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古賀 正博(こがまさひろ)さん (2015年8月取材)

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一般社団法人福岡中小企業経営者協会 常務理事
(取材時:一般社団法人福岡中小企業経営者協会 理事・事務局長/九州インターンシップ推進協議会 理事・事務局長)

人と企業・地域をつなぎ、福岡から日本を元気に

  設立41年を迎える福岡中小企業経営者協会、九州の学生と社会をつなぐインターンシップ推進協議会の理事・事務局長として、日夜奔走する古賀正博さん。とても穏やかな雰囲気ながら、熱い志と行動力で、新しい企画を次々と生み出している。

人事一筋で採用からリストラ業務まで経験

  大牟田市で生まれ、小学生のときは野球、中学から大学まではバンド活動に熱中。バブル真っ盛りの就職活動では「付加価値の源泉はものづくり」と考え、九州松下電器株式会社へ入社した。
 様々な職種について説明を聞き、特に魅かれたのが「裏方だけど主役で、人を支えながら束ねたい人に向いている」という人事の仕事。希望通り人事部門へ配属となり、20年にわたり人事関連業務に従事した。採用や教育から人事制度企画、M&A(合併と買収)まで、会社として初めてのプロジェクトに関わることも多く、「とにかく忙しくて、同期の中で仕事が大変だと嘆く人がいれば「古賀を見てみろ」(それに比べればマシだろう)と言われてましたね」と笑う。
  20年におよぶ仕事の中で最も苦しかったのは、組織のダウンサイジング、つまりリストラ業務だという。「組織の新たな設計図を描き、具体的に推進する。会社にとって必要な仕事とはいえ、私たちをあたたかく迎えてくださった先輩方に会社を卒業していただけませんかと言うのは本当に心が痛みました」と打ち明ける。
  20代後半で係長、30代半ばで人事課長相当職となり、年上の部下を多く抱えた。さらに、会社にとって大きく舵を切るような制度設計を担当するようになると「このままではいけない。もっと世の中の仕組みを知り、力をつけなければ」とMBA(経営修士)を意識するように。そして30代後半で働きながら九州大学大学院経済学府産業マネジメント専攻に入学し、MBAを取得した。

管理職で初の育休を取得

 全国のパナソニックグループで管理職として初めて育休を取得したのも、同じ30代後半だ。グループ全体で多様性を考えるプロジェクトに参加した古賀さんは、大阪本社で行われた報告会で役員を前にして「攻めましょう。まずは私が1か月育休を取ります」とプレゼンの最後に宣言したのだ。当初、一部の幹部からは、会社が危機的な状況にある中で人事の課長が育休を取るとは、と問題視された。一方で、そもそも管理職に育休制度は適用できるのかという議論も起こったが、制度としてはOKが出た。「それなら挑戦しよう」と決意した古賀さんにとって、次なるハードルは周囲の理解だ。1日250通ものメールが届く人事グループの課長が、本当に休めるのか。自分の中で葛藤もあったが、上司は「君に覚悟があるならいいんじゃない」と理解を示し、部下たちも「いいですよ」と快く応じてくれたという。他の人にわかるようにデータや書類を整理し、課長としての決裁業務も整理するなど、念入りに準備した。
 そして、ついに実現した1か月の育休。第2子が誕生したばかりで、古賀さんは3歳の長男の朝の支度から保育園送迎と入浴、赤ちゃんへのミルクの授乳などを担当。夜は大学院に通った。「育児の大変さを実感しました。保育園の先生の働きぶりに感心し、想像すらしていなかった世界を経験できて、本当によかった。妻も上の子も本当に喜んでくれました。業務上では中間管理職がいなくても仕事が回ることを立証できて、グループ内の連携も進みました」。そして「人生における男性の活躍の場が職場以外にも存在するとわかり、ひと回り大きくなれた。この貴重な体験を皆さんに味わってほしい」と力を込める。

学生と企業の力を高め、地域の活性化を図る

  40歳という節目を前に「一度きりの人生、自分を試したい」と独立を考えていたところ、思わぬ転機が訪れた。福岡中小企業経営者協会の理事にならないかと打診されたのだ。「地元の企業や政治家などと力を合わせて地域、ひいては日本の未来づくりに貢献できる。スケールの大きさに熱いロマンを感じました」。それまで築いた地位や収入を捨て、ゼロからの再出発。「妻は認めてくれました。リストラ業務を推進していたとき、世話になった先輩から「辞めることにした。君は頑張ってくれ」とメールが来て、家で涙したことも…。そんな私の姿を知っていたからでしょう」。
 就任から6年、県内中小企業のイベントを開催するほか、産学官から成る九州インターンシップ推進協議会の理事・事務局長も務め、学生とリアルな社会との接点を生み出すユニークなプロジェクトを次々と展開している。九州の知事や大学長が集まる会議に働きかけ、経済団体とも連携するなど、多様なつながりも広がってきた。「この仕事に大きなやりがいを感じています。福岡は人のエネルギーがすごくて勢いのある、ポテンシャルの高い地域。地域が発展するための企画を打ち立て、ここ福岡、九州から日本を元気にしたい」。

                                                                                                            (2015年8月取材)

コラム

私の大切な時間

「今はオンとオフの区別がない」という古賀さん。「会社員時代はオンとオフの区別をつけて、オンはがむしゃらに働き、オフはしっかり遊ぶのがかっこいいと思っていたけど、今は平日でも週末でも経営者とカフェで企画を立てたり、学生とイベントの話をしたり。仕事と趣味とプライベートが混ざり合っている状態がとても心地いい」と楽しそうに話す。「家族と過ごす時間ももっとほしい」と3人の子と妻を愛する父親でもある。「自分の趣味としては音楽活動を再開したいし、いつか本を出したいという夢もあります」。

プロフィール

大牟田市出身。1991年九州松下電器株式会社に入社し、およそ20年にわたりパナソニックグループで人事関連業務に従事。2008年九州大学大学院経済学府産業マネジメント修了(MBA・経営修士)。2010年一般社団法人福岡中小企業経営者協会へ入職して、同年6月理事就任。2016年1月常務理事就任。

 


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