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武田 良子(たけだよしこ)さん (2013年12月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

笑顔の畑 代表/ 福岡県女性農村アドバイザーOB

「もったいない」柿を活かして、地域の特産品を作りたい

 「柿やブドウは私の子どものようなもの」と、にこやかに話す果樹農家の武田良子さん。専業農家の女性4人で「笑顔の畑」を立ち上げ、地元朝倉の柿などを使った加工品の開発に取り組んでいる。

兼業農家で育ち、専業農家の長男と結婚

 実家はかつてタバコなどを栽培していた兼業農家で、小さい頃から手伝いをしていたという。「タバコの葉を乾燥させるために広げていくんですが、手にヤニがついて真っ黒になるのが嫌でした。農家の大変さがわかっていたから、サラリーマンと結婚したいと思っていたのに」と笑う。JA勤務時代に所属していた朝倉の農業を考える「4hクラブ」で、結婚相手として出会ったのは、専業農家の長男だった。 
 結婚と同時に夫の両親と同居し、出産を機に専業主婦に。一男二女を出産後、少しずつ家業を手伝い始め、子どもを保育所に預けられるようになってから、本格的に農業に打ち込んだ。だが、柿もブドウも育てたことはなく、何もかも見よう見まねで覚えていった。
 そんな中で思い出したのは、尊敬する実母の言葉。「人生は死ぬまでが勉強だから」。旧朝倉町で地域婦人会会長や女性として初の農業委員などを務めた人物だ。「『女性でも何でもできるんだよ』と教えてくれた母がいたからこそ、今の自分があるのかなと思う」。落ち込んだ時も背中を押してくれているような気がするという。

農村女性グループ「笑顔の畑」を立ち上げ、柿を使った加工品を開発

 2007年、福岡県女性農村アドバイザーに。様々な研修会を通して、農業について幅広い知識を身につけることができたという。「頑張ればできるというチャレンジ精神を、後に続く方にも広めていきたい」と語る。
 そして、以前から気になっていた問題に立ち向かうことに。傷のついた柿は商品価値が無いに等しいという現実。「捨てるのはもったいない。何かできないか」と、近所の柿農家に声をかけ、農作物を加工し販売することに乗り出したのだ。
 2011年、農家の女性3人で作り上げた柿のプリンは「第3回とれたて できたて あさくらの特産品料理コンテスト」で優秀賞を受賞。だが、プリンは日持ちがしないので、農作業のかたわら毎日作ることは難しい。自分たちのペースで安定生産ができる商品を再検討することに。そして、女性4人でグループ「笑顔の畑」をスタート。情報収集に長けた人、料理のアイディアが豊富な人、フットワークが軽く買い物などを任せられる人、会計係と、自然と役割分担もできた。
 こうして新たな商品作りがスタートした。昼間は農作業をし、夜に集まって、それぞれが自宅で作った試作品を持ち寄った。度重なる試食や議論を重ねた結果、ついに納得のいく商品、「柿de酢みそ」が完成した。味噌の原材料の大豆まですべて地元産のものを使用、皮は手むきし種をとってミキサーにかける。添加物は入れず、柚子やかぼすなどで酸味を加えていく。愛情を込めて育てた柿にさらに手間をかけて仕上げた。この商品を多くの人に知ってもらおうと、地元の道の駅やイベント販売、インターネット販売を始めた。

失敗を恐れずチャレンジを

 農業は自分の天職だと胸を張る武田さん。「農業は楽しい。無限の可能性を秘めている。育てる喜びはもちろん、日持ちのしない果物や野菜は、アイデアを出し合い加工することで価値を落とさず、より多くの人に届けることができるから」。笑顔の畑のメンバーは「今後はもっといろんな商品を開発していこう」と前向きだ。最後に「何事も思っているだけじゃダメ。チャレンジしなくては。やりたいことがあるのなら、失敗を恐れずに実行に移してほしい」と女性に熱いエールを贈った。
                                                                                                        (2013年12月取材)

コラム

気分転換はウィンドウショッピング

好きな言葉は、「一生懸命」という武田さん。だが、時には行き詰まるときもあるという。そんな時、気分転換に出掛けるのがウィンドウショッピング。「いいなと思う洋服をひととおり着てみるだけで、心が晴れやかになるんです」と笑う。以前教わったヨガのポーズをして気持ちを落ち着けることも。心と身体の健康が、武田さんの「一生懸命」を支えている。

プロフィール

旧朝倉町(現在の朝倉市)生まれ。高校を卒業後、JA(朝倉町農業協同組合)に就職。結婚し、出産後、家業である農業に従事。2007年に、福岡県女性農村アドバイザーに認定された。2011年、農家の女性3人で開発した柿のプリンが「とれたて できたて あさくらの特産品料理コンテスト」で優秀賞を受賞。2013年に専業農家の女性4人で「笑顔の畑」を発足、「柿de酢みそ」を開発し、販売している。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【た】 【農林水産】

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