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丸尾 京子(まるおきょうこ)さん (2014年12月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

福岡市漁業協同組合女性部 部長

女性の活躍で漁業を元気にできる

 福岡市西区能古島で漁業に携わり、福岡市漁協女性部で部長をつとめる丸尾京子さん。子どもたちの魚離れが進む中、市内中学校の授業で、魚を自分でさばいて料理する「お魚料理教室」を長年にわたって続け、2012年度、第11回福岡県男女共同参画表彰・女性の先駆的活動部門で表彰を受けた。女性の進出が少ない漁業の分野において、積極的に普及活動に励む丸尾さんは「女性が元気だと、魚をとってくる男性も元気になって町が明るくなる」と漁港で女性が活躍することに期待を込めて話した。

漁師の妻としての知恵と経験が生んだ商品 

 起床時間は午前2時。夫が漁に出ている間に家事を手際よく済ませて、漁から戻るとすぐに魚の加工を行う。エビフライや鱚のフライ…。水揚げされてすぐに加工されるため、鮮度が高いまま冷凍され歯ごたえも味も格別。多くの顧客に愛される商品になっている。材料の多くは市場では見向きもされない「雑魚」と呼ばれる商品価値の低い小魚。昔のように路上販売もできず直売所もないため、鮮魚のまま一般家庭に届ける方法がなく、なんとか商品にしたいという思いからフライの加工を思いついたという。手間がかかり敬遠されがちな魚料理も、パン粉をまぶして油で揚げるだけの状態にすることで、気軽に食卓に並べられる。丸尾さんの呼びかけで、同じ漁業者の妻たちで任意団体「浜を盛り上げる会」を立ち上げて、加工品作りに取り組んだことが評価され、平成25年度、福岡市の水産ベンチャー育成事業にも選ばれた。

「お魚料理教室」で受け継がれる経験と思い

 丸尾さんの魚への愛情は、様々な形で後の世代に受け継がれている。初めて授業を行ったのは、2004年、私立の学校に招かれて行った「親子でチャレンジお魚教室」だった。当時は栄養士による栄養素などの講習がメインで、補助的な立場での参加だった。しかし子どもたちの隣について包丁の持ち方から魚のさばき方まで丁寧に指導を行い、公立の中学校で丸尾さんが主になって行う「お魚料理教室」が開催されるようになった。夏休みのイベントも含めると毎年30回近くの教室を開催。次第にテーマが広がり、「海」「魚」について深く話すようになり、すべての食材について「命をいただく」ことの大切さも伝えるようになった。


 授業では子どもたちに「教える」ばかりではなく、子どもたちからの視線や反応に感動することも。はじめは魚をさわることすら出来なかったのに、次第に率先して自分の手で魚をさばくようになり、最後には「おいしかった」と満足感にひたる様子にやりがいを感じるという。特に印象に残っているのは、特別支援学校での授業だ。目を輝かせて海の話を聞いた子どもたち。魚をさばく時に手を添えて助けようとしたら、「自分でやりたい」と手をはねのけられた。そんな一生懸命な子どもの姿に心を打たれ、忘れられない経験になったという。

漁業の未来に女性の発想を

 漁獲量や漁業人口の減少、若い世代の魚離れなど、漁業を取り巻く現状は、決して明るいものではない。しかし、丸尾さんは、料理のメニューのように何でも発想次第だと、とらえている。「浜の母ちゃんが元気でないとね」と話す。
 最近は、漁業だけでは生計が立たず、能古島から市街地に働きに出る女性も少なくない。しかし、そんな中でも丸尾さんは漁業の未来を信じたいという。「水揚げされた魚を無駄にせず、うまく商品に換えることで、家庭も町全体も潤い活気が戻る。命あるものをいただくのだから粗末にせず、工夫して美味しくいただくのが私たちの使命」という思いから生まれている加工品のメニュー。これからも、授業や商品の中に活かされ地元の漁業を元気にしていく。
(2014年12月取材)

コラム

 健康のために毎日歩くことを大切にしている。日々の楽しみは夫との晩酌の時間。おすすめのメニューは、かしわご飯の鶏肉の代わりに鰆(さわら)を使った炊き込みご飯。

プロフィール

 魚介類を加工する父親の元で育った。1982年に能古島に渡り、能古漁業協同組合女性部会長を経て、福岡市漁業協同組合女性部部長、福岡市水産業振興審議会委員を務めている。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【ま】 【農林水産】

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