ロールモデル
ロールモデルとは
講師情報
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株式会社ビスネット 代表取締役、消費生活アドバイザー / 女性の大活躍推進福岡県会議共同代表
銀行でホームエコノミストとして勤務されていた頃、久留さんは消費者動向調査を行われていました。消費者のニーズや企業に対する考えを集め企業に提供しているうちに、「消費者の声が全然企業に届いていない。企業も商品やサービスの魅力を全然消費者に伝えきれていない。両者が向かい合えばもっとサービスや商品が向上し、いい循環が生まれるのではないか」と考えるようになりました。
「二つを繋げるパイプ役が絶対に必要だ」という強い思いから銀行を退職後「有限会社ビスネット」を設立します。「会社の作り方さえわからない状態にもかかわらず、誰もやっていないビジネスを『やろう!』」と思ったのは強い思いがあったから。利益のでない開業当初、その苦労を支えたのは『絶対に間違っていない』という確信だけだったんですよ」。知名度もなく不況という逆風が強く吹く中、「背中合わせの企業と消費者のパイプ役になりたい」と、一つ一つの仕事に誠実に取り組みました。思い一つで始めた会社...。今では多くの実績、信頼、そしてリピーターを持つ企業になっています。
久留さんはビスネットの代表取締役だけでなく、(財)福岡市くらしの環境財団理事や(株)福岡クリーンエナジー取締役、さらに福岡県教育委員まで務められています。消費者と企業とのパイプ役にとどまらず、今では市民と行政との間の大きな架け橋の役割も果たされているのです。全くの素人市民の立場から、周りの市民の代表として意見を言い続けてきたおかげで、本当に市民の声が行政に届くようになりました。行政も市民もずっと求めていた架け橋。だれもが必要と思っていながら架けられなかったこの橋は、一消費者であり、一市民であった久留さんの思いから生まれました。
そして今、行政が動き始めています。市民の実生活と行政の取組が直接結びつき始めています。これまで「言っても変わらない」と諦めていた市民の「声」がようやく届くようになり、「市民にとって本当に役に立つサービスを提供したい。」という行政の思いを生んだのです。そしてそれは大きな力となって社会に反映されるようになってきています。
所属の委員会や企業は20を越え、その精力的な活動ぶりには目を見張るものがあります。いったい何が彼女をそうさせるのでしょうか。
「これまで、いい生き方をされている先輩に沢山出逢ってきたのです。家庭を持ち、子育てをし、広いネットワークを持って社会でも活躍されている女性。生き生きと働かれて社会貢献されている姿を見て、自然とそんな生き方に憧れていたのですね」。
家庭と仕事の両立は無理だと多くの女性が考える中、その両立をこなす理想的モデルがたくさん身近にいたことが彼女の生き方に大きく影響しています。
最後に、久留さんにとって働くとはどういうことかを伺いました。「今は生活のほとんどが仕事という感じ、おもしろくてたまらないの。仕事を通して社会や人や情報がつながっていくのがわかる。自分の経験やネットワークがつながって新しいものができる。まだまだ繋げなくちゃいけないものはたくさんあるのよ」。そう生き生きと語る久留さんは、まさに彼女が理想とされてきた生き方をされており、多くの女性の新たなモデルになるに違いないと感じました。
(2006年2月取材)
消費者、市民の声を聞き、企業、行政に伝え、互いに向かい合った関係をつくるために奔走し、いくつもの橋を架けている久留さん。強い思いこそが夢を叶えるということを彼女の人生が証明しています。一人一人の思いがよりよい社会をつくるということを改めて感じるとともに、ひとりの力、可能性というものがどれほど大きいかを実感し勇気を頂きました。
〔近況をお聞きしました!〕
2001年に設立したビスネットも今年10周年を迎えます。たくさんの委員会の仕事もしながらこの会社をこれからも存続させていくためにも、会社経営、頑張っています。年齢的にも次の世代に繋げていくためにも、人生の先輩として若い人に多くのメッセージを残していきたいと思っているところです。
(2011年2月)
福岡県消費生活センター相談員、西日本銀行広報室調査役などを経て、「有限会社ビスネット」を起業。登録した消費生活アドバイザーの意見を収集し、企業には消費者の声を、消費者には賢い消費者になるために企業の情報を伝えている。
2013年5月、経済界主導による産官学民一体で「女性の大活躍推進福岡県会議」が発足した。九州経済連合会名誉会長とともに、共同代表を務めている。
キーワード
【は】 【起業】 【研究・専門職】