講師情報ライブラリ福岡県内男女共同参画センター情報地域団体検索サイト 地域のすばる

  

 

大西 由希子(おおにしゆきこ)さん (2013年10月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

佐川急便株式会社 諫早営業所 所長 (取材時:南福岡店 店長)

会社には私たちが必要で、私たちにも会社の力が必要

 「佐川急便」といえば、青と白のボーダーシャツで荷物を抱え、街をかけめぐる男性の姿が思い浮かぶだろう。そんな同社で、初の女性店長として注目を集める大西由希子さん。さわやかで礼儀正しく、謙虚な人柄で、女性と会社の未来について真剣に模索する姿勢が印象的だった。

憧れて入った会社で初の女性管理職に

 宮崎県出身の大西さんは、ソフトボールでインターハイに出場したほどのスポーツウーマン。高校を卒業後、ゴルフ場で2年間キャディを経験。地元に戻って運送会社でアルバイトしていたとき、「女性ドライバー募集」という広告に目がとまった。「佐川急便のドライバーはキビキビしていて、イメージがよかったから、私もあんなふうに働きたいと思いました」。
 21歳で入社した当時、同社の女性ドライバーは全国でも40人ほど。延岡店に配属となり、まずは軽四輪、4年後には念願の2トントラックに乗るように。集配の傍ら、積極的に営業もした。「体を動かすのが好きだし、何よりお客さんに喜んでもらいたくて頑張りました」。担当地区の売上を伸ばし、全国優秀社員賞を2度受賞したこともある。
 入社から9年目、営業主任に抜擢された。その後、係長として福岡店への異動を打診されたとき、実は何度も断ったという。「実家で父と暮らしていたので、福岡へ行く気はなくて。係長という役職も私には無理だと思ったんです」。だが「知識を吸収できて、未来につながる」「みんな助けてくれるから大丈夫」という熱心な説得に腹をくくり、福岡へ異動。完全なる男性社会で、部下の大半は年上の男性だった。「私を応援してくれる人もいれば、冷ややかな態度を取る人もいました」と打ち明ける。それでも懸命に働き、課長に昇格。営業課長として博多駅エリアを担当したときは、若い女性だけのチームを立ち上げた。彼女たちがイキイキと働く姿は社内外で評判に。「女性は細やかな気配りができて、話しやすいようで、お客さんにとても喜ばれました」。2012年には初の女性店長になった。

女性が働きやすい職場づくりを目指して

 仕事に追われていた時期もある。「こんな労働状況では、女性があとに続かない」。大西さんが思い切って上司に訴えると、こんな返事が返ってきた。「女性の先頭に立っているお前が我慢してたら、会社はよくならない。何でも正直にいってほしい」。「上司に率直に意見をいえる環境がありがたく、心が軽くなりました。立場に関わらずしっかり休める制度も整いました。女性にとって働きやすい職場は、男性にとっても働きやすい職場なんですよね」。
 現在、女性の雇用に力を入れている同社。10年前に8%ほどだった女性社員の比率が、今は20%に近づき、2014年度までにグループ収益の30%を女性が担う体制を構築するという目標を掲げている。「ここ数年で、いろんなことが確実に変わってきた」と大西さんは実感している。2011年には、社内に女性の活躍を推進する「わくわくウィメンズプロジェクト」が発足。課題の解決に向けて活動するほか、女性社員向けの社内報を発行して、ロールモデルとなる女性を紹介。また、事務職であるカスタマーサービス担当者の主任を女性にするため、研修を始めた。
 一方で「女性だけが変わっても仕方ない」と、管理者や男性の意識を変える取組も重視。「ワーキングウーマンガイド」という冊子を作成して管理職の勉強会をしたり、店長を対象とした研修では、男性と女性の脳や特性の違いを学び、女性への理解を深めたりした。

現場を大切にして、自分らしくやればいい

 女性社員のパイオニアとして活躍する大西さん。今は380を超える営業店で唯一の女性店長として、65人のスタッフを率いる。女性社員と話すと「みんながいてくれるから、頑張らんといかん」と気が引き締まるという。先日は関東で管理職になったばかりの女性が福岡に来て、どうすればいいか相談された。「自分らしくやればいいと話しました。批判や逆風はあって当たり前。人がどうこう言っても気にせず、男性に合わせる必要もない。何よりも、現場で頑張って集配・営業をしてくれる人たちのモチベーションを上げることが一番大切だと私は考えています。会社は私たち女性を必要としている。私たちにも会社の力が必要。私たちが率先して男性も女性も働きやすい職場をつくり、ひいては男性社会である物流業界を変えたい」。
 取材の帰り、広々とした駐車場を通ると、社屋から一番近い区画にマタニティマークがあった。「ここは妊婦さん用にしましょうと提案したんです。皆さん快く譲ってくれたんですよ」とうれしそうに話す大西さん。ひとつずつ声をあげ、形にする。その積み重ねが人を動かし、確実に会社を変える原動力となっている。 (2013年10月取材)

コラム

私の大切な時間

 最近、退社後ジムに通い始めたという大西さん。「以前は集配業務で日々体を動かしていたけど、今は会議や営業などが多く、店舗で荷物の積み下ろしをする程度だから、体が重くなってきちゃって…」と明るく笑う。休日は友達と温泉旅行をしたり、おいしいものを食べたりして、リフレッシュしているそう。「この前は年1回のリフレッシュ休暇を利用して、東京ディズニーランドに行きました。とっても楽しかったですね」。

プロフィール

宮崎県延岡市生まれ。延岡商業高校卒業後、ゴルフ場で2年間キャディとして働く。地元へ戻り、1996年に佐川急便株式会社に入社。2006年に同社初の女性管理職となり、 九州支社の課長、熊本店の課長などを経て、2012年には熊本の八代店で初の女性店長に。2013年9月に南福岡店店長就任。2014年3月、名称変更に伴い南福岡営業所所長に。2017年3月、諫早営業所所長に就任。

 

 


 

 

 


キーワード

【あ】 【働く・キャリアアップ】

お問い合わせフォーム
公式Facebook
メルマガ登録
ふくおかみらいねっと
あすばるのすまっぽん!