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谷 美紀(たにみき)さん   (2012年10月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

NPO法人 子育て・シンク・タンク 理事長 / 子育て情報誌 ドンナ・マンマ 編集長                                                    

「北九州一、子育てできていない母親」が子育て情報誌を通して伝えたいこと

 北九州市で子育て情報誌「Donna mamma(ドンナ・マンマ)」を発行し、NPO法人「子育て・シンク・タンク」を立ち上げた谷さんは、自称「北九州一、子育てできていない母親」という。
 自身の子育てが終盤にさしかかった今、新たなステージで子ども達に大切なことを伝え、未来に「つなげる」活動に力を入れている。

北九州市初の子育て情報誌を創刊

 谷さんが「Donna mamma(ドンナ・マンマ)」の創刊を決意したのは、子育てをしながら在宅フリーデザイナーとして仕事をしていた時のこと。当時はまだインターネットが普及しておらず、子育てに関する情報を集めるには役所に出向いて自分で入手するしかなかった。仕事に追われていた谷さんには、そんな時間もなかった。情報を簡単に入手できる手段はないものかと苦慮していたとき、自身もデザイナーとして情報を発信する側の仕事をしていることに改めて気付いた。「だったら自分で作ればいい!」とデザイナー仲間3人と、子育て中のお母さん向けの情報誌を北九州で作ることを決意。企画や取材など、準備に1年ほどかけ、1997年12月に第1号の発行となった。

子育てについてお母さん達と一緒に「考える」

 その頃、関東地方で「ダイオキシン」が問題となり、ほうれん草や卵などの日常的な食材の安全性が取り沙汰されていた。そこで、創刊号の特集を「母乳とダイオキシン」にしたところ、大きな反響を呼んだ。関係企業や団体の取材など大変なことも多かったが、調べて見えてきた問題に声をあげていく大切さを実感。次第に、子育てや環境に関心の高いお母さん達に支持される情報誌となった。
 2005年からは幼稚園・保育園への無料配布を開始、フリーペーパーとしてより多くの方々に子育て情報を届けることが出来るようになった。現在は年4回発行、ホームページとあわせて情報発信を続けている。

自分の描くシンクタンクの形を求めて

 『Donna mamma(ドンナ・マンマ)』は、子育て情報の提供だけではなく、お母さんたちが子育てについて語り合う場として、様々な悩みも寄せられるようになった。その内容は、子どもとインターネットやゲームの関係、虐待などだったが、次第にお母さん自身の悩みが目立ってきた。そんなお母さん達が抱える幅広い悩みを打ち明けられる場を提供し、支えたいと、相談機能を持つNPO法人『子育て・シンク・タンク』を2009年に立ち上げた。
 情報発信から始まった活動。これからは、お母さんたちへの支援を通して子育て環境の充実を図り「生活」に視点をおいた活動を広げたいという谷さん。今後は北九州の郷土料理である「鰯の味噌ぬか炊き」を家族で体験するというような講座を開催していきたいという。こうした地域文化を、そこで長年暮らしている人たちから教えてもらい、実際に体験してもらうことで郷土に対する愛着を育み、地域との「つながり」を築いていきたいと谷さんは考えている。
 「この街が好きだ、とハートの部分で思える『ふるさとづくり』をするのが私たち大人の役割。子ども達が大人になったとき、ここで暮らしてよかったと思えるかどうかは、私たち大人に対する未来の通信簿なのだと思います」。

子どもにとって「一番大切なこと」

 起業して15年、子育てをするお母さん達を見守り続けてきた谷さん。頑張っているからこそ仕事と子育てとの板ばさみで悩み苦しんでいるお母さんも多いと言う。働くお母さんは多かれ少なかれ子どもに対して負い目を持っている。たまにはおやつも手作りしたいと思いながら、できないことに苦しんでいる。谷さんもそんな母親の1人だった。子育て情報誌を発行しているからこそ完璧な母親でいなければならないと自分へのプレッシャーも大きかった。ところがそんなある日、テレビ出演で同席した初対面のコメンテーターの方に「顔が疲れているよ、もうカミングアウトしちゃいなよ」と言われたことがきっかけで「私は北九州一、子育てできていない母親です」と口に出した。するとそれまで気負っていたものがすーっと軽くなり、子育てがラクになり自身の笑顔も増えたという。
 働くお母さんへのメッセージをたずねると「自分に足りてないところがあるのを認める勇気を持ってほしい。こうでなきゃいけないと自分に課しているものを取り去ると子育てはもっと楽しくなります。子どもにとって一番って何だろう?と考えると、必ずしもいつも一緒にいることではないと気付いたのです。短い時間でも笑顔で接することが一番大切なのだと思います」と明るく応えてくれた。 

                                                                                                  (2012年10月取材)

コラム

わたし流リフレッシュ

 仕事で多忙を極める谷さんのリフレッシュ方法はなんと仕事! 様々な種類の仕事を抱えている谷さんにとっては、その種類の多さもリフレッシュにつながるのだとか。中でも、サッカーJ2のギラヴァンツ北九州の試合の際にはお客様の出店を手伝って大声で呼び込みをすることもある。普段は机に向かって原稿を書いたり、ものを考えたりする仕事が多い谷さんにとって、その時間はかなりのリフレッシュタイムなのである。
 もうひとつは40歳を過ぎてから健康のために始めたゴルフ。「コースに出るとカートには乗らずにとにかく歩きます!」という谷さんは、仕事でもプライベートでもとにかくパワフルだ。

プロフィール

 静岡県出身。デザインの仕事を経て、イタリア・ミラノへ。出産で一時帰国したものの、生後三ヶ月から一歳半頃まではミラノでの子育てを経験。帰国後は北九州に根を下ろし、子育ての傍らフリーデザイナーとして活躍。
 1997年に北九州初の子育て情報誌『Donna mamma(ドンナ・マンマ)』を創刊。子育てに関する情報発信やお母さん達のサポートをしながら、保育行政や教育行政にも深く関わる。
 2009年にNPO法人『子育て・シンク・タンク』を立ち上げる。現在はこのNPOの活動を軸として、北九州の子育てと街づくりを考える事業を推進している。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【た】 【国際・まちづくり】 【子育て支援】

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