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清水 麗子(しみずれいこ)さん (2013年7月取材)

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株式会社グレイスクリエ代表取締役、NPO法人エコマム理事長

ママの笑顔を増やし、子どもの未来を照らす

 子育て中のママが、趣味や特技を活かして収入を得る「プチ起業」。新しい働き方として最近、注目を集めている。プチ起業家をはじめ、子育てを頑張る女性たちを応援するため、各地でイベントや講座を開催しているのが清水麗子さん。最近では250人ものプチ起業家が出展するイベントを成功させた「ママと社会をつなぐ」存在だ。

「女の子」でも自分の力を試せる営業職に

 小学生のころからコンピュータに興味があり、理系に進学したかったという清水さん。しかし「女の子だから」という両親の考えで短大へ。「早く仕事したい」と自立心旺盛な大学生だった。ときはバブル。張り切ってのぞんだ就職活動では「女の子は3年くらい働いて、結婚すればいい」という面接官の言葉にカチンときた。「私は長く働くつもりだったから、衝撃を受けて…。自分の力で道を拓けそうな別の会社の営業職を志望しました」。車のディーラーに入社し、法人営業を担当。自分なりのやり方を見出して好成績を残したけれど、給料には反映されない現実に直面して、いつしか「起業したい」という思いが芽生えた。

NPO法人を立ち上げ、2年後に会社も設立

 26歳での結婚を機に退職し、夫の実家がある福岡へ。子育て生活がスタートした。「親も友達もいない土地での子育ては、孤独で大変でした」。同じような境遇にいるママに出会いの場を提供したいと考え、友人とふたりでエコマムを立ち上げ、その後NPO法人に。「母親になると、なかなか情報が入ってこない。子どもの未来を育む原点は、家庭での会話。きちんとした知識を身につけて、輝いてほしいと思ったんです」。まずは託児付きのカルチャー講座をスタート。特技のあるママに講師を依頼したのが、プチ起業をサポートする第一歩になった。活動は評判をよび、福岡市内から県内、さらに他県へも広がった。けれど、ボランティアではお金が続かない。企業協賛を募っても、特定のNPOには出せないと断わられ続け、疲弊したスタッフがやめていく…。
 そこでひらめいたのが、起業すること。株式会社を作り、エコマムを資金面でサポートすればいいと考えたのだ。当初は講師の育成や派遣を主にしていたが、やがていろいろな企業や経営者から、ママのネットワークを活かしたマーケティングやプロモーションの仕事が舞い込むように。ママたちの声を企業に届けるという役割を担い、社会に新しい風を吹き込んできた。「私にとって、エコマムの活動は社会貢献。まず信頼と実績を作ってから起業できたのは、結果的に正解でした。私は企業のボランティアや下請けではなく、ママ代表という意識で仕事をしています。お客さまと互いに持っているものを出し合い、対等なパートナーとして心が通じる仕事をしたい」。

ママのサポートをライフワークとして

 「普通の主婦から36歳で一歩踏み出し、夢を膨らませてここまできました。続ければ続けるほど想いが形になり、楽しくてたまらない」と満面の笑みで語る。「みんなできないと思っているだけで、やれば意外にできるんですよ。ただ、はじめからうまくいかなくて当たり前。私もお客さまの要望に合わせて、活動のスタイルを変えてきた。最初に考えたことに固執せず、求められるものに応える柔軟さ、知識や経験をいかに積んでいくかが勝負ですね」と続ける秘訣を明かす。そして、モヤモヤを抱えている人には、こんなアドバイスも。「小さいころからの自分を振り返り、じっくりと本当の自分を見つめてみましょう。夢が浮かんだら、実現できることとできないことをわけ、今できる目の前のことをコツコツやればいい」。
 そんな清水さんが描く自身の未来像とは。「困っているママを助けることが私のライフワーク。自分の枠を作らず、自由に生きていきたい。つい最近、仕事をかねてスタッフと娘と一緒に香港へ行ったんです。それがものすごく刺激的でおもしろくて。将来は世界を旅して、行った先々でママの悩みを聞いて、ビジネスを展開したら楽しいだろうなって思ったんです。世界中のママを明るく、そして子どもも明るく。ね、素敵でしょ?」。キラキラと目を輝かせて、清水さんの夢とフィールドはどこまでも広がる。

(2013年7月取材)

コラム

私の大切な時間

 清水さんは、夫と高校生の息子、小学生の娘の4人家族。「仕事が趣味」と言い切るが、一番かけがえのない時間は家族とのキャンプなのだそう。「自然豊かなところで本を読んだり、たき火をしたり。家族でのんびり過ごすのが大好きです」と笑顔がこぼれる。小学5年生の娘さんとは、つい最近うれしい出来事があった。「授業参観で将来なりたいものの発表があったんです。うちではパティシエとかいってたのに、本番で『ママの跡取りになりたい』って…。あまりの驚きと感動で、思わず涙が出ました」。

プロフィール

 福岡で生まれ、父親の転勤に伴い東京など各地で暮らす。東京の短大を卒業後、車のディーラーに入社。26歳で結婚し、夫と福岡へ。一男一女を出産後、コールセンターのパートタイム勤務や専業主婦を経験して、2006年に子育て支援のNPO法人エコマムを設立。2008年、ママや消費者と企業をつなぐ株式会社グレイスクリエを立ち上げ、2012年には桜坂にFIKA+SHOPをオープン。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【さ】 【起業】 【NPO・ボランティア】 【子育て支援】

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