男性管理職のための女性活躍推進セミナー 2回
女性の力を最大化する『育成・支援力強化』
男性管理職のための女性活躍推進セミナー 連続講座の第2回目を12月10日(水)にアクロス福岡で開催しました。今回は、「女性の力を最大化する『育成・支援力強化』」というテーマで、大阪から株式会社クオリア代表取締役の荒金雅子さんを講師にお迎えして、講義とワークショップを行いました。
荒金さんは、長年、女性の能力開発、キャリア開発、組織活性化などのコンサルティングを実施されてきました。特に、1996年以降はアメリカから起こったダイバーシティ(多様性)マネージメントをいち早く取り入れ、専門とされています。
講義の合間にはワークショップが数回設けられ、受講者の方々は普段はあまり接点のないような異業種の方と同じ管理職の立場から意見交換、情報共有を活発にされていました。
講座は、ダイバーシティ(多様性)マネージメントがこれからの経営戦略の中で、必要不可欠とされていることから始まりました。グローバライゼーションの厳しい経営環境のなか、企業が存続し続けるには、新しい価値観を生み出しながら絶えず変化していくことが必要です。日本でも、2000年代から個人や集団間に存在するさまざまな違いや意見のぶつけあいから新しい考え方が生まれてくるといった、多様性を重視する経営スタイルを取り入れるようになりました。社員の国、性、年齢、障がいといった個々の差異を尊重し、ぶつかり合うことで創造的な緊張感とイノベーションが生み出され、そのことが企業優位性となっていくのです。本講座では、性差、特に女性の力について講義が進められました。
女性には、相手を重んじる関係性を築くこと、共感力、肯定力、また、自分のためではなく、社会や部下のために何かをするという無私であることが挙げられるそうです。単なる人材不足を補うための女性登用に終わらず、以上のような女性の力を引き出していくことが管理職に求められています。
管理職の立場である受講者の方々からも、女性は人当たりがいいので顧客対応に向いていること、女性社員はスケジュール管理等の仕事の基礎が安定しているため成長が早い、といった前向きな声が聞かれました。その一方、女性は結婚・出産等のライフイベントのためにいつ辞めるか分からない、そのため多くの仕事を任せるのは躊躇される、といった問題が受講者に共通して提示されました。
そうした問題を受けて女性管理職の割合を増やすのは急にはできませんが、荒金講師は上司として社員各々の力を引き出し、十分に発揮させるスキル、マネージメントスタイルを明日からはじめてほしい、と女性の部下へのかかわり方を話されました。重要なのは柔軟な考え方で、ひとつのことにとらわれず全体像を見ることや、部下の過去の例を勝手に解釈、推論をしないこと、他の選択肢を考えることが大切だそうです。女性社員のやる気を高めるコミュニケーションスタイルとして、相手の心を理解し聴く力、相手の良い面を認める肯定する力、よい答えを引き出す質問をする力等が大切と強調されました。また、具体的なアドバイスとして、女性社員の持つネットワークを広げる手助けをする・他に人が聴いていない場面で、女性社員を褒める方が好ましい・相手に関心があり期待していることを示すことの大切さなどをお話され、受講者の方々も納得されていました。
多様性を尊重し、多くの意見を聴き選択肢を広げる管理職、上司こそが女性社員の力を引き出して企業を成長に導くことを世界の動きと事例を織り交ぜながら語っていただき、大変有意義な講義でした。
男性管理職のための女性活躍推進セミナー 3回
実践ワークライフマネジメント『両立支援力と職場の生産性向上』
男性管理職のための女性活躍推進セミナー 第3回を1月14日、アクロス福岡で開催しました。福岡県内の会社・事業所の男性管理職の方々に、前回からひきつづき、ご参加いただきました。「実践ワークライフマネジメント『両立支援力と職場の生産性向上』」と題し、OFFICE ICB 代表 瀧井智美さんを講師にお迎えしました。前回までは女性を活かすこれからの経営の意義や知識が主な講義内容でした。それらを踏まえて、今回は特に育児期の女性社員の支援や残業を減らす働き方を伺いました。
大学講師でもある瀧井さんは、長年コンサルタントとして、ワークライフマネジメント、女性のキャリア開発支援などの分野で多くの企業に関わられ、実績を残されています。また、ご担当された企業が「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」を4年連続で受賞されています。
講義は、経営戦略としてのワークライフバランスの本質の説明で始まりました。ワークライフバランスは「仕事と生活が相互に良い影響を与え合うことで、全体的な質の向上を図る」ことです。瀧井さんは、働くことを「放電すること」、私生活を「充電すること」と例えて、良い仕事をするには放電するだけではなく、必ず充電が必要だと、バランスをとることの重要性を説明されました。
男性管理職に求められる仕事と私生活の両立支援力ですが、支援すること・傾聴すること等を、日頃しっかり心がけて、部下との良い関係を構築することが大切だそうです。お互いを尊重し、応援・協力し合える関係を築くことにより、社員は働く価値・意欲を見いだし、職場の生産性も高まります。そのような良い関係を構築するための、産休・育休前後の支援のポイントが説明されました。代替体制や業務の見直し等の職場での支援体制を整える一方、部下の精神的な不安や感情を上司は受け止めながら、安心感のある職場づくりをすることが大切だそうです。
ワークライフバランスの実現には、長時間労働の解消も欠かせませんが、働き方を変えるのは容易ではありません。企業で実際に行われている、短時間会議での効率化やCCメールでサポート体制をつくる改善例が挙げられました。また、毎日、出勤後と退社前に仕事の予定を社内でメールを送り合い、情報を共有することから始まる、働き方の見直しプロセスも紹介されました。
