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赤村特産物センター運営協議会 会長
中原さんは53歳の頃、体力の衰えを感じ始め、定年までつづけるつもりだった中学校教師の職を退かれました。教師在職中は、あまり地域と関わることが出来なかったということもあり、地域に何か貢献したいという気持ちが強くあったそうです。昭和62年から始まった農業農村体験イベント「Do You 農?」で、田植えや稲刈りに励む人たちに、何か作って食べてもらいたいと考えていました。ちょうどその頃、専業農家の女性から自分たちが農作物を提供するから、「その野菜や穀物を使って何か加工品を作ってほしい。」という申し出がありました。それで、自分や多くの女性が頑張ることができるのは、一番身近な農産物の加工だと思いつきました。特産物センター等建設の費用は国・県・村の制度を利用されたそうです。
始めは、役場の前にテントを張り、朝市としてスタートしました。この朝市は全国的にも早い取り組みでした。その後、平成8年に女性5人でJAたがわ・赤支所加工所を開設。平成10年には今の赤村特産物センターが建設され、運営協議会も設立しました。商品についての研修会を実施したり、お客さんへの対応の仕方を研修したりと、常に前向きに活動を進められています。 平成17年1月には「農と食の交流館」がオープン。ここでは、お客さんが実際にこんにゃく作りや漬物作りを学ぶことができます。添加物をほとんど使わない、国産の物を使い薄味にして素材本来の味をひきだす、旬の食材を使う等、様々なこだわりがたくさん詰まった加工品を、お客さんが喜んで食べてくれることを何よりもうれしく思うそうです。あんこやヨモギ、梅、豆等の10種類のお餅や、お団子、パンなどどれも手作りです。
この「赤村特産物センター」や「農と食の交流館」では、平均年齢66歳という高齢の女性が中心に働いています。パン工場では12名、餅工場では20名、すべて赤村に住んでいる女性です。自分の作った物を持ってきて売る人もいます。中原さんは「口もやり手、腕もやり手の女性の職場ですが、いざというときの団結力は日本一と思う。」と言われました。
平成14年度には、この女性たちの活動が中心になっての地域づくりで、国の農林水産まつり「村づくりコンクール」で、「農林水産大臣賞」を受賞されたそうです。仕事を持つことで生きがいができ、経済的自立へとつながります。
赤村には元気な高齢者がたくさんおられます。寝たきりの高齢者が少ないのも赤村の自慢のひとつです。また、男性にも変化が現れ、女性が仕事をすることで夫も家庭のことに協力的になりました。最初はただの加工品店だった赤村特産物センターは今、男女共同参画社会実現への拠点になりました。
このようなすばらしいセンター運営に、生きがいを感じる中原さんにも、まだまだやらなければならない課題はあります。次世代につなぐ若い後継者を育てることです。そして、「赤村特産物センターの周囲の田んぼを買い取って、ビニールハウス等を建て、自らお客さんと共に野菜を作りたい。その野菜を使ってまた加工品を作りたい。」「型にはまったことをするのが苦手ななので、今の仕事が自分に一番あっている」と話されました。
(2005年12月取材)
平成8年女性5人でJAたがわ赤支所加工所を開設。平成10年赤村特産物センター運営協議会の会長に就任。
平成15年から21年まで、JAたがわ初の女性理事を務めるなど、女性の経済的自立や地域への発言力の強化に大きな役割を果たしている。たがわ21女性会議顧問など。
キーワード
【な】 【農林水産】