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【センター長コラム】男女共同参画社会基本法の基礎知識(その3)ーー基本理念と国・自治体・国民の責務  (2020年12月23日配信)

お変わりありませんか。

「あすばる男女共同参画フォーラム2020」では、11月27日の前日祭からフォーラム・ウィーク最終日の12月5日までの間に、4,500人の方がフォーラム2020の特設サイトを訪問くださいました。多くの皆様のご視聴ありがとうございました。

また、特設サイトの公開を延長してほしいというご要望も寄せられており、現在調整中です。
今年のフォーラムは、オンライン開催という初めての試みでしたが、皆さんのご協力により、新しい実績を残すことができました。心からお礼申し上げます。

 

さて、12月も残すところ1週間、ニシキギが真っ赤になりました。ドウダンツツジの赤い葉の上に侘助が散って、素敵なコントラストを見せています。

 

 

今回は、男女共同参画社会基本法の基礎知識シリーズの締めくくりとして、基本法に定められている基本理念など、男女共同参画社会実現のための施策の仕組みについてお話ししたいと思います。

 

男女共同参画社会基本法に定められている基本理念は次の5つです。

①男女の人権の尊重

②社会における制度等についての配慮

③政策等の立案及び決定への共同参画

④家庭生活における活動と他の活動の両立

⑤国際的協調

 

①は、個人の尊厳、人権尊重のことです。単に「人権」ではなく「男女の人権」としたのは性別に起因する問題に着目したもので、例えば、性暴力や、セクシュアル・ハラスメントを受けないことなど、「男女の個人としての尊厳」が重んぜられることや、個人として能力を発揮する機会が確保されるようにすべきことを定めたものです。

 

②は、男女共同参画社会の形成にあたっては、社会制度が重要な役割を負っているということをよく考えるように、という条文です。

社会制度が、「男は仕事、女は家庭」といった固定的性別役割分担意識に基づくものであるなら、女性は活動の選択の幅を狭められます。つまり、社会制度や慣行は、女性の活動や生活に大きな影響を与えるものなので、固定的な性別役割分担意識を反映したものになっていないかという目で見る必要があるというものです。

 

③の「参画」には、政策決定過程において、主体的に立案の段階からかかわるという意味が込められています。国や自治体だけでなく、企業、団体、さまざまな組織においてこの基本理念が尊重されなければなりません。

 

④は、ワーク・ライフ・バランスの規定ですが、女性のワーク・ライフ・バランスではなく、「男女の」ワーク・ライフ・バランスの推進を規定したという点が重要です。

 

⑤は、男女共同参画社会の形成が、1995年の第4回世界女性会議(北京会議)など、国際社会の取組との密接な関係の中で進められたことや、日本が国際社会の一員として国際的な連携のもとに男女共同参画を進めなければならないことから規定されたものです。

 

そして、これらの基本理念のあとに、男女共同参画社会形成の担い手として、国、地方公共団体、国民の責務が定められており、それぞれは、基本理念にのっとり、責務を果たすよう求められています。

 

国と地方公共団体の責務についてみると、国は、積極的改善措置を含む、男女共同参画社会形成の促進に関する施策を総合的に策定し実施することとされており、そのために、「男女共同参画基本計画」を策定しなければならないとされています。

 

積極的改善措置とは、不平等な状態を早く解消するために、差別されているほうのグループに、一定の範囲で特別の機会を提供する暫定的な措置のことです。

 

地方公共団体については、都道府県は、国の男女共同参画基本計画を勘案して、都道府県男女共同参画計画を策定しなければならず、市町村は、計画を策定するよう努めなければならないことになっています。
市町村の男女共同参画計画の策定は努力義務ですが、多くの市町村では計画が策定されています。

市町村の計画策定を担保しているのが、各市町村で制定されている男女共同参画推進条例です。民意を反映した条例の制定によって、その市や町・村の首長に、男女共同参画計画の策定、実施を義務付けているのです。

男女共同参画の推進に限らず、施策を着実に行うためには、「計画」とそれを実施する「担当組織」が欠かせません。

 

さて、国は、年末までに、2025年までを計画期間とする第5次男女共同参画基本計画を決定することにしており、福岡県も現在、第5次福岡県男女共同参画計画を策定中です。

 

私たち国民も、職場や学校、地域、家庭などで、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めなければならないという責務を負っています。

 

来年は新しい計画がスタートします。男女共同参画社会の形成は、国、地方公共団体、国民が一緒になって、歩みを止めずに続けていかなければなりません。

 

 

2018年6月から月に1~2回のペースで書いてきたセンター長コラムは、今回で50回となりました。お読み続けてくださった皆様に、心からお礼を申し上げます。これからもよろしくお願いいたします。

つい先日、「大野城女性の会」主催の講演会に伺ったときに素敵なお花をいただきましたので、コラム50回記念に掲載させていただきます。

 

 

最後に、マイ農園だよりです。

晩白柚が大きくなりました。今年は果物の実つきがよくありませんが、晩白柚だけは、これまでよりたくさん収穫できそうです。もう一つの写真は、小さな鏡餅の上にのせるために植えている小ミカンです。これもたくさんの実をつけました。

 

今年もあと1週間になりました。どうぞよいお年をお迎えください。

ではまた。                                 (2020.12.23)

 

 

 

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