第6回は、能楽師の多久島法子さんをゲストに迎えて、「能楽界と一般の方たちの橋渡し役に」をテーマにお話し頂きました。
650年もの歴史を有する日本の伝統芸能である「能」は、現存する演劇としては世界最古とされ、ユネスコの世界無形文化遺産にも認定されています。
祖父と父親が能楽師で、ともに重要無形文化財総合指定保持者という家に生まれた多久島さん。なんと紋付き袴で登場され、祝言で謡われる伝統的な謡曲「高砂」を披露してくださり、会場は一気に厳粛な空気に包まれました。
わずか2歳で初舞台を踏まれ、全国各地で活躍されている多久島さんですが、同世代の女性能楽師は、全国で4名しかいないそうです。
「もともと能は男性が演じるもの。男性の役の中には能面をつけない曲もあるため、女性にはできないと言われ、役柄が限定されるなど厳しい現実もありますが、女性で小柄という弱点を個性に変えて、自分ができることを精一杯やっています」と前向きな姿勢が印象的でした。
能の魅力を尋ねると、「能は鎮魂の舞台と言われています。また、物語には起承転結があり、人間の喜怒哀楽がベース。それは今も昔も変わりません。世界最古の芸能が、途切れることなく引き継がれていることはとても素晴らしいことです。」と答えられました。
能の魅力を広めるべく、稽古やワークショップを開催するなど、伝統を受け継ぎながらも、新しいことにチャレンジされている姿に、参加者の皆さんも心を打たれたようです。
参加者からは、「能に対する熱い気持ちが伝わるとても素敵な講演でした。」「能楽を見に行きたくなりました。」「男性社会でご苦労も多いかと思いますが、女性だからできることを実践されているお姿、尊敬します。」などの感想が多く寄せられました。
世界に誇る伝統芸能を身近に感じられる、とても素敵な時間を共有できました。
タイトル | 能楽界と一般の方たちの橋渡し役に |
---|---|
開催日時 | 2012年10月24日(水) |