ふくおか女性いきいき塾の講義もいよいよ後半に入りました。7回目は「ソーシャルビジネス」をテーマとして、NPO法人わははネット理事長の中橋恵美子さんを講師にお迎えしました。元気よく明るい笑顔で登場した中橋さんは、「ソーシャルビジネスを意識して活動を始めたわけではないけれど、結果的に子育て支援の問題という社会的課題をビジネスの手法で解決している」と前置きして、自身の経験を楽しくわかりやすく紹介されました。
香川県で1998年に育児サークル「わはは(輪母)ネット」を立ち上げたのは、年子を出産したあと、地元の育児情報がほしかったから。子育て情報誌の発行から始め、インターネット、携帯電話へと情報発信の場を拡大しました。2002年当時、携帯電話で子育て情報を発信する会社はなく、子育て中の主婦が携帯を持つ弊害などもささやかれ始めた頃で、なかなか理解を得られなかったそう。けれど、いざスタートすると、子育て世帯はもちろん、企業や行政にも大きな反響があり、システムは全国へと広がりました。さらに子育て広場を開設したことで、居場所づくりや利用者同士のコミュニケーションにより双方向の情報交換が可能に。今では行政や企業からの委託を受け、子育てひろばを運営しているそうです。
さらに、出産を控え陣痛の始まったママがタクシーを利用した際に、運転手の無理解により嫌な思いをしたと聞き、「子育てタクシー」の企画を提案。ドライバーに講習を受けてもらい、子連れに優しく、子どもだけの送迎もできるタクシードライバーを養成。現在は北海道から沖縄まで、子育てタクシー会社は150社、ドライバーの認定は1600人を超えています。
「子育てで困っている人がいたら助けたい。今、あったらいいなと思うサービスを当事者目線で一つひとつ形にしてきた」という中橋さん。事業にタブーはなく、最初からうまくいかないこともある、ダメだったらやめればいいと思っていると述べ、失敗した事例も紹介されました。「子育て中の世帯は出費にはシビアで受益者負担が難しいので、サービスを提供したい企業や地域、行政を巻き込んで事業化する。困っている人の顔を浮かべて、あの人が幸せになって、私も幸せにというハッピーハッピーの関係ができる。楽しみながら笑顔が増えるような仕事をしていきたい」と締めくくられました。中橋さんの、人を惹きこむ軽快な語り口で、塾生たちはソーシャルビジネスを身近に感じ、理解がぐんと深まる講座になったようです。
タイトル | 講義⑦「ソーシャルビジネス」 |
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開催日時 | 2013年11月2日(土) |