違う』『これも違う』の繰り返し。体力と気力を消耗していました。人気店を作る人という、人の評価もプレッシャーで。大学で建築を学んだ同年代の人たちが独立して、賞を取りはじめたことに焦りも感じていました」。3か月は仕事をせず、本気で建築士を辞めようと考えた。ところが、相談した全員が「あなたなら、何でもできるよ」と、辞めることに賛成。「そう言われると、何だか惜しくなっちゃって。ダメでも他があるなら、やれるところまでやってみようと思えたんです」。
 仕事を再開してすぐ、最大の案件が舞い込んできた。店舗を兼ねた広い住宅。家族の希望を聞き、ひとりで基本プランを考えているとき、思いがけないことが起こったという。「一気にイメージが湧き上がってきたんです。家族がリビングにいて、インターホンが鳴り、子どもが帰ってきて、会話まで鮮明に浮かびました」。それまでは必死に頭で考えていたのに、その瞬間を境に、いつも生き生きとしたイメージが先行するように。大きな転機となった。

空間から家具、民泊までプロデュース

 福岡の老舗カフェ「カフェソネス」をはじめ、住宅から店舗まで人が集まる空間を次々と生み出してきた宮城さん。店のインテリアや家具、パッケージまで手がける。「大切にしているのは、空気感と温度。例えば、あそこの店はいいと聞いて行ってみても、違うと感じることがあるでしょ?なんか寒いとか、暑苦しすぎとか。オーナーの人柄、接客、料理、器、立地…。全てを考慮して、平熱36.5度になるように空間を創り上げていくんです」と持論を語る。さらにここ数年は、八女市星野村や築上郡上毛町の農家民泊プロデュースも仕事に加わった。「初めは乗り気でなかった農家の方の意識が変わり、やる気にみなぎる場に立ち会えるのは幸せ。私は叱咤激励するんじゃなくて、見守るタイプです。経営者に必要なのは『覚悟と自信』。それがなければ商売はできない。だからそれが湧き出るまで見守ります。だって、本人たちが何が何でもやる!と思わないと、 続かないから。商売するのは、自分だから」と微笑む。

子どもが視野を広げ心を育むきっかけを

 そしてもう一つ、宮城さんの活動として注目を集めているのは、2008年からプロデュースしている「こどもcafe」。子どもがシェフやスタッフになり、一般のお客様をもてなす5日間限定のカフェだ。きっかけは「子どもを連れて外食できるところが少ない」という友人の一言だった。「子どもが店側の立場になり、飲食店のことを知ることで、子どもと店が共存できれば」。そんな宮城さんの想いに賛同する人が集まり、レシピ開発から食材調達、調理、協賛のお願いまで協力してくれた。結果、5日間で457人ものお客さんが集まる盛況ぶり。その後も毎年続け、今年は海外とつながる企画を温めているとか。「子どもたちのキラキラした表情から、誰かの役に立つ喜びが伝わってくる。色んな場所で沢山の人と接して、夢を描くきっかけになればと願っています」。
 ハートは熱く、頭はクールに。空間と時間、人びとの想いまでプロデュースする宮城さん。いつも根底にあるのは、楽しむこと。「幸せって目の前にたくさんあって、それに気づくとラクになる。命がある、ご飯がある、家族が元気とか。これからも楽しむ努力をしながら、世界中の人たちとコラボレーションしていきたい」。

(2013年7月取材)

コラム

私の大切な時間

 年2回はヨーロッパへ行き、仕事とプライベートで国内外を飛び回っている宮城さん。ワンデイ手帳を使い、うまく時間を使うように心がけているという。趣味は旅行。「温泉宿に行けば、宿から一歩も出ないでのんびり。市内のホテルに、好きなワインなどを持ち込んで過ごしたり。異空間に身をおくと、リフレッシュできますね」。

プロフィール

山口県下関市生まれ。久留米大学商学部を卒業後、岩橋弘幸建築設計事務所に勤務。2003年に宮城雅子建築設計事務所を設立。建築や空間設計をはじめ、店舗のプロデュース、インテリアデザインやパッケージデザイン、「九州ちくご元気計画」、築上郡上毛町のプロジェクトである「こうげのシゴト」の講師など、幅広い分野で活動。2008年から「こどもcafe」の企画プロデュースも行う。

 

 

 

 


 

 

 

 

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