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幾田 淳子(いくたじゅんこ)さん  (2011年2月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

(株)IKUTA Kitchen 代表取締役

まず実践して、経験することが大切

 

人を喜ばせることが、自分が幸せになる一番の近道

 「○○ちゃんのお母さんや○○さんの奥さんとしては幸せだったが、幾田淳子個人の生き方として、今のままで幸せなのか?」。専業主婦時代に友人から「今のままでいいの?」と聞かれたときに、幾田さんはこう自問自答した。その結果、幾田さんは専業主婦を辞め、働くことを決心した。
 その際、「家族との時間を大事にするため、フリーランスの仕事をしたい」と考えたそうだが、なぜ、様々な職業の中から料理研究家を選んだのか。それは、「子どもの頃から家事全般をやっていたのだが、その中でも料理を作ったときの家族の喜ぶ顔や褒めてくれる言葉が嬉しかったし、それらが自分の存在価値も高めてくれた。さらに、料理を通じて人を幸せにしたい」と思ったためだ。
 現在の仕事の魅力については、「コミュニケーションを取りながらできる仕事であることが最大の魅力。直接お客様と触れ合うことで、お客様に喜んでもらっていると実感できる」と話す。

人のぬくもりが日本から消えている

 イタリアンやエスニックなどのカラフルな料理に憧れていた幾田さんは、「世界を見てみたい、色々経験したい」という思いが強まり、オリーブについて勉強するため、イタリアのトスカーナへ学びに行った。
 その地で出会ったオリーブ農園で働く女性に、日本に行ってみたくはないか尋ねたところ、「私は自分の住んでいる街やこの国が大好きだから、他の土地に興味はない」と言われた。言葉だけではなく、その土地で育った作物を大事にし、四季を楽しんでいる日々の生活にも表れていたその思いに触れたとき、「自分も日本を愛して、誇りを持ちたい」と思った。
 また、その地方には給食というシステムが無く、お昼になると子どもが家に帰ってきて食事をとっていたため、毎食家族で食卓を囲んだ。「その風景に愛を感じた。日本でも、もっと食卓のぬくもりを大事にしてほしい」と考えるようになった。

子どもの頃の思い出は一生物

 2004(平成16)年から専門学校の非常勤講師として働くことになった。そこで、学生の食事調査を実施したのだが、3食きちんと食べていなかったり、栄養のバランスがとれていなかったりと、若者の食の乱れを目の当たりにした。「この乱れを直すとともに、乱れを予防するためには、もっと小さな頃から食に触れさせ、食の大切さや楽しさを知ってもらうことが必要だと思った。 今の子どもは知識や情報は持っているが、経験が足りないから、自分が育った頃の、体に染み付いた懐かしい思い出を、今の子どもにも体験させてあげたい」という思いから、「食育塾」を主催することを決めた。
 「食育の原点は土いじり」と幾田さんが考えているため、その塾では種まきから収穫、料理までを行っている。また、「いつでも誰でも来られる塾にしたい」という考えの下、暖かい雰囲気を大事にしている。
                                                                                                     (2011年2月取材)

コラム

ありがとうの気持ちを忘れない

 幾田さんに、料理を作る際に気を付けていることを伺うと、「命をいただく」ということと「食べてくれる人を喜ばせたい」ということを忘れないようにしているとのことだった。「料理には人柄が表れるので、思いを込めながら作ることが大事。人間力や精神力を養う訓練の場になる」と語る。

プロフィール

 大分県生まれ。福岡県内の短期大学を卒業した後、1986(昭和61)年から5年間、病院栄養士として食事療法や栄養指導に従事。結婚を機に退職し専業主婦となったが、2001(平成13)年に自宅で料理教室を始め、翌年料理研究家として独立。2004(平成16)年から専門学校の非常勤講師を務めるかたわら、料理教室の講師、食育者として講演活動や実践型「食育塾」も主宰するなど、多忙な日々を送る。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【あ】 【起業】 【農林水産】

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