「生きづらさはある」、「生きづらさは社会構造の中で生まれる」ことを前2回の講義で伝えられてきたので、経営学の視点から生きづらさを無くす軽減する提案をしたいと、福岡大学商学部経営学科 准教授の藤野真さんは講義を始めました。
事例としてTV・映画の映像を提示。大正・昭和初期が舞台の連続TV小説で「背の高い女性は結婚できない」、「卒業したらどうせ結婚するしかないから勉強してもしようがない」いうセリフに、その時代の女性の生きづらさを、アメリカのドラマ「アリー my love(日本語版)」では、弁護士の女性アリーは社会的には大変成功しているけれど他者との関わりの中での苦しみを、また益田ミリさんの漫画「結婚しなくていいですか」では、結婚するしないは自分で選んでいいはずなのに、30歳代のスーちゃんがそのことに悩む様子を紹介されました。
しかし「生きづらい」と言っていればそれでいいのか?「そうだね。」と同情してもらうのは一時的なものではないか?自分と社会との関係は可変的だから関係を再構築して「生きやすい」ように変えていくことを提案し、自分の生きづらさと社会との関係をマネジメントしてきたフロントランナーたちを紹介されました。
女性に教育は必要ないと言われていた時代に、学ぶことの意義を訴えた女性がいたので女性が大学に行けるようになった。女性の就職は腰掛けが一般的なときに、結婚か35歳で退職することに納得できないと言ってくれた女性がいたから、これが差別だと社会が知ることになり(住友セメント結婚退職事件)、セクシュアルハラスメントも抗議した女性がいたから人権侵害だと社会が認知し、それが積み重なって法として制度化されてきたと話されました。
「個人的な問題は政治的な問題だ」というスローガンを引用され、参加の皆さんが感じている生きづらさは個人の問題ではなく多くの人が感じている生きづらさだから、多くの人の問題として解決していくことが重要で、自分のことだからこそ頑張れるし自分のために頑張ったことは 結局社会を生きやすく変えるのだと結びました。
解決方法・頑張りについては、大学で勉強することで生きづらさの原因や対策が分かってくるはず。また、大学在学中に成人になるので保護者に頼らず自己決定が可能だし、ネットで必要な情報を得て解決方法、仲間、支援してくれる人を見つることも可能だと助言されました。
最後に、論点として「解決したい問題」を提示し、それに興味のある人が集まって特性要因図を使って解決するワークを実践しました。
「それぞれが抱えている悩みについて、友人以外とで共有したり考えたのは良い機会だった」「生きづらさを言葉にすることで解決の糸口が見えていくと思いました」などの感想が寄せられました。
タイトル | 「生きていくための力をつける」 福岡市立婦人会館あいれふ8F視聴覚室 |
---|---|
開催日時 | 2013年10月31日(木) |