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藤岡 佐規子(ふじおかさきこ)さん  (2011年2月取材)

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光沢寺第二保育園 園長

無償の愛が必要なときに愛されないと、人は育たない

 

人生を乳幼児保育とともに

 子どもたちを見守る瞳はつねに慈愛に満ち、社会を見る目はときに冷徹な光りを放つ…。人生のほとんどを乳幼児保育へ捧げ、働く女性の支援者としても『人生いかに生きるべきか』と己の信ずる道を一貫して歩んできた女性。その人こそ、北九州市にある『光沢寺第二保育園』の園長、藤岡佐規子さんだ。
 光沢寺保育園のルーツは古く、1936(昭和11)年に初代園長である藤岡晴光さんが、連れ合いのシズエさん(ともに故人)と二人三脚で創設。10年後の1946(昭和21)年、京都女子専門学校保姆科(現京都女子大)を卒業した藤岡さんは、両親の理想を手助けするべく同保育園への入職を果たした。
 光沢寺保育園にあっては主任保育士として活躍する傍ら、講演や海外視察、県立大学や西南女学院短期大学で非常勤講師を務め、2005(平成17)年には光沢寺第二保育園開設にともない園長へ就任。後進の育成と併せ、北九州保育所連盟顧問や保育士会の名誉会長などで多忙な毎日を送っている。

保育士は女性解放の担い手

 「保育士は女性解放の担い手でもある」。藤岡さんの言葉を裏付けるエピソードがこれだ。乳児保育を始めた昭和40年代半ばのこと、生後8ヵ月の女児が40度の高熱を発熱。
 園長(当時は主任保育士)は子どもを迎えに来てもらうために、母親が助産婦として働く病院へ連絡。電話に出た総婦長は「そちらは働く親の子どもを預かるところでしょう。その子の母親は、いま分娩室で生命の誕生に立ち会っています。放って帰ることができると思いますか」。その強い言葉に、保育所は子どもを育てる発達保障の場であり、同時に職場で求められる人になるために親を支援する場でもあると確信したという。
 乳児を預けて働く母親は、冷たい視線を浴びたり、子どもへの後ろめたさを持つことが少なくない。そんなときには「勤労の尊さを教えられるのはあなたたち。努力する親の後姿を見て育つ子どもは、悪くはならない」と支えてきた。ところが、最近は親の自覚が希薄傾向にあると危惧する。

健全な不安を抱いてこそ、親

 「たとえ決まった時間であっても、安心できる保育空間が整っていたとしても、愛しいわが子を他人に預けて本当に大丈夫かしら…という健全な不安を持ってほしい」と繰り返し親に説く藤岡さん。どんな親であれ、子どもにとっては唯一絶対の存在。ところが、最近は親であることの自覚が乏しく、『お金を払っているんだから、子どもの面倒を見てよ』という姿が散見するという。
 「もしも、保育園や保育士が親の代行業になってしまえば、子どもにとってこれほど不幸なことはない。子どもがいちばん求めているのは親であり、親の無条件の愛、無償の愛が必要な乳幼児期に愛されないと、人は育たないんです」。乳幼児保育とともに人生を歩んできたその言葉は多くの保護者たちの心をうつ。
 保育の分野にも企業が進出し、市場原理が追求されているが、保育は知識と技術と人間性が要求されるヒューマンサービス。利潤追求が至上課題である企業の参入が果たして相応しいのか一考が求められる。
                                                                                                           (2011年2月取材)

コラム

ぶれず、揺るがず、優秀な後継者育成が目標

 園長としての職務に加え、保育所連盟や保育士会などの公職、講演などに追われ、ほとんどプライベートはない。それでも、時間を見つけては小説や音楽にふれている。今は一人でも多く優れた保育者、後継者を育てることが目標。
 人づくりは一朝一夕ではいかないだけに、まだ当分は忙しい毎日が続きそうだ。

プロフィール

京都女子専門学校保姆科卒業、光沢寺保育園へ入職。以後、一貫して乳幼児保育に従事。現在、光沢寺第二保育園園長。北九州市保育所連盟顧問、北九州市保育士会名誉会長を務める。
これまで福岡県保育協議会会長、財団法人アジア女性交流研究フォーラム理事、全国社会福祉協議会全国保育士会会長、福岡県立大学・西南女学院短期大学非常勤講師等を歴任。2007(平成19)年、第6回福岡県男女共同参画表彰(県民賞)受賞。著書に『保育園の窓辺から…』『保育園で働くあなた』などがある。

 

 

 

 


 

 

 

 

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