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【センター長コラム No.66】 「ジェンダー平等」と「男女共同参画」(その3)ーー「男女共同参画」と「ジェンダー平等」はどう違うのか(2021年11月3日配信)

こんにちは。

ムラサキシキブの実が趣のある紫色になりました。野菊も咲いて、秋の深まりを感じる今日この頃です。

お変わりありませんか。

 

 

今回は、「男女共同参画」と「ジェンダー平等」はどう違うのか、についてのお話です。

結論を先に言えば、「男女共同参画」と「ジェンダー平等」は同義です。

 

内閣府男女共同参画局のホームページの英語版を見ると、「男女共同参画社会」のことを「Gender-equal society(ジェンダー平等社会)」と表しています。

日本語版の男女共同参画局のトップページでも、男女共同参画局を「Gender Equality Office」と表記していることからも分かると思います。

 

これまでのセンター長コラムでお話ししたように、1995年に北京で開催された第4回世界女性会議で、「ジェンダー」が女性政策のキーワードとなりました。

第4回世界女性会議の合意文書である「行動綱領」には、「ジェンダー」という言葉が随所に見られ、政府の政策は「ジェンダー」に配慮すること、「ジェンダーの視点」を持つことが求められました。

 

「ジェンダー」とは、社会的につくられた性別のことです。「ジェンダーに配慮すること」、「ジェンダーの視点を持つこと」とは、「男性とはこんなもの、女性とはこんなもの」というように、社会的につくられた性別によって、男女の役割分担が固定化され、女性が等しく権利や機会、責任を享受できない状況となっているので、あらゆる政策において、女性がその便益から排除されていないか、その政策は、男女双方のニーズを満たしているかの検討を行い、女性を排除しないようにするということです。

 

そして、「行動綱領」は、各国に対して、できるだけ早く行動綱領の実施計画をつくるように求めました。

日本では、ちょうど、政府の諮問機関である男女共同参画審議会が「男女共同参画社会の形成に向けて、21世紀を展望した総合的ビジョン」の検討を進めているところでした。審議会が1996年に答申した「男女共同参画ビジョン」の中に、「男女共同参画社会の実現を促進するための基本的な法律について、速やかに検討すべきである」との記述がなされ、1999年の男女共同参画社会基本法の制定へとつながっていったのです。

 

しかし、男女共同参画社会基本法には、「ジェンダー」という言葉や「社会的、文化的に形成された性別」といった文言は使われていません。なぜ使わなかったか。それは、ジェンダーは分かりにくい、一般的に理解しにくい、という理由からです。

しかしながら、基本法の国会審議の際に、政府から、基本法の条文全体に「ジェンダーの視点」が貫かれているということが、何度も答弁されました。

 

特に、基本法第4条には、「男女共同参画社会の形成に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない」と規定されており、国や自治体の制度設計や施策の策定において、ジェンダーの視点が必要であるとされています。

 

確かに、「ジェンダー」という言葉は分かりにくく、一時期、男女の区別をなくすとして、男女同室着替えを行ったり、ひな祭りなどの伝統文化を否定するなど、誤ったジェンダーの理解が問題になったことがあったため、「ジェンダー」という言葉が公的には使われない時期がありました。

 

しかし、国際的には「ジェンダー平等の実現」は、ずっと使われている世界目標です。

2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)の目標(ゴール)5にも、また、SDGsの前身である2000年に採択された「ミレニアム開発目標(MDGs)」の目標3にも、ジェンダーの平等が掲げられているとおりです。

 

そして、SDGsの目標(ゴール)5のジェンダー平等は、1つのゴールというだけでなく、このゴールが達成されなければ他のすべてのゴールは達成されないという全ゴールの基盤であり、SDGs全体の目的でもあるとされています。それくらいジェンダー平等の実現は、世界の重要なテーマなのです。

 

以上をまとめると、①「ジェンダー平等」と「男女共同参画」は同義です。また、②「ジェンダー平等の実現」は、21世紀の世界の重要課題です。そして、③「ジェンダーの視点=男女共同参画の視点」は、あらゆる政策の策定及び実施において、当然・不可欠な基本的視点なのです。

 

 

おしまいは、マイ農園だよりです。

木瓜(ぼけ)に10個ほど実がなったので、はちみつ漬けとジャムをつくりました。疲労回復や免疫力強化の効能があるそうです。間引いた晩白柚の皮の砂糖漬けと干し柿もつくりました。

これから、一雨ごとに気温が下がっていきます。どうぞご自愛ください。

ではまた。                          (2021. 11.03)

 

 

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