平成26年度のふくおか女性いきいき塾の最初の講義は、東京大学社会科学研究所教授の佐藤博樹さんをお迎えしての、「ダイバーシティ・マネジメントとWLB支援」について学びました。
1つ目は、ダイバーシティ・マネジメント、ワーク・ライフ・バランス(WLB)は、いろいろな場で使われるようになってきたが、まだまだ誤解も多く、それを正しく理解すること。2つ目は、現在の企業経営には、ダイバーシティ・マネジメントや社員に対するWLB支援が必要であること、そして3つ目は、それを、実現できるような職場、働き方にするためには何をすればいいのか、をお話しされました。
ダイバーシティ・マネジメントの基本は「適材適所」。これは、従来の人材活用の考え方と同じであるが、「日本人、男性、フルタイム勤務、時間制約なし、転勤制約なし」といった従来の「適材と考える従来の人材像を見直す」ということをしなければ企業経営に必要な人材が確保できないようになってきている。大事なのは、従来の枠を外して、男性であるか女性であるかにかかわらず、仕事に必要な能力を持っている人を選ぶことであり、これが「適材適所」であるということ。能力に見合った人を選ぶことが重要で、結果的に多様性を満たしている必要はないことや、顧客視点がわかる“女性を集めたから“あるいは、”きめ細やかな女性“といったことは、ダイバーシティではない、”これでは男性にしかできない仕事と言っていることと同じだ”ということを強調されました。
ダイバーシティ・マネジメントには、時間制限のある社員も活躍できるということからWLB支援、男女別なく活躍できるということから女性活躍推進、その両者が含まれます。また、多様な人材が活躍することをうたうこと、さまざまな価値観を持った人がいる組織が成功するためには、経営理念が不可欠で、その経営理念を社員に徹底していくことが必要だと述べられました。
WLBについては、仕事よりも家庭や趣味を重視することだと誤解を受けることも多い。しかし、本当のWLBの定義は、社員が仕事上の責任を果たせると同時に、仕事以外でもやりたいことややらなければならないことができる状態にあることで、両者が両立できない状態が、ワーク・ライフ・コンフリクト(WLC)。また、WLB支援は、人材活用の基本、つまり管理職のマネジメントの基本であり、特別なことではない。①社員が自分の担うべき役割を理解し、②社員が、期待された役割を担うための能力開発を行い、③社員が高い水準の仕事意欲を持続すること、とくに最近では③が重要になってきている。WLCの状態にある社員は、仕事に意欲的に取り組むことができないので、直面しないように、直面した場合はその解消を図ることが大事であると述べられました。
WLB支援を実現するための取組には、【土台部分】多様な価値観、生き方、ライフスタイルを受容できる職場作り【1階部分】社員の時間制約を前提としたマネジメント・働き方の実現【2階部分】WLB支援の為の制度の導入と制度を利用できる職場作り の3段階あり、それぞれの具体的な取り組み方も紹介されました。
途中、グループワークを交えながらテンポよく進められる講義に、「制度を整えることが、実は女性の活躍を阻んでいるということは目からウロコでした」「制度の拡充や理解のみならず、制度が効果的に利用される“職場作り”や、制度利用に向けた“働き方の見直し”が需要だという事に気づきました」「WLBを実現するため、時間に意識をおいて働くことの重要性を感じた。具体的な実践方法も教えていただいたので、できるところから実践したい」などの感想が寄せられました。
タイトル | 平成26年度ふくおか女性いきいき塾 講義①「両立支援」 |
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開催日時 | 2014年7月12日(土) |