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佐藤 眞弓(さとうまゆみ)さん (2011年4月取材)

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医療法人ひまわり 佐藤まゆみメンタルクリニック 院長・精神科医

キャリアの中断を恐れず、すべての経験を生かしてほしい

 

人間への興味と臨床にかける情熱

 「ずっと臨床、死ぬまで臨床。大学に残る気は全くなかったの」と、眼鏡の奥の目を細める佐藤眞弓さん。精神科医を志したのは、ごく自然な成り行きだったという。
 「たった1人の弟が知的障害児で、よく発作を起こし、母が苦労して養育していたという姿を見ていましたから、精神科医に近い子ども時代だったと思います。高校生の一時期、文化人類学者になりたかったのも、人間に興味があったから。医学部に入る時には、最初から精神科と決めていました。人間全体を診る、その人そのものを相手にできる唯一の科だと」。
 卒業後、縁あって職を得た福岡県立太宰府病院で定年まで勤めるつもりだったが、1994年(平成6年)、筑紫保健所に異動。自ら患者を診察し、治療することができない物足りなさに、1年で臨床復帰を決めた。
 「保健所の医者は行政職で、求められるのはむしろ事務処理能力。精神科の臨床医として、“私でなければできない仕事”はありませんでした」。

漢方に助けられた開業後

 太宰府病院時代の恩師を頼り、長崎の民間病院へ。その後、福岡でクリニックを開業したが、予期せぬ問題にぶつかった。20数年培ってきた統合失調症の治療技術や薬が通用しない人たち――統合失調症ではないうつ病の患者やDV・性被害に苦しむ女性たちの来院が9割を占めたのだ。当初は戸惑いもあったが、一人ひとりの話をじっくり聞くため臨床心理士を雇ったり、漢方を取り入れたりと、精神科医として視野を広げることができた。
 「漢方との出会いは、とても大きな助けとなりました。『精神科の薬をのみたくない』と訴える人もいます。漢方は元々自然にあるもの。薬物療法のハードルを低くしてくれるし、作用がマイルドで多方面に効きます」。
 治療を終了して数年後、「結婚しました」と葉書をくれる。「こんな嫌なことがあったけど、こう考えれば成長の糧になりますよね」と、それまでとは違う考え方や生き方を獲得する。そうした患者を見るたびに、佐藤さんは「精神科医をやっていて良かった」と実感している。

年をとることもプラスにできる

 弱い立場の人々をサポートし、1人でも多くの人に正しい知識をと、講演では「どんなに有能でタフな人でも、ある条件では誰でも心の病気状態になりうる。今そうでないのは幸運によるものという“謙虚な想像力”を働かせてほしい。例えば、DV被害者に対しても、『もしかしたら自分がそうなったかもしれない。あなたと私を隔てているのは、ほんのわずかな運の差なんだ』という関係性が大切だと思います」と訴える佐藤さん。自身は学生時代に結婚し、子どもは持たなかった。とにかく仕事が大好きで、キャリアの中断にためらいを感じたという。しかし、これから結婚や出産、育児を考える女性医師には「周りの力を遠慮なく借りて、どんな形でもいいから医者を続けて」とエールを送る。
 「精神科医は、経験がすべて役に立ちます。仕事を離れて苦労しても、その苦労や不満、不遇も含めて治療に生かせる。年をとることがプラスになるんです。ただし、夫の理解と協力は欠かせないから、配偶者選びは慎重にね」。
                                    (2011年4月取材)

コラム

「うちは子どもがいない代わりに、動物が大好き」という佐藤さんのデスクには、愛犬や愛猫の写真がずらり。特に猫は学生時代からずっと飼っており、開業時には黒猫の姿をしたエジプトの女神像を後輩医師から贈られたほど。受付や診療室にも、さまざまな猫の人形や置物が飾られている(猫嫌いな人はゴメンナサイ!)。去年はクリニックが入居するビルの非常階段でカラスの子を拾い、無事に巣立つまで半年間、世話をしたというから驚きだ。「何でも拾ってくるのは私だけど、一生懸命に面倒を見るのは夫なんです」と茶目っ気たっぷりに語る佐藤さん。現在は、11年前に福岡動物里親の会から貰い受けたアイリッシュ・セッターのウェンディ君と暮らしている。

プロフィール

長崎県生まれ、福岡県育ち。熊本大学医学部卒。熊本大学医学部附属病院、麻生飯塚病院を経て、1981年(昭和56年)、福岡県立太宰府病院へ。1994年(平成6年)、福岡県筑紫保健所に異動。臨床復帰を希望し、翌年から太宰府病院時代の恩師が院長を務める長崎県の民間病院へ単身赴任。1998年(平成10年)、福岡市南区に「佐藤まゆみメンタルクリニック」を開業する。2011年(平成23年)12月、日本東洋医学会の「漢方専門医」資格認定。

 

 

 

 


 

 

 

 

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