【ロールモデル】
ロールモデルとは
株式会社 セルブ 取締役会長
北九州市の株式会社セルブの代表取締役、またエステサロンや日本料理店を経営している、北九州を代表する女性経営者、小嶋寿見子さんが起業を決意したのは、40歳で子供を引き取り、離婚したことがきっかけでした。婚家の料亭の女将を退いた当時の小嶋さんは、就職できるような技能や技術、資格を持たず、女性の就職の困難さに直面しました。
しかし持ち前の努力と根性で、わずか半年で簿記、ワープロ、宅地建物取引主任者の資格を取得しました。その後、イベント会社に就職しましたが、経済的不安は常に小嶋さんにつきまといました。それで、自らの起業をめざします。融資先を探すものの、「女性だから…」と言う理由で断られることもあり、とても悔しい思いをしたそうです。
小嶋さんの夢を現実のものにするプロセスは、自分の夢や目標を手帳に書くことです。目標の日付なども明確に記します。そして白黒のイメージを描きます。考えが膨らみ、まとまってきたら、それをカラーにして、またイメージします。そして具体的なことを冷静に分析し、決めたプロセスを確実に実行します。そして実行できたら、それを消して、また1からのスタートだそうです。起業のためには熱意と周到な準備と情熱が必要だと小嶋さんはおっしゃいます。
このように何があってもくじけないという強い思いと、長年の経験で、今の小嶋さんがあるのでしょう。そんな小嶋さんでも58歳になった今、体力や気力の衰えを感じることもあるそうです。しかし、プラス思考の小嶋さんは過去をふりかえることはしないで、時代の流れを知り、これからも挑戦を続けたいと言われます。生涯現役というのが、小嶋さんの生きかたなのです。
小嶋さんは、北九州市立男女共同参画センター「ムーブ」が主催する女性起業家支援塾のコーディネーターを8年前から勤めています。コーディネーターをはじめてから、起業をしたいと思う女性や自立を考える人たちから相談を受けるようになったそうです。そこで「ムーブ」の起業家支援に協力していた女性達が集まって、「起業を目指す女性のためのワ-クショップ」を開きました。その後、ワークショップが発展して、北九州初の民間ビジネス・インキュベーション組織「Venus One(ヴィーナス ワン)」を設立することになり、小嶋さんは設立発起人となりました。「Venus One」では、起業を目指す女性、起業するという目標を持つ女性、またはすでに起業していて、さらにビジネスの発展を目指す女性等を主な対象として、起業へのトレーニングからサポート、さらには起業後のフォローと起業のトータルサポートを行っています。壁にぶつかった女性が困って助けを求めてきたとき、レベルアップして社会に戻ってもらうような現代版の“かけこみ寺”のようなものになったらいいなと考えているそうです。
自らが起業をして、様々な困難を乗り越え、経験してきたからこそ、このようなすばらしい取組ができるのです。セミナーに参加した人が成功し、喜んでくれるとき生きがいを感じるそうです。これからも人材教育に励みたいと話されました。
(2005年12月日取材)
北九州生まれ。料亭の女将から会社勤務を経て、(株)セルブ設立。不動産事業、和食レストランを展開。
エステティック技術研修所を設立とともに、起業、病院の社員教育、研修事業、セミナー講師等、多彩な活躍をされている。
女性の企業支援のため民間ビジネスインキュベーション組織「Venus One(ヴィーナスワン)」を設立。取締役会長。
キーワード
【か】 【NPO・ボランティア】