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冨永 暉子(とみながてるこ)さん (2012年2月取材) 

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前福岡県男女共同参画審議会会長

全ての人が生き生きと自然体で暮らせる社会に向けて

 福岡県女性政策懇話会座長を皮切りに、福岡県男女共同参画社会づくり検討委員会副委員長、福岡県男女共同参画審議会会長などを歴任し、福岡県男女共同参画推進条例の制定や計画策定にも携わるなど、福岡県における男女共同参画のパイオニア的存在の冨永暉子さん。 その功績が認められ、平成22年には、男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰を受賞した。そんな冨永さんのル-ツはフランス文学と海外での生活にあるという。
 

第一のターニングポイントはアメリカでの2年間の生活

 冨永さんは、高校時代英語が好きで英文学を学ぼうと思い、九州大学文学部へ進学。しかし教養部時代に学んだフランス語の音の美しさに魅了され、当時読んだフロベ-ルの「感情教育」をぜひフランス語で読みたいという衝動にかられ、フランス文学専攻に進路をかえ、大学院に進み、修士号を取得した。博士課程への進学の道もあったが、結婚したパ-トナ-の研究留学に伴う方を選択、1962年ケネディ大統領時代に渡米。フロリダ大学のあるゲインズビルで過ごした2年間が、まずは私の人生の第一のタ-ニングポイントだったと振り返る。
 当時の日本社会とはあまりにも違う、アメリカの生き生きとした女性の姿に衝撃を受ける。大学関係の先生方の家に招待されてのパ-ティで、ホスト役は妻、話題も豊富で、テキパキとお客をもてなす主役を演じ、一方夫がたとえ教授であっても、客に飲物、料理のサ-ビスをする、パ-ティでは脇役。女性教授からタイピスト、実験助手に至るまで、自分の仕事に誇りを持って働く女性たちの姿を今でも鮮明に記憶しているという。帰国したら、大学で自分の専門をいかした仕事に就くことを、このアメリカ滞在の時に堅く心に決めた」という冨永さん。

第2のターニングポイントはフランス留学

 その後帰国し短期大学講師としてキャリアをスタ-ト。その当時(1965年)、保育園など子供を預ける場所は、皆無といってよい状況、子育てと仕事の両立には工夫が必要だった。夫の協力は勿論、母や姉、常時雇うお手伝いさん探しに大変な労力を費やしたとのこと。六年間の短大を経て、四年大学に移籍したが、所属学部には女性教師は冨永さん一人、「女性だから出来ない」と云われないよう会議がいかに長引こうと退席することはなかったと。夫からの勧めもあり、37才の時それまで心に秘めていたフランス留学を決意し、フランス政府招聘スタジェ-ルの試験を受け、1年弱フランスに滞在、「その間は、私の人生の第二のタ-ニングポイントであった」と冨永さんは云う。ソルボンヌ大学で受けたゼミの女性教授の教育に対する熱意と真摯な態度、連日通ったパリ国立図書館、毎週1回出かけたフロベ-ルの生誕地ルアン市の市立図書館、子供と離れ孤独の中で取り組んだ研究生活、心身共に強くなって帰国したと冨永さんは云う。
 

よりよい男女共同参画を目指して

 19世紀に活躍したフランスの作家、フロベ-ル、モ-パッサンの作品研究が専門の冨永さん。「19世紀は他の世紀にくらべ、女性の社会的地位が特に低い世紀」といわれるが、この二人はその作品の中で、心に不満を抱く女性たちの喘ぐ姿と自立へ向かう姿勢を描いた作家たちである。彼らの作品に描かれた女性の生き方に対すると同様に、日本や福岡の女性たちの生き方にも強い関心を抱いていたことから、福岡県女性政策懇話会座長を引き受けることに。それ以来10年以上、複数の自治体で男女共同参画に携わってきた。福岡県男女共同参画推進条例策定にも副委員長として関った。
「最近、不況の影響、政治の混乱もあり、男女共同参画社会づくりへの動向に進展がみられない。意思決定の場へ女性を送り込む動きもなかなかうまく進展していない〈男も女も仕事と家庭〉、即ち〈ワ-ク・ライフ・バランス〉社会作りも滞っている。行政と企業の話し合いの下、勤務時間短縮、在宅勤務、男性の育児休暇取得率アップなどなど、より迅速に一層の努力が必要である」と現状を指摘。    
 3期6年努めた福岡県男女共同参画審議会の会長を昨年3月退任した。「身を引いて若い人を育てたい。人は役を与えられると成長するから」そう語る冨永さんだが、まだまだ多くの女性たちが教えを乞い、数々のセミナ-やイベントなどの講師として活躍の機会は減りそうにない。
                              

                                  (2012年2月取材)

コラム

 研究や男女共同参画活動に精力的に取り組まれる中でも、「私の心を癒し、活力を与えてくれる原動力は音楽を聞くこと」とおっしゃる冨永さん。福岡シンフォニ-ホ-ル〈アクロス〉で催されるコンサ-トに、よく足を運ばれるそう。忙しい中、親しい友人や夫さんとオペラ鑑賞の海外への旅が楽しみ、フランスへの研究の旅を合わせると、海外への脱出は30回をはるかに越えるとのこと。
柔らかな印象からは想像できないほど、仕事もプライベ-トもアクティブな毎日をお過ごしのようです。


(1)<プラハにて>
プラハ交響楽団演奏会場にて
 “友人と共に”
 

(2)<プラハにて>
“プラハ交響楽団の演奏会舞台”

プロフィール

 九州大学でフランス文学を専攻、修士号取得。福岡工業短期大学講師、九州産業大学教養部講師、助教授を経て国際文化学部教授に就任、その間、福岡大学非常勤講師27年、西南学院大学非常勤講師5年を勤める。そのかたわら、福岡県女性政策懇話会座長、福岡県男女共同参画社会づくり検討委員会副委員長として、福岡県男女共同参画推進条例制定に携わる。また平成12年度福岡県「女性研修の翼」団長を務める。大学退職後も、宗像市男女共同参画推進条例検討審議会会長や福岡県男女共同参画審議会会長(第2期~第4期、3期6年)を歴任。平成22年3月福岡県知事より感謝状。平成22年度男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰受章。職業を持って活躍する女性が中心となって活動する「日本BPW(Business and Professional Women)」福岡クラブ会長(2000年~2002年)として、女性の社会的地位と職業水準の向上や、働く女性の振興と理解を深めるための活動にも取り組む。

 

 

 

 


 

 

 

 

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【た】 【研究・専門職】

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