DV(ドメスティック・バイオレンス)やデートDVの正しい知識とDV防止意識を高めることを目的とした全3回のセミナー。その第1回が実施されました。
第1回は「DVが与える子どもへの影響」と題し、午前と午後の2講座を実施しました。
午前中は、子どもの虐待防止活動にも携わるNPO法人 福岡ジェンダー研究所理事の倉富史枝さんより、DVはなぜ起こるのか、ジェンダーとの関係や社会的、経済的な背景、構造など基礎知識についてお話しいただきました。また、家庭内にDVがあることで、「子どもが第2の被害者になる」とし、その心理的な影響を紹介。支援する側の基本姿勢について周りの参加者と話しながら学びました。
午後は、DV家庭で育つということについて、筑後吉井こころホスピタル 理事長の梅根眞知子さんより、豊富な臨床経験をもとに、数々の具体例を取り上げ、その影響や実践的な対応についてご講演いただきました。
家庭内のDVを目撃する子どもたちは、不安や恐怖の中で生活をすることになり、「心の奥底に無力感や自己否定が埋め込まれるなど、その心理的影響は計りしれない。子どものSOSに気付きましょう」と語られました。
また、安心できる場所や頼れる人がいること、安定した大人のモデルの必要性を挙げられました。
第2回は、中・高生の恋愛事情に詳しい、ウィメンズクリニック・かみむら院長 上村茂仁さんより、デートDVについてお話しいただきました。
デートDVは、過度な要求を「約束」という形で強要し、様々な形の暴力に発展することがある。しかし依存関係にあるため、被害者がDVであることに気が付かないことが多い。ただ付き合っている相手に対して「怖い」と感じることが、デートDVの判断基準である、などポイントをあげられました。
被害者に必要なのは、「人とつながる力を身につけること」であり、デートDVの知識を持った友人、大人が寄り添ってくれることだ、と訴えられました。
その後、あすばる相談員より相談室の利用について説明を行いました。
第3回は、デートDV防止教育の「実践編」として、ワークショップ形式の講座を開催しました。
中・高校生や大学生対象にDV防止活動を行っているNPO法人DV防止ながさき 理事長の中田慶子さんより、「暴力の深刻な影響を止めるために、予防教育は重要。伝える場を増やしていくことが大切」と予防教育の必要性や効果を解説いただきました。
その後、予防教育の組み立て方や、被害生徒、加害生徒双方への対応について事例を用いた説明を聞くとともに、参加者たちは実際の予防教育で使用しているロールプレイを体験しました。
全3回にわたるセミナーで、参加者からは「DVの実態や影響がよくわかった。今回学んだことを地域や学校で活用していきたい」などの声が寄せられました。
タイトル | 教職員・親のためのDV防止セミナー ~見逃さないで 子どもからのSOS~ |
---|---|
開催日時 | 2015年2月22日(日) ~2015年3月8日(日) |