職場での関係性を大切にし、働き方の見直しをすることで、限られた時間を効率よく使えることがよくわかる講座でした。参加いただいた男性管理職の方々からは、「育休スタッフに対するケアの方法が大変参考になり、面談などで本人の働き方によい影響を与えたい」という感想をいただき、講座での学びをこれから実践していく様子がうかがえました。
男性管理職のための女性活躍推進セミナー 3回
「多様性マネジメント力向上宣言『ロールプレイング&アクションプラン』」
男性管理職のための女性活躍推進セミナー 第4回「多様性マネジメント力向上宣言『ロールプレイング&アクションプラン』」を1月28日、アクロス福岡で開催しました。
最終回は、キャリアコンサルタントの西田明紀さんの進行によるパネルディスカッションで始まりました。福岡県内の事業所で管理職として活躍される女性のお二人をパネリストに迎え、ご自身の体験談をお話いただきました。大学卒業後、結婚までの数年間だけ働くつもりの就職が、ある上司との出会いで仕事が楽しくなった、というパネリストAさんは、上司は部下の成長をしっかり見続け、期待していることを伝えることで、部下のモチベーションを上げることが出来ると強調されました。また、若い頃から即戦力として仕事を任されることで、会社での自分の存在価値を感じることは、後の頑張りや成長にも影響するそうです。パネリストBさんは、新入社員の頃は「次は主任だな」、課長代理の頃は「次は課長だな」と機会ある度に上司から言われていたそうです。日頃の自然な意識付けにより、「自分は今後、そうなるのだ、そのとき自分はどうするべきか」と考えていたそうです。そのように、次のステップを常に意識させられる状況であったため、管理職昇格への打診があったときは大きな戸惑いはなかった、ということでした。パネリストのお二人は、男性管理職の参加者の方々へのメッセージとして、女性社員の育成には、女性という属性ではなく、女性を個として見て伸ばしていくことが大切とお話されました。当然、男性と女性で異なる特徴はありますが、仕事をする上での能力は、決して性別によるものではなく個人によって違うものであり、男女共に部下の良い点は認めて褒めて、チャレンジをさせる機会を、会社の有益性のためにも作って欲しいそうです。
続いてのロールプレイでは、参加者が、設定された場面で、女性部下とどのようにコミュニケーションをとるかをグループで話し合い、部下役の女性と実践演習をしました。用意されたのは、育児休職復帰後の女性部下との面談と、リーダの打診をする面談の二つの設定場面でした。シナリオがなく、また正解もないのが、ロールプレイですが、信頼関係を作ることや期待を伝えることの重要性、また面談を設けることでお互いの状況把握が出来ることを学べる機会でした。
最後に、当セミナーのコーディネーター有限会社サイズ・コミュニケーション代表取締役の高見真智子さんから、4回講座で得た情報の活かし方について、お話いただきました。実際の職場では男性部下と女性部下とでコミュニケーションの取る場合、共通しているところもあれば、違う点もあるので注意が必要のようです。例えば、指示を出す時等、男性の部下は、「会社でこのように決まったから、対応して下さい」という簡単な指示でも違和感なく納得し行動ができても、女性の部下はそれだけでは不十分なケースもあります。そのような際には、きちんと言葉でその指示の背景や意義を説明して理解してもらう必要があります。
また、チャレンジを促すような機会には、唐突に抜擢の事実を伝えるだけでなく、本人への期待とともに、「あなたにとっても成長の機会になるからやってみませんか」と背中を押してみることも必要です。このように言うと、女性とのコミュニケーションは、難しいと感じるかもしれませんが、コミュニケーションの量と質を確保することで、確実に部下の意欲や仕事の成果は変化してくるそうです。過度に女性だから、というふうに構える必要はありませんが、言語化してきちんと伝える、というような小さなポイントを理解し職場で実践していくことが、大切だそうです。また、女性の育成プランのような特別な制度や育成計画などは有効ですが、実際にすぐに始めるのは難しいかもしれません。そこで、もう少し気軽な方法として、本人にキャリアプランを書いてもらい、それを上司と共有して職場の中でどのような役割を与えていくか話し合うことが上げられました。これにより、女性部下のこれからのキャリア意識を育てることが出来るそうです。突然、女性活躍が始まると、本人は心の準備が出来ていないので、仕事をただ押し付けられてように感じます。そのようなことを防ぎ、きちんと育成の機会を作るためにも、最初は仮のキャリアプランで良いので、本人にこれからの働き方を考えてもらい、それをもとに上司と部下とで話し合うことが大切だそうです。現場の上司がどう期待をして、どうコミュニケーションをとって、どんな役割を付与するかが、育成には最も大事な部分だそうです。
参加者からは、「実際の女性管理職の方々の生の声は、参考になりました」「能力は個々人によって異なり、男女の性別ではないことが良く分かった」「連続講座を通じて体系的に学ぶことが出来ました。会社での施策や女性部下活躍に活かしていきたいです」といった、管理職としてのこれからの部下の育成を意識したご感想をいただきました。
タイトル | 女性社員を活かすこれからの経営 “社員の力を引き出し、企業の成長につなげるために” |
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開催日時 | 2014年12月10日(水) ~2015年1月28日(水) |