まずはリーダーシップについて考えてみましょう。皆さんに3つの質問があります。「あなたにとって“理想のリーダー”は誰ですか?」「その人の何がすごいのでしょう?」「その人とあなた自身のGAPは何でしょう?」。これらに対する答えは、皆さん自身がこうありたいという姿のヒントとなります。ぜひ心に留めておいてください。
では、自分らしいリーダーシップとは何でしょう。日本は、先進国の中でも女性リーダーの割合が大変低い国です。そもそもリーダーになりたいと思わないことが課題であり、ある調査によると「高い役職を担いたい」女性の割合は4割以下で、世界で最も女性がリーダーになりたがらない国といわれます。
私は2005年リクルートに入社し、グループ会社の執行役員などを経験して2016年に退社。今年の3月に「女性×はたらく」を応援する会社を設立しました。そんな私も、自分が管理職になることにずっと尻込みしていました。管理職イコール長時間労働というイメージがあり、家庭を壊したくないと思いが強かったので。しかし、2012年に社内のリーダー研修に参加したことから、状況が変わりました。「30年後の会社のビジョンと戦略を描け」という課題が出され、自分の30年後もわからないのに無理と思った私は、都内のホテルでひとり合宿をして、自分が人生をかけて実現したいことを考え抜くことに。まず「ビジョン」と「ミッション」を考え、ビジョン実現までの30年のマイルストーンをキャリア軸・ライフ軸で描きました。今、振り返ると、この内容が私の起業の原点になっています。さらに、時間軸と優先順位も見える化したことで、意外とリーダーもできると気づいたのです。その後、上海で「ゼクシィ」の商品 責任者になったり、グループ会社の経営企画室長を務めたりして、一人一人のWillを大切に働ける 環境づくりを意識しました。リーダーとして最もよかったのは「一人ひとりのWillの実現の総和で、組織や社会を動かす醍醐味」を感じられたことです。
一方で、自分らしいリーダーシップのあり方には苦しみました。一般的に男性は「交換型リーダーシップ」(これをしたらこれを与える)、女性は「共感型リーダーシップ」(共感を軸に、集団を導く )を取ることが多いとされ、女性が男性と同じようなリーダーシップのスタイルをとると 傲慢に感じられてしまうのです。結局、私は自分らしいリーダーシップがわからないまま、リクルートを卒業しました。
退職後、グローバルではリーダーシップをどう教えているのか知りたくて、スイスのビジネススクールIMDへ。ギンカ・トーゲル教授が行う4日間の「女性リーダー育成」プログラムに参加しました。徹底したリサーチに基づく理論的な講義で、女性が30%を超えると能力をより発揮できることや、人をリードできる話し方などを学びました。中でも特によかったのは「あなたはどこから来て、どこへ向かうのか?」という問いでした。事前にレポートを提出し、さらにその場で「あなたは何をする人ですか?」「あなたを形作った幼少期の最も重要な出来事は?」「今、最もストレスに感じることは?」という3つの問いを受け、グループで自己開示し、多様な文化、バックグラウンドを持つ女性リーダーたちとディスカッションをしました 。自分ではすっかり忘れていた幼少期の出来事や思いが鮮明に浮かび、非常に深い気づきがあったのです。
その後、シリコンバレーの女性リーダープログラムにも参加して、私なりに「自分らしいリーダーシップ」のために大切な3つのことが見えてきました。「Self Awareness(深い自己認知)」と「Will & Vision(ありたい自分の明確化)」、そして「Network(励まし合い、切磋琢磨する仲間)」です。全ては自分を深く知り、自分がどうしたいかを明確にすることから始まります。皆さんもぜひチャンレジ してみてください。
タイトル | 自分らしいリーダーシップは自分を深く知ることから |
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開催日時 | 2017年8月26日(土) |