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今村 友香(いまむらゆか)さん  (2011年2月取材)

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若波酒造 杜氏

蔵柄を大切にしながら新しい挑戦を続ける

 

全国でも珍しい女性杜氏の始まりは…

 2月の寒気が古い酒蔵を包み、白い息を吐きながら蔵人たちが行き交う。きょうは、純米吟醸酒の袋吊り。特別なお酒の搾りの日だ。いつにも増して高まる緊張感。その中心に、蔵を預り、酒造りの責任のすべてを負う今村友香さんの姿があった。
 今村さんは、福岡県でも有数の酒どころ大川市で、100年の伝統を持つ酒蔵「若波酒造」の次女として生まれた。蔵元の娘であったものの、それまで家業とは関係のない生活を送り、大学は京都。就職も内定し、そのまま千年の都で大好きな日本の伝統文化に関わる仕事に就くはずだった。
 そんな折りに鳴った電話。「お父さんの体調が良くない。大川へ戻って家業を手伝ってくれないか」。心は揺れ、1年間だけという約束で帰郷する。しかし、事務処理中心の仕事が半年以上も続き、京都へ戻る日を指折り数えるばかりだった。
 そんな今村さんを変えたのは、酒造りが始まった冬だった。酒は生き物。その日の温度で発酵具合が微妙に変化し、さまざまな色や音、表情を見せる。「私の知らない世界が身近にあった」。自分が蔵元の娘であることに運命的なものを感じた今村さんは、蔵とともに生きていくことを決意する。

晴れて8代目杜氏に就任

 「この蔵で生きていく」。誓いを立てた日以来、通信教育や文献、蔵人との交流の中で酒造りの知識や経験を重ねていった今村さんだが、あらためて基礎から学び直すために酒類総合研究所へ入所する。研究所と蔵の二重生活の日々。それでも当主である父親は、蔵へ入れとは口にしなかった。
 「酒造りは男性社会。当主の娘だからといって、いえ、娘だからこそ軽々しく蔵へ入れるわけにはいかないと思ったようです」。
 ある日、「今度、あまおうを使った酒を造る」と告げられた今村さん。それは、娘の本気度を試す父親の問いかけでもあった。苺は酸化が早く酒には適さない素材。当然、研究所の先生をはじめまわりの人は大反対した。それでも「無添加でおいしいリキュールを造りたい」今村さんの熱意が人を動かし、協力の輪が広がった。失敗を重ねること1年…。ついに『あまおう~苺のお酒~』の完成を迎えた。
 あまおうの開発で酒造りの情熱を示した今村さん。2006(平成18)年、晴れて若波酒造8代目杜氏に就任し、2008(平成20)年には純米酒「若波 縁(en)」を擁して福岡国税局酒類鑑評会にて優等賞を受賞。九州の女性杜氏として初の快挙を成し遂げる。

将来は女性も参画する蔵づくりを

 「人に人柄があるように、蔵には蔵柄があります。酒造りはもちろんですが、誇りある蔵柄をつくるのも杜氏の責任なんです」。『あまおう』の評判で酒蔵見学の依頼が増えても、予約は一日1組限定。酒造りの道具をインテリアとした『利き酒処』で丁寧にもてなし、若波酒造ならではの蔵柄に触れてほしいと願う今村さんの気持ちがそうさせるのだ。
 時代の流れの中で社会制度や従来の考え方が大きく変わりつつある中、これまで男性社会とされてきた業界にこそ、実は女性が活躍できる場所が眠っていると指摘する。
 「酒造りは体力的に厳しく、長く男性中心でしたが、将来は”職人としての資質”があれば女性も採用したいと考えています。男女に関係なく、個性と適性に合った配置も杜氏の役割。他ではやらないことを堂々とやっていきたいと思っています」。酒蔵100年の歴史を、屋号の如く若い力で切り開いてきた若波酒造。これからの100年を築いていく上で、女性も参画することでどんな新しい波を起こしていくのか…。
 杜氏として蔵柄にこだわりながら、あたかも時代の先駆者を思わせる思考と行動で周りを牽引していく今村さん。今後の活躍に目が離せない。
                                                                                                    (2011年2月取材)

コラム

旅行で心をリフレッシュ

 学生時代から旅行が好きで、これまで全国47都道府県すべてに足を運びました。どの土地にも思い出があり、一期一会がありました。忘れられないのは四国や東北で出会った3階立ての木造家屋。やっぱり、和風の風景や風情に心を惹かれます。
 この頃は、近場の温泉へ日帰り旅行が多いのですが、それでもリフレッシュを楽しんでいます。

プロフィール

1977(昭和52)年大川市生まれ。2000(平成12)年に同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科を卒業。在学中に日本文化に魅了され、華道・着付の師範免許を取得。草月流華道では雅号「今村香月」を取得。
2001(平成13)年に「若波酒造」に入社。2004年(平成16)年10月にアンテナショップ「こだわり商品の蔵 縁(en)」をオープン。2005(平成17)に「酒類総合研究所広島事務所」へ入所。同年、苺のお酒「あまおう~苺のお酒~」を開発。2006(平成18)年4月に「利き酒処」をオープンし、若波酒造8代目杜氏に就任。2008(平成20)年には純米酒「若波 縁(en)」が、福岡国税局酒類鑑評会にて九州の女性杜氏として初の優等賞を受賞する。
2009(平成21)年、本場リキュールを学ぶため、カシス仕入元へ渡仏。同年、「ヤングスピーチコンテスト西日本の部」で準優勝すると共に、福岡県女性海外研修事業「女性研修の翼」26回団員に選ばれ、イギリス・ノルウェーを視察。
2010(平成22)年、ジュニア野菜ソムリエ取得。
  
【H P】http://www.wakanami.jp
     http://www.kyushu-chikugo-soho.net/people/p1/  
【ブログ】「あまおうdiary」http://amaow.seesaa.net/

 

 

 

 


 

 

 

 

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