今年度のフォーラムでは、38団体による講演会やシンポジウム、ワークショップなど、さまざまな催しを実施しました。その中で今年度のテーマ「あなたの力が未来をひらく~認め合い、支え合い、一歩前へ~」に沿った企画を7団体が実施し、その内容を各団体のみなさんからご報告いただきました。
~自分らしく 社会のために 一歩を踏み出そう~
男女共同参画ネットワーク春日
アジア女性初のノーベル平和賞受賞者、アウンサンスーチー氏の激動の人生を描いたこの映画上映会を企画しましたのは、家族や周りの人々に支えられながら、愛する祖国のよりよい未来のために自分に与えられた使命から逃げることなく行動したスーチー氏の姿は、今回のフォーラムのテーマそのものだと思ったからです。何不自由ない幸せな家庭生活を一変させ、民主化運動推進のリーダーとして、夫と息子達との絆を深めながらぶれることなく行動する彼女から、自由を与えられた日本において、自分らしく社会のために一歩を踏み出すことの大切さを感じてほしいと願いました。春日市、春日市教育委員会、福岡県PTA連合会の後援、春日市内全自治会におけるチラシ回覧、ポスター掲示、チケット販売の協力、春日市内小中学校のポスター掲示等多くのご協力いただきました。約230名もの方々が参加、映画鑑賞後に会員、じょなさんクラブのメンバーも加わり合唱した「男女(ひと)のちから」も大好評でした。
審議会等委員の会「セミナーメイト」
パネリストに筑後市副市長の松本恭子さん、北九州市男女共同参各推進部長の小坪正夫さん、そして、コーディネーターに福岡県男女共同参画センターあすばる前館長の中嶋玲子さんをお招きし、シンポジウムを開催しました。筑後市からは、子育て世代を地域で支える環境であることや、筑後市男女共同参画条例等について、北九州市からは、若年層向けの広報啓発やワーク・ライフ・バランスの取組等について、お話いただきました。地域環境の異なる2市の独自の取り組みや現状を知る良い機会となりました。
今後の課題等について討議し、参加者からの質問に応えていただきました。20代~70代の幅広い年代、147名(一般96名 行政51名)に参加していただき大変盛況でした。多くの参加者からはトップの影響が大きいことと、市民の力(女性が声を挙げること、あきらめないこと)が重要であると感想が寄せられたことは、当会の実施の目的が果たせたと思います。
特定非営利活動法人博多ウィメンズカウンセリング
日本フェミニストカウンセリング学会代表理事を務める井上摩耶子さんをお招きし、講演会を開催しました。当日は、63名もの参加者で準備していた席がすべて埋まり、モラルハラスメントという問題に対しての関心の深さが伺えました。
一般的にDVは殴る・蹴るなどの身体的暴力だと思われていますが、相談の多数を占めているのがモラルハラスメント(精神的暴力)であり、それは身体的暴力に勝るとも劣らず心身を蝕んでいきます。モラルハラスメントは、暴力をふるう方も、ふるわれる方も、それを暴力として認めることが難しいという実態があり、社会全体においても同様です。それはなぜなのか、一緒に学び、考えました。
会場は、モラルハラスメントを理解しようという熱気で溢れていました。アンケートからは、「目からうろこ」「言葉を持つことが大事」「発信していきたい」などの感想が寄せられ、多くの方々がモラルハラスメントの実態を理解し、または解決の糸口を見つけ出せたのではないかと思います。
ふくおか県「翼の会」
ILOジェンダー特別アドバイザー・駐日代表などを歴任され、現文京学院大学大学院特別招聘教授、公益財団法人アジア女性交流・研究フォーラム理事長の堀内光子さんを講師にお招きし、世界から見た男女平等指数105位の現状は何か、要因の解析と課題についてご講演いただきました。
ジェンダー格差は136か国中105位と年を追うごとに順位が低下しています。大きな要因は経済参加・機会(104位)と政治参加(118位)。男女格差の要因については、高等教育の男女差、女性の就業参加率・管理職の女性割合・正規雇用者の男女給与格差など、世界と比較しながら解説。国会議員に占める女性割合は136か国中121位(2011年3月現在)。指導的地位に就く女性を増やすためのポジティブ・アクションが重要で、その手法はクオータ制、ゴールアンドタイムテーブル方式等多様です。トップのリーダーシップによるジェンダー平等の促進が必要で、社会のあらゆる側面で男女平等を組み込むことが欠かせないことを熱く語られました。
NPO法人ジェンダー平等福岡市民の会
今年7月に「NPO法人ジェンダー平等福岡市民の会」として新たに発足して初めての企画でした。大阪府三島郡島本町町議会議員の平野かおるさんと外村敏一さん、久留米市男女平等政策審議会副会長の古賀秀心さんをパネリストに迎え、久留米市男女平等政策審議会委員でもある本会の富永桂子がコーディネーターを務めました。
島本町は住民3万人、大阪や京都のベッドタウン。町民の政治意識が高く、国政選挙での投票率はトップクラス。こういう背景により女性町議会議員が増え2013年ついに50%(7人)となりました。
久留米市での男女平等政策会議は市長をトップに全庁的に推進体制を組んでいます。また、議会と審議会との議論が活発で、DV被害のONE STOP運動など市民活動との連携が密なことで知られています。その結果、審議会・委員会での女性登用率が43.3%となりました。
しかし、両市町とも地域内では相変わらず男性が長、女性が補佐役。この生活に密着した場所での性別役割分業の解消が今後の課題でしょう。
総務省男女共同参画担当委員有志
私たちの会は、「あすばるフォーラム」の前身でもある「あすばるフェスタ」当初から参加し、行政相談のPR、福岡で男女共同参画にご尽力されている講師を招いて、講演を行ってきました。
今回は講師として福岡県男女共同参画審議会会長の野口郁子さんをお招きし、「男女共同参画の過去・現在・未来~今後の課題~」と題して、これまでを振り返りながら、今後の歩みについてご講演いただきました。さらに、これからは女性団体と行政がNGO組織とも連携し、ネットワークを組むことが重要であるとご講義いただきました。
事例報告では、「農業委員会委員選挙の投票における候補者指名等の掲示について」や「父子家庭に対する児童扶養手当の支給について」などの行政相談を受けたことで、関係機関に働きかけ、社会を変えてきたことをPRできました。沖縄、熊本、神戸からも総務省男女共同参画担当委員の方々に出席をいただき、活発な質疑応答・意見交換ができたことは、大変実り多き会となりました。
社会福祉法人 福岡県母子寡婦福祉連合会
福岡県男女共同参画センターあすばる前館長の中嶋玲子さんを講師に迎え、「母子家庭はどうすれば幸せになるのか」をテーマにグループで討議を行いました。
はじめに平成23年度福岡県母子世帯等実態調査データを基に、母・父子家庭の実態の報告を受け、その後母・父子家庭を取り巻く環境における課題を各グループにて討議・発表、講師講話の後、課題に対する解決策を再度グループ討議・発表という形で実施しました。講師からは現状に対し関心を持つこと、また環境整備と一人ひとりが前向きに取り組むことの必要性について説かれ、参加者がそれぞれに出来る事は何か、また課題を乗り越えていくためにも、各行政機関、各支援団体との連携の重要性を理解し、個人単位でも社会参加の意識を強く持って課題への見識を深めていくことを目標として終了しました。
この日は長崎県母子寡婦福祉連合会14名の方々が一緒に参加され、福岡県の取り組みを学んでいらっしゃいました。
風が強く寒い1日でしたが、会場内は課題克服に向けた皆さんの熱気でいっぱいになりました。
【フォーラム2013】