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仲光 志賀子(なかみつしかこ)さん (2008年2月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

社会福祉法人「自遊学舎」理事長、 筑紫地区地域活動支援センター「つくしぴあ」施設長

 

 

きっかけ

主婦をしていた仲光さんは初めから福祉を専門としていたわけではありません。桂川町社会福祉協議会に勤めることになってから社会福祉の道を歩むことになりました。ここで初めて、「周囲の理解が乏しいため、家から外に出ることができない障がい者や高齢者がいる」という現実を知りました。多くの人にそのことを理解してほしいという思いから社会福祉に関わる仕事を続けています。

海外研修

 チャレンジのきっかけは海外研修でした。日本の老人ホームや病院などの施設、介護保健や在宅介護などの制度・環境に疑問を感じていた仲光さんは、1991年に「ヨーロッパ福祉視察研修」に参加し、欧州の先進的な福祉事情を目の当たりにし、みなさんが豊かに暮らしていることに驚きました。翌92年には福岡県「女性研修の翼」で欧州各国を視察しました。この欧州視察ではスウェーデンの女性の政治参画率がストックホルム市で48%と高いため、当時の日本が抱えていたような女性問題や福祉問題はクリアされていることを知り、また、多くの女性が様々な分野で責任者として活躍しているのを見て勇気をもらいました。

 海外研修から帰った後、女性の視点から見た提案や活動を積極的に行い、桂川町社会福祉協議会事務局長となります。翌年には、障がい者が自宅から通って仕事ができることで、より良い暮らしを送ることができるよう「社会福祉法人自遊学舎・ワークランド桂川」を開設しました。
 95年には世界女性会議の「北京女性会議NGOフォーラム」に参加し、帰国後、女性のエンパワーメントのために「ちくほう女性会議」を仲間と共に設立しました。97年には車椅子で行くオーストラリアの旅に参加し、病院や障がい者ホームなどを視察しました。海外研修について書いた新聞記事が旧筑穂町長の目に留まり、仲光さんは筑穂町の福祉のまちづくりに関わることになりました。福祉総合エリア準備室長を任され、福祉施設の建設とその後のセンター運営にも、海外研修で得た多くのアイデアを活かすことができました。

夫の後押しと周囲の支え

 仲光さんの夫は仲光さんが仕事を続ける上でアドバイスをしてくれたり、不安なときは「大丈夫、君だったらできるよ!」と前進することを教えてくれました。しかし、良き理解者であった夫は、仲光さんが社会福祉協議会の職員だった89年にくも膜下出血で突然この世を去ります。大きな支えを失った仲光さんは仕事を辞めようかとも考えましたが、自分と同じように働く周囲の先輩女性たちから、「生活はどうにでもなるから仕事を続けなさい」と励まされ、続けることにしました。

現在の活動と資格取得へのチャレンジ

 仲光さんが海外研修を通じて学んだことは「地域で共に生きる」ということでした。共に生きようとする人が増えることで地域での生きづらさがなくなるのではないかと考えています。その考えに基づいて筑紫地区地域活動支援センターつくしぴあで活動を続けています。病院と家の往復だけの生活の精神障害に悩む人たちに安心できる場所を作りたいという思いが込められています。
 もうひとつのチャレンジは、資格を取ることでした。指導的立場に就くにあたって必要だったということもありましたが、女性にとって自信と社会的評価を得られる資格は強い味方です。海外に行ったとき、どの施設でも女性たちが、「私は看護師とソーシャルワーカーの資格を持っています」などと堂々としていました。50歳を過ぎてから、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取得しました。通信教育で京都までスクーリングを受けに行くのは大変でしたが、当時はそこでしか取得できませんでした。その後、高校教師の資格「高校福祉」も取得しましたが、これらの資格は仲光さんにとって大きな力となっています。

これからの夢とメッセージ

 新しい施設をつくる際に利用者の意見を取り入れようとしたところ、障がい者の方が「人に迷惑をかけているのだから要求などはしてはいけない」と、意見を出されないことがありました。このことを通して、思っているだけでは何も変わらない、人間は一人ひとり豊かに生活する権利を持っているのだから‘意見を言える自分になる’ことが大切だと考えるようになりました。このことは講演などを通して多くの皆さんに伝えています。
 「女だから、男だから、ではなく人として評価してくれる人がいたから」、「資金援助など、周りの人たちの協力があったから」と語る仲光さんですが、それは仲光さんの信念を持ってチャレンジを続けていく姿があるからこそだと思いました。
                                   (2008年2月取材)

コラム

☆近況紹介☆

〔近況をお聞きしました!〕
仕事では障がい者福祉に取り組んでいますが、相談支援事業を中心に就労支援B型事業所、障害者就業・支援センター、住まいの場グループホームとそれぞれが連携して、地域で『共に生きる』ことの実践を進めています。常勤の会社員になったSさん、高齢者施設で働くAさん、スーパーで働くKさん・・・皆さん生き生きと働いています。
休日には、男女共同参画や人権、高齢者問題などの講演を行い、学生には国際福祉論を教えています。一人ひとりが自分らしく暮らせるように、これからも活動を続けていきたいと思っています。
                                   (2011年3月)

プロフィール

26歳で桂川町臨時職員となり、同町社会福祉協議会事務局長を経て、社会福祉法人自遊学舎理事、筑穂町総合福祉エリア準備室長、財団法人サンビレッジ茜常務理事、筑穂町健康福祉総合センター長などを経験し、現在は自遊学舎理事長、筑紫地区活動支援センター長を務める。障がい者だけではなく、高齢者、子ども、女性など人権に関わる活動を幅広く行っている。著書に「福祉のまちづくり―筑穂町の10年とこれからー」等がある。

〈これまでの歩み〉
○友人の紹介で桂川町の臨時職員となり、その後、桂川町社会福祉協議会の職員となる。
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○欧州、アメリカ、オーストラリア等への海外研修、海外の福祉の現状を調査・研究。
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○帰国後、海外研修で得た経験を活かし、筑穂町の福祉施設建設などに尽力。
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○社会福祉法人自遊学舎理長、筑紫地区地域活動センター長などを務め、障がい者福祉に取り組んでいる。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【な】 【福祉】

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