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佐伯 美保(さえきみほ)さん (2013年3月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

わくわくプレーパーク 代表

「子育て」を豊かにするものは、自分たちで創ることができる

 「子育て環境都市・福津」として、まちづくりを進める福津市。そのきっかけとなったのは、地域の子育て支援活動である。「福間津屋崎子ども劇場」など複数の子ども関連NPOの理事を務め、「ふくつ子どもステーション“すてっぷ”」ほか数々の子育て支援団体の代表を兼任する佐伯さん。「子どもと大人の冒険遊び場わくわくプレーパーク」の設立、子育て情報誌「ぷくぷく」の発行、虐待防止を視野に入れた子育てプログラム、子どもとメディアに関する啓発活動など、その活動は多岐にわたる。子どもに必要と感じた活動団体は同じ思いの仲間と立ち上げてきた。「子育て中の親の『こうであったらいいな』は、社会を変える力を持っています。思いきって声に出し、つながっていくことが大切」と力を込めて話す。

視野が広がると子育ては楽になる

 「不安をもった親と支援者をつなぐ場をつくりたい」と始めた子育て支援。「違う方向に行きかけていた自分自身が支援の原点かもしれない」と早期教育に走った当時を振り返る。「2歳で方程式が解けて何になるの」と、子ども劇場で出会った友人に言われてハッとした。わが子の発達にそぐわない不自然なことをしていたと気づき、ひとつの価値観に染まってしまう怖さを知ったという。苦い経験は、イオンモール福津との協働事業、初めて子育てをする母親と生後4〜8ヶ月の赤ちゃんを対象にした子育てプログラム「あんだんて」に生かされている。時には行き詰まり、つらく感じることもある子育てだが、多様な価値観に出会うことで楽になる。子育てをしている仲間同士で補い合えば虐待予防にもつながる。 大事なのは、主体的な交流の場・遊び場づくり、情報の提供など、常に多方面から支援することだそうだ。

協働には時間と工夫が必要

 長男が2歳のころ「冒険遊び場がやってきた!」という本と出会い衝撃を受けた。子どもが自分の想像力で工夫し、自由に遊ぶ場、プレーパーク。東京・羽根木にある日本初のプレーパークを見学した時、泥だらけで遊んできた長男が「こんな遊び場があったらゲームなんかする子はいなくなるよ」と目を輝かせたのを見て決意が固まった。『市民と行政が協働で』、これこそこのまちでやることだと思った。早速、「わがまちづくり支援事業」に手を挙げ、2004年に「わくわくプレーパーク」を昭和公園に開設。「そこで子どもは主体的に遊び、親たちはお互いの子を見守る関係ができる。見よう見まねで、親は子育てを学ぶんです」と佐伯さんはいう。2010年、九州初の常設へ。現在、週末だけでなく週5日の開催を目指している。
 中学校に子育てサロンを開設するときも1校ずつ理解を求め、4年がかりで市内全中学校に子育てサロンを設置した。行政との協働は一足飛びにいかないこともあるが、民間ではできないことが多いぶん可能性は大きいという。

子どもが豊かに育つまちを目指して

 わくわくプレーパークで遊んだ子どもたちが成長し、それを運営するメンバーとなって活躍しはじめた。多世代交流の場ができ、福津のまちの変化に手ごたえを感じている。「このまちで動いて、子育て環境を変えてきたよね私たちという自負はあります。一番の財産は『人』。仲間が集まったからできたこと。自分ひとりじゃできませんでした。」と語る。佐伯さんの夢は、福津に箱物ではない「ネイチャーセンター」を造ること。乳幼児期から自然の中で遊んで育つまちづくり、子どもの視点で作られた生のお芝居や音楽を楽しみながら育つまちづくりへの意欲に目を輝かせている。

                                  (2013年3月取材)

コラム

コラム

子ども時代、故郷の田畑や野山で大いに遊んで育った佐伯さんは「自然が幼稚園代わりでした」と話す。自然観察は良い気分転換になるそうで、休日は「環境ネットワーク虹」の活動拠点であるわかたけ広場で、じっくりと植物や生き物を観察するなどして過ごす。「みんな笑うんだけど、わたしが広場に行くと、チョウなんかが寄ってくるんですよ」。幼少期に培った観察眼と、子育て支援活動の中で身につけた本作りのスキルを生かして「自然観察ブック~わかたけ広場~」を作った。わかたけ広場で目にすることのできる、四季折々の植物や生き物を分かりやすく紹介しており、自然の営みと向き合う佐伯さんの温かいまなざしを感じることができる。

プロフィール

鹿児島県出身。教育学部卒。2児の母。長男を出産後旧福間町に転入。現在「環境ネットワーク虹」「福津市子育てネットワーク『ぷくぷく』」「福津市子ども読書連絡協議会」「ふくま郷づくりの会子育て支援部会」など複数の代表、NPO法人「子育て市民活動サポートwill」副代表理事、NPO法人「子どもとメディア」常務理事などを兼任。「森のムッレ・クニューター・クノッペン・ストローバレ教室」各リーダー、自然観察指導員。2010年、子どもを含む男女がともに歩むまちづくりを目指して「ふくつ男女共同参画協議会綸りん」を設立、元副代表。著書『子育て支援シリーズ3地域の子育て環境づくり』(ぎょうせい)共著、『子ども白書2010』(草土文化)共著、『だれでもできる楽しいミミズの飼い方~ミミズに学ぶ循環型社会』(合同出版)共著、『ふくおか子ども白書2011』(子どもNPOセンタ―福岡)共著他。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【さ】 【NPO・ボランティア】 【子育て支援】

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