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【フォーラム2015】基調講演

男と女のライフデザイン ―働く・結婚・子育て―

 

 「婚活」「妊活」「女子」などのキーワードについて発信するジャーナリストで、女性のライフプランやキャリア、女性活用などをテーマに講演や本の執筆などをされている白河桃子さん。この度、政府の「一億総活躍国民会議」の有識者委員にも就任されました。

現代の男女のライフデザインなど、次世代を担う世代の現状を踏まえ、男女共同参画社会の今後の展望についてご講演いただきました。

仕事と家庭の両立への不安

 

 日本は少子高齢化、人口減少社会になっています。政府は2060年に人口1億人を維持したい、そのために合計特殊出生率※1.8を実現しなければと発表しています。しかし、国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」によると、1995年生まれの女性は、5人に1人が50歳で未婚、生涯子どもを生まない女性は3人に1人と予測されています。

 女性が「産みたい」という気持ちになるには、どうすればいいでしょうか。女性が働くから産まないという意見がありますが、実際には女性の正社員が多い地域や国ほど出生率が高いという調査結果があります。また、男性の家事育児時間が長く、長時間労働をしない国は出生率が高いというデータもあります。女性が産みたいと思うためには、家庭と両立できる安定した仕事が不可欠であり、女性も働くことが当たり前の社会になれば少子化問題を解決できると私は考えています。

 都内の女子大生にアンケートを取ったところ、出産しても働き続けたい、結婚・出産は早くしたいという人が多くなっています。しかし、仕事と家庭の両立が想像すらできないという声が多いのも現実です。

 

※一人の女性が生涯に何人の子どもを産むかを表す数値

「産む」×「働く」ための4つのハードル

 

  「産む」×「働く」ために、日本では4つのハードルがあります。①妊娠の知識が不足している、②結婚しないと産めない、③仕事と子育ての両立が難しい、そこから生まれる④加齢による不妊問題です。日本は世界一不妊クリニックが多く、そこには産みにくい社会背景があるのです。以前は、日本の女性の人生は一定でした。しかし、「就活」「婚活」「妊活」という言葉が示すように、今は仕事も結婚も子どもも、欲しいものは自分で意識的に活動しないと手に入らない時代です。そして、「ライフプランニング」は、その通りにいかないものであり、作っては壊し修正するという認識が必要です。

 4つのハードルのうち、①~③について考えていきましょう。ハードル①については、妊娠の正しい知識を持つことが大切です。女性は年齢と共に妊娠率が下がり、男性も加齢に伴い精子の質が劣化していきます。

 ハードル②は結婚です。日本の未婚者の3人に2人は恋人がおらず、30代の4人に1人には交際経験もありません。ある調査によると、独身女子の7割以上は恋愛で相手からのアプローチを待つ方で、なんと男性も6割が待ち受け状態。これでは何も起こりません。また、結婚しないもう一つの背景に、経済的な問題もあります。雇用が安定しない若い世代が急増し、男性は自分の力だけでは家族を養えないと考え、女性は出産したら働けないから養ってもらわなければと思っている。しかし、この10年で世帯所得は減少しており、共働きで世帯年収を上げなければならなくなりました。結婚のハードルを越えるには、ふたりで働き、家事と子育てをシェアする必要があるのです。ライフイベントに合わせて、緩急をつけながら働き続けることを目指しましょう。

 ハードル③となる仕事と子育ての両立を阻む課題は、パパの非協力、長時間労働、子育ては自分で頑張らなければと考えるママの意識があげられます。20代から30代前半は仕事を頑張る時期であると同時に、出産適齢期でもあります。28歳までにパートナーとしっかり向き合ってください。出産前は欲張って仕事の成功体験を積み、産後は産後なりの成果の出し方があります。うっかり離職してしまうと、正社員で復職できるのは4人に1人で、生涯年収で約1億5000万円以上の損失になります。辞めない女性の特徴は、卒業時に働き続けるという強い意志があり、20代で仕事の喜びを知り、夫が協力的で、職場に風土や環境があることなどがあります。また、一回辞めて正社員に復帰できる女性の特徴としては、3年以内のブランクで、家族に協力と理解を交渉しており、人脈を大切にする、専門性を持つなどがあげられます。終身雇用・年功序列の時代は終わり、雇用が不安定な現代は共働きで乗り切る時代になりました。両立のキーワードは「共立」。友人、地域、保育園や学校の先生、祖父母、仕事仲間など、いろんな人と一緒に子育てしていくことが大切です。

ワーキングマザーが創る新しい働き方

 

  「産む」×「働く」×「活躍」において、エンジンとなっているのはワーキングマザーが創る新しい働き方であり、働く女性とパートナーが未来を創ると考えています。企業は経営戦略としてダイバーシティを取り入れ、両立支援から働き方改革へと舵を切る時期がきています。1985年に「男女雇用機会均等法」が成立し、男女共に長時間働く社会となり、「両立支援」で女性に優しい企業が注目されましたが、これからは「働き方改革」として長時間労働から脱することが重要です。成果主義、有休取得率アップ、柔軟な働き方、男性の育休取得率アップ等がカギとなります。

 2060年には、日本の労働力は半減します。今起きている働く文化の衝突は、男女の衝突ではありません。「働くことが一番大事」VS「他に大事なこと」がある、「やりがいのある仕事についている」VS「やりがいを感じない」など、いろんな価値観の人が一緒に働いています。労働力不足に直面している現在、双方が折り合って働いていく時代なのです。

 ワーキングマザーはお荷物ではありません。新しい働き方を創るエンジンとなる人なのです。これからは働き方の見直しや意識改革が必要です。働く女性が増えると、さまざまな社会問題が解決します。GDPの上昇、労働力不足の解消、少子化・結婚難の解消、若年・高齢女性の貧困防止、次世代の育成にもつながります。当事者・企業・政府の3つの力で働き方改革を進めましょう。女性という新たなプレイヤーが入ってきたら、職場はルールを変えなければいけません。100人いたら100通りの働き方があり、柔軟なコースを設定し、生産性をクリアに評価し、自分の市場価値を認識したスペシャリストが活躍する社会が望ましいと思います。皆で共働きが当たり前の社会を創っていきましょう。




 

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