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俵 純子(たわらじゅんこ)さん (2011年3月取材)

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社員教育接遇マナー研究所 代表 

人生は一度だけ、楽しく働き、楽しく生きる  

                                                                       

「人に感謝して、人の役に立ちたい」

 「人生は一度だけ、楽しく働き、楽しく生きる」をモットーに、研修や講演で全国を飛び回っている俵さん。颯爽とした容姿が印象的な女性だ。多忙な毎日だが、意外にも、自分から営業をするようなことはあまりなく、今までに関わった人達の口コミなどから話を引き受けることが多いという。そういった話は、基本的に条件に関わらず引き受けることにしているそうだ。
 例えば、以前に食事で立ち寄ったお店で、店員さんが浮かない表情をしていたので、親身になって相談に乗ったことがあった。すると数年後に、管理職になっていたその人からの紹介で連絡があり、大手食品関連企業での研修の話につながったことも。
 また、自身の仕事や人生に対するスタンスとして、「人に感謝して、人の役に立ちたい」という気持ちが常にあり、それは生まれ育った対馬の風土や人の温かさ、両親や祖母への感謝の気持ちから育まれたという。こういった俵さんの人柄や姿勢が人づてに広がっていき、それがまたプラスとなって返ってくるという好循環を生んでいる。

親が決めた19歳での結婚、離婚してからの苦悩と転機

 今でこそ充実した毎日を送る俵さんだが、そこに至るまでの道のりは平坦なものではなかった。長崎の女子高校を卒業後、19歳で結婚。相手は地元資産家の子息で、親が決めた結婚だった。男女二児を出産するも、お互い未熟な面もあり、25歳で離婚。一からやり直そうという気持ちから、長女だけを引き取り、2人で福岡へ。
 子どもを育てるためにも正社員になりたかったが、学歴も資格もなく、なかなか採用してもらえなかった。次第に精神的にも追い詰められていたある時、偶然1冊の本に出会い、『苦しみに負けるのか、苦しみを生かして飛躍するのかは、自分で選べる』ということに気づかされる。それをきっかけに、「私は飛躍する方を選ぼう」と決心。その後の考え方や気持ちが大きく変わり、目の前の仕事に積極的に、一生懸命に取り組むようになっていく。その姿勢が、パートから正社員、そして管理職へと人生が開けていくことにつながっていった。
 また、32歳の時には、「『社長になる』という目標を紙に書け」(著・新将命、中経出版)という本にも出会い、その時の感動そのままに著者に手紙も書いた。それが縁となって、著者とは現在でも交流が続いているという。この出来事は、その後独立していく上でも大きな糧となっていった。

小手先の技術だけではなく、「こころ」を大切に

 自分の考え方や気持ち次第で、人生が大きく変わっていくことを実感してきた俵さん。接遇マナーの研修でも、スキルや知識といった小手先の技術だけではなく、考え方や気持ちといった「こころ」を重視して教えている。自身の過去の経験や気持ちも包み隠さず全て話しているそうだ。これは人に接する際だけに限らず、ひいては人生そのものに対する姿勢としても共通するものでもあるという。
 例えば、新入社員の研修生に、自分の内面をきちんと知って、それを表現することを気づかせてあげたところ、研修の最後には表情豊かで生き生きした感じに変わっていったこともあった。また、職場体験の中学生の感想文には、人と人との関わりや、人生を生きていく上で大切なことがよく分かったという感謝の言葉が並ぶ。
 「自分の心に正直に、純粋に、一生懸命に生きていれば、必要なものは求めなくても向こうからやってきます」と輝いた表情で話す俵さん。『セレンディピティ』(※)という言葉が好きだともいう。
 人生が開けてきた頃、離婚の時からお世話になっていた弁護士さんに「上昇気流に乗ってきたみたいですね」と言われ、涙が出るほどうれしかったそうだ。これからもまだまだ上昇の余地があるように思えた。

※セレンディピティ【serendipity】・・・何かを求めているときに意外な出来事に遭遇し、求めているものとは別の価値あるものを、思いがけずに発見する「能力」を指す言葉。英国の小説家ホレス・ウォルポールによって1754年に生み出された造語が起源。2002(平成14)年公開の映画「SERENDIPITY」でも有名になった。

                                                                                                         (2011年3月取材)

コラム

25年ぶりの息子さんとの再会

 25歳で生まれ故郷の対馬を離れて以来、息子さんと離れ離れになり、その後の消息も分からなくなっていた。それが心残りで、「息子に会いたい」という思いが心のどこかにずっとあったという。
 その願いが、2010年に思いがけない形で叶うことになる。長崎県の五島への研修に向かう飛行機に乗った時だった。携帯電話が鳴り、見てみると知らない番号。機内で躊躇しながらも、何かを感じて出てみると、「もしもし、○○(息子さんの名前)だけど、お母さん…?」との声。この時は涙が止まらなかったという。(ただ、客室乗務員に注意され、すぐに切らないといけなかったとか。)
 2011年初頭の句会で俵さんが詠んだ俳句、『新年や、息子と描く、未来像』。実に四半世紀ぶりに息子さんと再会し、また一つ夢がふくらんでいるようだ。

プロフィール

長崎県対馬市出身。社員教育接遇マナー研究所代表。大手流通会社系列の人材派遣会社にパートとして入社後、正社員となる。人材募集、面接、採用、教育などを経験し、マネージャーとしてスタッフの研修やマネジメントに携わる。その後、福岡市の派遣会社に転職。教育事業部のチーフインストラクターと人材派遣管理部長を兼任し、外部の企業研修を担当。2002年、「社員教育接遇マナー研究所」として独立。現在は人材育成のプロフェッショナルとして、福岡を中心に全国を飛び回り、企業新入社員、組合組織、地方自治体、教育機関など、多方面にわたっての研修や講演を行っている。

 

 

 

 


 

 

 

 

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