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【センター長コラム】言葉に込められた意味  (2019年5月24日配信)

 お変わりありませんか。
我が家のクジャクサボテンが、何年かぶりに花を咲かせました。プランターで栽培しているイチゴはいま収穫最盛期です。

 

 
平成から令和への改元を機に、平成時代の振り返りがさまざまに行われています。私自身の平成時代を振り返ると、私が男女共同参画の仕事に初めて携わったのが平成2年、この年に創設されたアジアの女性の地位向上を図るための組織「アジア女性交流・研究フォーラム」での勤務です。そして、昨年、「あすばる」センター長の職につきましたので、平成は、その始めと終わりに、私に、男女共同参画に関する新しい道をひらいてくれました。


 アジア女性交流・研究フォーラムは、北九州市が「ふるさと創生事業」として、研究と交流を通して日本を含むアジアの女性の地位向上を図ることを目指して設立した外郭団体です。私は、1990年10月の設立時から7年半、国際情報課長として勤務しました。
「アジア女性交流・研究フォーラム」という名前は、この組織をつくる際に設置した基本構想委員会の顧問であった元デンマーク大使・高橋展子さんの強い意向を受けたものです。高橋展子さんは、1980年にデンマークで開催された第2回世界女性会議で、「世界女性の憲法」といわれる「女子差別撤廃条約」に日本代表として署名をした方です。
基本構想委員会で「アジア女性フォーラム(仮称)」だった組織の正式名称を検討した際に、高橋さんが、この組織は、「交流」と「研究」を2本の柱にして活動していくので、名前を見ただけでどのような組織かわかるように、「交流」と「研究」を入れた名前にすべきだと強く主張して、この名前が決まったということです。
確かに、「アジア女性交流・研究フォーラム」のほうが、活動内容が正確に伝わるよい名前だと思います。言葉の選び方で伝わることにも違いがあります。何を伝えるか、どんな言葉を用いるかは大変重要なことだと思います。

 ところで、もうすぐ6月ですが、6月23日は、何の日かご存知ですか。
20年前、「男女共同参画社会基本法」が制定された日です。毎年、6月23日から29日までの1週間が「男女共同参画週間」とされているのは、男女共同参画社会基本法にちなんだものです。
この「男女共同参画」の「参画」も、その由来には興味深いトピックがあります。「参画」は、「単に女性の参加の場を増やすだけでなく、政策・方針の決定、企画等に加わるなど、より主体的な参加姿勢を明確に示すもの」であることは、皆さんよくご存じだと思います。「参画」という言葉は、1991年に初めて国の公式文書の中で使われ、以後、「参加」にかわって「参画」が使われるようになりました。(ちなみに、合わせてこのときから、「婦人」が「女性」に変更されました。)

 しかし、国より前の1989年に、2つの自治体の公的な文書に「参画」が使われているのです。その自治体は、東京都と北九州市です。東京都は、知事の諮問機関である「東京都婦人問題協議会」が、都知事あてに出した報告書「二一世紀へ向け男女平等の実現を――その課題と基本的な考え方」の項目の中に「参加から参画へ」という項目がありました。
北九州市は、市長の諮問機関である「北九州市婦人問題推進会議」が、市の女性プランの策定にあたって提出した意見書のタイトルが「両性の共同参画型社会の形成のために」で、「参画型」という言葉が使われています。また、その中で示された基本的な考え方の5つの柱の1つに「競争・管理から相互援助・参画へ」という項目がたてられ、「男女がお互いに競争し、一方が他方の生き方を管理するのではなく、互いに自立し、協力し、援助しながら社会を築くべきである」と述べられています。

 昨今、「男女共同参画」という言葉が、固い、長いと敬遠される向きもあるようですが、「男女共同参画」は、社会で地域で家庭で、男女が共に持てる力を発揮し、協力しながら共に責任を担っていくことです。
「参画」という言葉が、国よりも先に地域で使われ、地域においても行政サイドではなく民間の皆さんが使い始めた言葉であることに、地域の皆さんと一緒に仕事をするものとして誇らしさを感じます。
男女共同参画社会基本法制定20年を迎え、「参画」の由来に改めて思いをいたしている次第です。

 最後に、最近のマイブームを。
あすばるに来られる女性団体の皆さんの中に、素敵な着物を着ておられる方がいて、私はずっと憧れていましたが、一念発起、ネット動画を見ながら、夜ごと帯結びの練習をしています。「着物姿でご挨拶を」が目標です。
まだ、着物姿はお見せできないので、先日あった「福岡県 女性のための災害対応力向上講座」で習った、ビニール袋で作ったレインコート姿、いかがでしょうか。そういえば、先日の雨で、ニオイバンマツリの花も一段とカラフルになりました。ではまた。


 
                                                                                                      (2019.05.24) 

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